不動産の独立開業への道! 事前準備や開業の流れを知ろう
不動産売買や賃貸の仲介など、不動産業に携わっている方のなかには独立を考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、不動産業の開業には事務所の設置や宅地建物取引士免許の申請など、さまざまな準備が発生します。手続きには時間と費用がかかるため、計画的に進めていくことが重要です。
今回は不動産業の独立を考えている方に向けて、開業に必要な準備や流れについて解説します。
目次[非表示]
- 1.不動産開業に必要な準備
- 1.1.経営形態を決める
- 1.2.業務形態を決める
- 1.3.開業資金を用意する
- 1.4.宅地建物取引士を確保する
- 2.不動産開業までの流れ
- 2.1.①事務所の設置
- 2.2.②会社の設立
- 2.3.③宅地建物取引業免許の申請
- 2.4.④宅建協会(全宅)・保証協会(全日)への加入
- 3.まとめ
不動産開業に必要な準備
不動産業を開業する際には、事前に準備しておかなければならない手続き、決めておく項目などがあります。ここでは4つの観点からチェックしておきましょう。
経営形態を決める
不動産開業に限らず、事業を行うには個人経営か法人経営かなど、経営形態を決める必要があります。
個人経営
開業の初期費用を抑えられますが、銀行からの融資が制限される可能性があるほか、倒産時には債務のリスクがあります。
法人経営
開業時の経費や手間は個人経営よりかかる場合が多いでしょう。しかし、銀行からの融資制限は少なく、倒産時の責任は出資の範囲内となります。
開業時にかかる費用や手間、取引の制限などが異なるほか、開業後の経営にも影響するため、経営形態については十分な検討が必要です。
業務形態を決める
不動産業とひと口に言っても、さまざまな業務形態があります。
賃貸仲介業・売買仲介業・賃貸管理業・不動産コンサルティング業などが挙げられます。開業時に資金力がない場合は、開業時の元手が不要な仲介業から始めるケースもあります。
開業資金を用意する
不動産業の開業には、まとまった資金が必要です。事務所の規模や従業員数、経営形態によっても異なります。
▼開業に必要な資金例
会社設立費用 |
認証手数料や登録免許税、その他諸経費 |
---|---|
営業保証金 |
供託所に供託する金銭等(1,000万円)
※保証協会に加入した場合は、弁済業務保証金分担金60万円
|
免許の申請費用 |
申請手数料、必要書類の購入費など |
業界団体への入会金 |
全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会、その他業界団体への入会にかかる諸費用 |
事務所の賃貸・改装費用 |
敷金・礼金、賃料、内装工事費など |
宅地建物取引士を確保する
宅地建物取引士は、公正かつ公平な不動産取引を行うための国家資格です。宅地建物取引士の有資格者にしか対応できない業務があり、売買や賃貸契約を行う際にも必須の資格です。
不動産業を営むには、従業員5名につき1名以上の割合で専任の宅地建物取引士を配置する義務があります。
不動産開業までの流れ
不動産業を開業するには大きく4つのステップがあります。必要書類の提出や組合への加入などさまざまな手続きがあるため、事前に流れを把握しておきましょう。
①事務所の設置
まず、開業にするにあたって事務所を用意します。宅地建物取引業の免許を申請するうえでも事務所は必須条件です。
テナントを借りる場合は、敷金・礼金・賃料の支払いが発生します。来客のある店舗として利用する場合は、来客が見込めるエリアや人通りの多い場所を選ぶことも大切です。
②会社の設立
事務所の設置と同時進行で、株式会社または合同会社を設立します。
会社名や所在地、資本金などの必要事項を決定した後は、印鑑や約款などの作成が必要です。法人設立後は、法人の場合は法人設立届出書、個人経営の場合は開業届けを税務署へ提出します。
③宅地建物取引業免許の申請
宅建業を営むときは、国土交通大臣または都道府県知事の宅地建物取引業免許を取得する必要があります。
宅地建物取引業免許の取得には、以下のような一定の登録条件があります。
- 拠点となる事務所の設置
- 宅地建物取引士の設置
- 宅建業法の欠格事由に該当しないこと
- 継続的に運営できる事務所の形態を整えていること
上記の条件を満たしているかを確認する厳重な審査を経て、宅地建物取引業免許が交付されます。必要書類を申請してから免許通知までには約4~6週間ほどかかります。
④宅建協会(全宅)・保証協会(全日)への加入
不動産業を開業する際、宅建協会(全宅)や保証協会(全日)に加入することが一般的です。
宅建協会に加入すると、不動産業に関わるさまざまなサポートを受けられるほか、不動産会社だけが利用できるレインズというネットワークシステムを利用できます。また、不動産売買の仲介を行う場合にも宅建協会への加入が必須です。
一方、保証協会では、開業時に支払う営業保証金が免除される代わりに、弁済業務分担金を預ける仕組みになっています。納付金額が少なくなるため、初期費用を抑えることが可能です。
▼宅建協会(全宅)・保証協会(全日)の加入に必要な費用
宅建協会の入会金 |
60万円 |
---|---|
保証協会の加入で納付する弁済業務保証金分担金 |
・主たる事務所:60万円 ・その他事務所ごと:30万円 |
保証協会への加入は必須ではありませんが、入っておくと開業初期費用を抑えられるほか、実務支援を受けたり、セミナーに参加したりできるようになります。業界内でつながりが生まれることもあるため、入会が望ましいとされています。
まとめ
不動産業の開業は、経営形態・業務形態によって開業資金や手続きなどが異なるほか、宅地建物取引業免許の取得、会社の設立など、さまざまな準備が必要です。
開業準備を滞りなく進めるためには、必要な手続きや流れを把握し、具体的な日程・資金の計画を立てておく必要があります。
また、開業後には集客方法や経営方針なども考えなければなりません。「独立したいけれど集客や運営が不安」という方は、開業支援を行っているサービスを活用するのも手段の一つです。