不動産鑑定士が独立しやすい理由と成功へ導くポイント
不動産鑑定士とは、土地・建物といった不動産を鑑定して、適正価格の評価を行うために必要な国家資格を有する人のことです。
不動産価格の鑑定評価は資格保有者にしかできない独占業務のため、独立しても仕事を確保しやすいという特徴があります。
しかし、独立開業を考えていても「開業して成功するか不安」「どのような準備をすればよいか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
この記事では、不動産鑑定士が独立開業しやすい理由や独立で失敗しないポイントなどについて解説します。
目次[非表示]
不動産鑑定士が独立しやすい理由
不動産鑑定士が独立しやすい主な理由として、資格取得が容易ではないことと、独占業務があることが挙げられます。
国土交通省の『令和3年不動産鑑定士試験(論文式試験)合格者の発表』によると、2017〜2021年の不動産鑑定士論文試験の合格率は14.4~17.6%と決して高くありません。試験はマークシート方式の短答式試験と論文式試験の2段階方式です。
また、試験合格後に実務修習を受ける必要があります。実務修習の修了考査に合格した後に、都道府県の不動産鑑定士協会に登録します。不動産鑑定士は難易度が高いため、資格保有者は不動産業界で重宝されやすいといえます。
さらに、不動産の鑑定評価は資格保有者の独占業務であることから、安定的な仕事の獲得が見込めるのも特徴です。特に、不動産鑑定事務所や銀行、証券会社、不動産コンサルティング会社などに勤めて実務経験を積んでいる方は、資格の取得によって独立開業を目指しやすくなります。
▼不動産鑑定士が携わる業務例
- 不動産売買・相続・贈与における不動産鑑定評価
- 担保物件、公共用地の鑑定評価
- 不動産の投資・運用のコンサルティング
- 土地・建物に関する税金や法律の相談
(出典:国土交通省『報道発表資料:令和3年不動産鑑定士試験(論文式試験)合格者の発表』)
不動産鑑定士の独立開業で失敗しないためのポイント
不動産鑑定士が独立開業する際、失敗しないためのポイントがいくつかあります。ここでは、そのうちの2つを紹介します。
①競合性の低いエリアを選定する
事務所を設置する際は、不動産鑑定事務所が少ないエリアを選定するのがポイントです。
不動産鑑定事務所が多い都市部では競合性が高くなります。また、すでに懇意にしている不動産鑑定士がいる会社も多いため、独立開業しても認知度やコネクションがなければ、集客が難しくなる可能性があります。
近隣に不動産鑑定事務所が少なく、競合性が低いエリアを選ぶことで、新規の営業活動や集客が行いやすくなります。
②ターゲットを絞る
不動産鑑定士として独立開業する際、顧客のターゲット層を絞ることも重要なポイントです。
▼ターゲット層と業務内容の例
ターゲット層 |
業務内容 |
---|---|
住宅建築会社 |
土地・建物の仕入れ、売買時の鑑定評価 |
一般の方 |
不動産売却や相続に関する不動産の鑑定評価、相談 |
投資家・投資会社 |
不動産投資に関するコンサルティング、資産運用の相談 |
不動産鑑定士は、鑑定評価やコンサルティングなど業務の幅が広いため、さまざまな人・企業・業界から仕事を依頼されます。競合するほかの事務所との差別化を図るためには、幅広い分野で対応するよりも、得意とする分野にターゲット層を絞ることがポイントです。
また、自社の強みをつくるために、宅地建物取引士や税理士などの資格を取得して専門性を高めるのも一つの方法です。
独立開業には業界内外とのコネクションも重要
不動産鑑定士の独立開業を成功させるためには、業界内外とのコネクションを持つことも大切です。不動産鑑定士は、不動産業界だけではなく、他業界・他業種からの紹介で仕事につながることもあります。
開業後に、できる限りスムーズに仕事を得るためには不動産仲介会社や建築会社、金融機関、税理士など、幅広い人脈をつくっておくことが重要です。コネクションを持つとよい業界・業種としては、以下が挙げられます。
▼コネクションを持つとよいとされる業界・業種
- 不動産売買仲介会社
- 不動産投資会社
- 住宅・リフォーム会社
- 銀行・証券会社
- 税理士、司法書士、弁護士
独立前にこれらの業界で経験を積む、または交流会やセミナーに参加するなどして、仕事を紹介してくれる人脈をつくります。
まとめ
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を行うために必要な国家資格です。独占業務のため、資格を取得することで独立開業しやすくなります。
独立開業する際は、競合性の低いエリアを選択し、顧客のターゲット層を絞っておくことがポイントです。また、得意分野や専門分野を持つことで、大手・有名事務所との差別化を図れます。
さらに、不動産業界だけではなく、他業界・他業種、士業からの紹介によって仕事を得られるケースもあるため、業界内外とのコネクションを持つことも欠かせません。
不動産鑑定士として独立開業を目指している方は、多くの業界で実務経験を積みつつ、人脈形成のために交流会やセミナーなどに積極的に参加してみてはいかがでしょうか。