不動産会社を独立開業した場合の年収と成功するための条件
不動産業に携わる人のなかには、将来的に独立開業を目指している人もいるのではないでしょうか。そこで気になるのが、独立後の年収・収入についてです。
開業してから理想の年収を実現できるかどうか、また、経営者として成功するために必要なスキルやコネクションなどについて知っておくことが重要です。
この記事では、不動産会社における経営者の年収の目安をはじめ、独立開業するメリット・デメリット、経営者として成功するための条件などを紹介します。
目次[非表示]
- 1.独立開業後の年収
- 2.不動産会社の経営者になるメリット・デメリット
- 2.1.【メリット】リターンが大きい
- 2.2.【デメリット】契約が決まらない可能性がある
- 3.不動産業の独立で成功するための3つの条件
- 3.1.①同業他社・他分野とコネクションがある
- 3.2.②専門分野に精通している
- 3.3.③差別化できる要素を持っている
- 4.まとめ
独立開業後の年収
政府が実施した民間企業における給与・役員報酬についての調査に基づいて、独立開業後の年収目安を考えてみましょう。
国税庁の『平成30年分 民間給与実態統計調査』によると、給与所得者の平均年収は441万円です。そのうち、不動産業・物品賃貸業の平均年収は446万円となっています。
しかし、独立開業後の年収は以下のような条件によって大きく異なります。
- 開業資金額がどのくらいあるか
- 開業する地域にどのくらいのコネクションがあるか
- 開業前に培った知識・スキルがどのくらいあるか
- 開業後、すぐに売り上げが立てられるのか
特に、はじめのうちは知名度が低く実績もないため、売り上げに苦労することも考えられます。まずは不動産業の平均年収である446万円を目指すことが一つの指標です。
最初のうちは会社員時代の年収のほうが高くなることもありますが、実績を積むことにより年収1,000万円以上を目指すことも可能な業界です。また、独立後の会社規模によってそれ以上の年収を得られます。
(出典:国税庁『平成30年分 民間給与実態統計調査』)
不動産会社の経営者になるメリット・デメリット
不動産会社を独立開業するにあたって、メリットとデメリットについて把握しておくことも欠かせません。
【メリット】リターンが大きい
不動産会社では取り扱う商材が高額なため、1件の契約で得られるリターンが大きいというメリットがあります。
特に売買・賃貸の仲介業では、契約者から仲介手数料を受け取ることが可能です。たとえば、3,000万円の物件売買を仲介した場合、受け取れる仲介手数料は以下のとおりです。
▼仲介手数料の例
3,000万円 × 3% + 6万円= 96万円
※3%とした場合で算出
仲介手数料は法律によって上限額が定められていますが、不動産価格の大きい物件を扱えば扱うほど、仲介手数料も増大します。
【デメリット】契約が決まらない可能性がある
不動産の仲介業では、売買・賃貸の契約が決まらなければ仲介手数料を得ることはできません。不動産取引は社会情勢や金利変動など外部の影響も受けやすいため、外的要因によって経営状況が左右されるデメリットもあります。
また、ほかの不動産会社でも取り扱える物件の場合、お客さまに他決されてしまう可能性も十分に考えられます。独立開業後、自社への集客やコネクションなどがなければ、売り上げにつなげることが難しくなってしまいます。
不動産業の独立で成功するための3つの条件
不動産業の独立開業で安定した利益を確保していくためには、経営者に求められる条件を知っておくことも重要です。ここでは、成功するための条件を3つ紹介します。
①同業他社・他分野とコネクションがある
不動産経営では、市場動向や物件情報など、最前線の情報をキャッチできるかどうかが勝負となります。
同業他社・他分野とのコネクションがあれば、有利に営業活動を進められる情報や知識を得られます。また、自身の分野ではない仕事を依頼するパートナーを見つけられることもあります。
たとえば、以下のような人とつながりがあると、不動産経営をするうえで有利です。
▼構築したいコネクション
- 同じ業態の経営者・従業員
- 物件のオーナー・管理会社
- 行政書士・司法書士・税理士
- 地域の工務店・設備工事会社
独立すると、これまで働いてきた会社のネームを利用できないため、なかなか集客につながらないケースもあります。認知度の向上・集客の機会を得るためにもコネクションが有効に働くため、宅建業協会や経営者向けイベントなどに参加して接点をつくることが重要です。
②専門分野に精通している
不動産業とひと口にいってもさまざまな分野があります。得意分野がないまま独立すると、知名度のある競合他社に負けてしまう可能性があります。
以下のように、自社が対応できる分野を明確に絞ることで、専門性・独自性をアピールできるようになります。
▼専門分野の例
- オフィスの賃貸
- ○○エリアの単身向け賃貸
- 分譲住宅の売買
- 中古マンションの売買
- 法人向け事業用地の売買
特化した分野を持つことで、大手企業との競争を避けられるほか、分野によっては競争性の低い消費者層を顧客にできるチャンスとなります。
③差別化できる要素を持っている
取り扱える物件が競合他社と同じである場合は、差別化を図れる要素が必要です。独立開業で成功するために、競合他社にはないサービス・付加価値を提供できることが条件となります。
たとえば、以下のように自社ならではのアピールポイントが必要です。
▼アピールポイントの例
- 地域のケアホームと連携して、高齢者向けサポートを実施
- 外国人留学生・労働者向けの賃貸住宅の提供
- オーナーに対する家賃保証の拡充
- 引越し応援、紹介キャンペーンの実施
自社のターゲットを明確にしたうえで、競合他社との差別化につながる魅力的なサービス内容を考えることが重要です。
まとめ
不動産会社の経営者になった場合、成功すれば得られるリターンが大きくなる半面、自社への集客力がなければ売り上げにつながらず、経営が厳しくなるリスクがあります。
経営者として成功するには、同業他社とのコネクションを持つことや専門分野を絞ること、差別化できる要素をつくることなどの条件を満たすことが重要です
将来的に不動産会社の独立開業を検討している場合は、これらの条件を踏まえて事業計画や営業戦略を立ててみてはいかがでしょうか。