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宅建なしで不動産仲介はできる? 3つの独占業務と資格の効果

宅建とは、不動産取引を適正に行うための専門家である、宅地建物取引士(以下、宅建士)を示す資格です。

宅建試験では、毎年約20万人が受験し、約13〜18%が合格しています。実は、不動産会社で働いていても、宅建の資格がないという方も少なくありません。そのため、不動産会社で働きながら、宅建を取得したほうがよいか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、宅建を取得していなくても仲介営業ができるか、そして、宅建士にしかできない3つの独占業務や宅建によって得られる効果について解説します。

宅建を取得するメリットについては、こちらの記事で解説しています。
 ≫ 宅建を取得するメリットとは? 試験の合格率や難易度も解説

目次[非表示]

  1. 1.宅建士にしかできない3つの独占業務
    1. 1.1.①重要事項の説明
    2. 1.2.②重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
    3. 1.3.③契約書(37条書面)への記名・押印
  2. 2.宅建の取得によって得られる効果
    1. 2.1.①顧客との信頼関係を構築しやすい
    2. 2.2.②独立・転職で役に立ちやすい
  3. 3.まとめ

​​​​​​​宅建の資格なしでも問題ない?

不動産業界では、宅建の資格がなくても、基本的に問題なく働けます。不動産会社では、1つの事務所につき5人に1人の割合で専任の宅建士を配置することが義務付けられています。

つまり、設置義務を守っていれば、ほかの従業員が宅建の資格を持っていなくても問題ないということです。ただし、宅建士にしかできない独占業務も存在します。

以下の段落では、宅建士のみが行える独占業務について紹介します。

(出典:国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課『宅地建物取引業法の一部を改正する法律について』)

宅建士にしかできない3つの独占業務

宅地建物取引業法(以下、宅建業法)では、宅建士にしかできない独占業務が3つ定められています。

①重要事項の説明

売買契約または賃貸借契約を締結する前に、物件の買主・借主に対して宅建士が重要事項を説明する義務があります。

一般の買主・貸主は取引に関する知識や経験がない方もいます。不動産取引は高額になることが多いため、契約成立後に不測の損害を被る可能性があります。そのため、専門知識を有する宅建士が、取引の対象物件に関する事項、契約条件に関する事項について説明を行い、買主・借主が十分に理解したうえで契約を締結をすることが重要です。

宅建業法では、重要事項説明に関する以下の義務が定められています。

▼宅建士による重要事項説明の規定

  • 重要事項説明書の書面交付・読み上げ
  • 宅地建物取引主任者証の提示

宅地建物取引主任者証の提示は、名義貸しやなりすまし防止が目的です。

(出典:e-Gov法令検索『宅地建物取引業法』 / 国土交通省『重要事項説明・書面交付制度の概要』)


②重要事項説明書(35条書面)への記名・押印

契約締結時に交付する重要事項説明書には、宅建士の記名・押印が義務付けられています。重要事項説明書は35条書面とも呼ばれます。

重要事項説明は、口頭のみの説明は認められておらず、書面での交付が必須です。宅建士は、記載事項に誤りがないか確認して、買主・借主に説明したうえで記名・押印する必要があります。

また、書面での交付が義務付けられていますが、国土交通省はインターネットを利用した重要事項説明についても検討を進めています。

重要事項説明書には、買主・借主に最低限必要となる、以下のような情報を記載することが義務付けられています。

▼重要事項説明の主な項目

  • 権利関係(法令に基づく制限)
  • 取引条件(手付け金、契約解除、損害賠償および違約金、敷金の返還等)
  • 土地・建物の属性(インフラ整備の状況、用途地域、住宅設備、耐震診断の内容等)

(出典:e-Gov法令検索:『宅地建物取引業法』 / 国土交通省『重要事項説明・書面交付制度の概要』/『重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係る社会実験のためのガイドライン概要』)

③契約書(37条書面)への記名・押印

契約締結後は、重要事項説明書とは別に“37条書面”と呼ばれる契約書を遅滞なく交付することが必要です。契約書には、重要事項説明書と同様に、宅建士による記名・押印が義務付けられています。

37条書面の交付は、不動産取引の内容や契約締結の事実を明らかにすることが目的です。宅建士は、契約書の内容に誤りがないか確認したうえで、記名・押印を行います。宅建士が記名・押印することで、契約当事者が納得して契約したことと適正な不動産取引が行われたことが証明されます。

重要事項説明書と同様、契約書も書面での交付が義務付けられていますが、IT利活用の拡大に向けて、国土交通省は今後の電子書面交付の検討も行っています。

契約書(37条書面)には、以下のような必要的記載事項と任意的記載事項があります。

▼必要的記載事項

  • 取引の当事者の氏名・住所
  • 物件を特定する情報
  • 物件の引き渡し
  • 移転登記の時期
  • 不動産取引の代金、賃料、支払い方法、支払い時期、交換差金

▼任意的記載事項

  • 契約解除
  • 損害賠償、違約金
  • 契約不適合責任に関する取り決め
  • 原状回復の範囲、金額 など

(出典:e-Gov法令検索:『宅地建物取引業法』 / 国土交通省『重要事項説明・書面交付制度の概要』/『重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係る社会実験のためのガイドライン概要』)

宅建の取得によって得られる効果

宅建を取得して、宅建士証を交付されると、不動産に関する専門知識を備えた者として、通常業務だけでなく独占業務も行えます。また、不動産仲介営業を行うにあたって2つの効果が期待できます。

①顧客との信頼関係を構築しやすい

宅建を取得していなくても、商談や内見などの基本的な仲介営業は可能ですが、顧客によっては宅建の資格を持っている人にお願いしたいという方もいます。

宅建は、不動産取引において専門的知識・経験があることを証明する国家資格のため、顧客によい印象を持たれやすいともいえます。

また、資格の有無で信頼できる営業担当者なのかといった判断基準にもなるため、宅建の取得が信頼関係の構築に有利に働くことも期待できます。


②独立・転職で役に立ちやすい

宅建の取得は、不動産仲介営業のスキルアップや業務範囲の拡大に加えて、独立・転職にも役立ちます。

不動産業を営むには、各事務所において5人に1人の割合で専任の宅建士を設置する必要があります。資格を取得することで、別途雇用する必要がないため、人件費の負担を抑えることができます。さらに、独立開業の道も開けます。

また、宅建士は独占業務があり、不動産業界から重宝されやすいことも効果の一つです。資格を取得することで、独立開業の際に別途有資格者を雇用する必要がなくなり、人件費の負担を抑えることができます。

就職・転職に有利に働く業界は、以下が挙げられます。

宅建が役立つ業界例

不動産業界
不動産仲介会社、不動産管理会社
建築業界
ハウスメーカー、建築事務所、分譲住宅販売会社
金融業界

銀行、保険会社


このように、宅建士は不動産業界だけでなくさまざまな業界で活躍することができます。また、宅建資格を持つ人は数が少なく価値があるため、キャリアアップや年収アップを狙うことも可能です。

まとめ

宅建を取得するかで悩んでいる不動産仲介営業の方に向けて、以下の内容について解説しました。

  • 宅建の資格なしでも仲介営業はできるか
  • 宅建士にしかできない3つの独占業務
  • 資格取得によって得られる効果

宅建の資格がなくても基本的な仲介営業はできますが、重要事項の説明と35条書面への記名・押印、37条書面(契約書)への記名・押印は、宅建士にしかできません。

宅建は不動産取引の専門的知識を有している証明にもなるため、顧客からの信頼を得やすいと考えられます。さらに、専任宅建士の設置義務や独占業務があることによって、独立開業や転職にも有利に働きます。

営業スキルを向上したい方や、独立開業を目指す方、転職でキャリアアップをしたい方は、宅建の取得に向けて勉強を始めてはいかがでしょうか。

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