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不動産営業をフルコミッションで行うメリット・デメリット

近年、副業・兼業・フリーランスなど働き方の多様化が進んでいます。働き方の多様化とともに注目されるのが、完全歩合制の“フルコミッション”という報酬制度です。

不動産会社に勤務していて「今後フルコミッションを取り入れている会社に転職しようか悩んでいる」「仕組みについて詳しく知りたい」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、不動産営業の働き方の一つとなるフルコミッションについて、メリット・デメリットを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.フルコミッションとは
  2. 2.フルコミッションで働く3つのメリット
    1. 2.1.①成果に応じて高収入を得られる
    2. 2.2.②働き方や時間を自由に決められる
    3. 2.3.③ノルマがないことがある
  3. 3.フルコミッションで働く3つのデメリット
    1. 3.1.①無収入になる可能性がある
    2. 3.2.②経費が自己負担になる
    3. 3.3.③確定申告が必要になる
  4. 4.フルコミッション営業の注意点
    1. 4.1.歩合制とは契約形態が異なる
  5. 5.プライベートの時間が持てなくなる可能性がある
  6. 6.まとめ

フルコミッションとは

フルコミッションとは、仕事の成果に応じて報酬が支払われる制度のことです。完全歩合制、完全出来高払いなどといわれることもあります。

フルコミッションで働く場合、固定給ではなく、営業の売り上げや契約数など仕事の成果によって報酬が算出されます。また、自身が個人事業主となって、仕事を依頼する企業との間で業務委託契約を結ぶ必要があります。

正社員や契約社員のように、企業と雇用契約を結んで働く場合、『労働基準法』第27条で以下のように定められています。

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

引用元:e-GOV法令検索『労働基準法

つまり、企業に雇用される場合は、フルコミッションで働くことはできません。不動産営業において、フルコミッションで働くには以下のケースが挙げられます。

▼不動産営業においてフルコミッションで働くケース

  • 会社に勤めながら、副業で別会社と業務委託契約を結ぶ
  • 経営者として働きながら、兼業で別会社との業務委託契約を結ぶ
  • 個人で仕事を請け負うフリーランスとして働く

こうしたフルコミッションの制度は、不動産営業をはじめ、保険営業・カメラマン・クリエイターなど幅広い職種で導入されています。

(出典:厚生労働省『賃金に関する労働基準関係法令等について』/e-GOV法令検索『労働基準法』)

フルコミッションで働く3つのメリット

フルコミッションで働く場合、さまざまなメリットがあります。ここでは、不動産営業をフルコミッションで行う主なメリットを3つ紹介します。


①成果に応じて高収入を得られる

フルコミッションで不動産営業をすると、契約数や売り上げが多くなるほど高収入を得られるといったメリットがあります。

フルコミッションでは、企業との業務委託契約の内容に沿って、1件あたりの契約数や売り上げ金額などの報酬が算出されます。成果がそのまま報酬に反映されるため、頑張り次第で高収入が狙えます。

不動産営業のスキルや経験に自信のある人は、フルコミッションでの副業・兼業によって収入アップを目指すことが可能です。


②働き方や時間を自由に決められる

働き方や勤務時間を自分の裁量で決められることも、フルコミッションのメリットの一つです。企業で定められた勤務時間や仕事の進め方に縛られることがないのが特徴です。

時間の使い方を自分で決められるため、本業での仕事やプライベートの予定を踏まえて、フレキシブルに働くことが可能です。また、仕事の進め方や戦略を自分で考えられるため、働きやすさを感じられるというメリットもあります。


③ノルマがないことがある

不動産営業では、会社によってノルマが設けられている場合があります。毎月のノルマ達成に向けて、残業や長時間労働が発生したり、精神的なストレスを感じたりする人もいます。

フルコミッションにはノルマがないことがあるため、仕事に対する過度なプレッシャーやストレスを受けにくいといったメリットがあります。ただし、自らの売り上げが自分の収入に直結するため、会社に勤める場合とは違ったプレッシャーもあるといえます。

フルコミッションで働く3つのデメリット

フルコミッションは、成果次第で高収入を狙えますが、その分リスクが大きくなります。

ここからは、不動産営業においてフルコミッションで働くデメリットを3つ紹介します。


①無収入になる可能性がある

フルコミッションのデメリットとして、仕事で成果を上げられなければ収入が得られなくなる点が挙げられます。

フルコミッションには固定給がないため、いくら働いても成果を上げられなければ報酬は支給されません。不動産営業のスキル不足によって契約につなげられない場合は、収入がゼロになることもあります。


②経費が自己負担になる

フルコミッションで働く場合、経費が自己負担になるのが一般的です。

会社員として働く場合、業務の遂行や契約に要した経費については、会社に請求することが可能です。一方、フルコミッションでは業務委託契約を結んで働くため、交通費や交際費、ガソリン代などが自己負担になります。

成果が出なければ、経費の支出だけが増えていき、経済状況が厳しくなることも考えられます。


③確定申告が必要になる

フルコミッションの場合、確定申告の手続きを自分で行う必要があります。

会社員として働く場合は、会社側で確定申告の書類手配や手続きを行うのが基本です。しかし、フルコミッションは個人事業主という扱いになるため、確定申告は自身で行う必要があります。

税理士に確定申告の手続きを依頼する場合は、報酬の支払いも発生するため費用がかかります。

フルコミッション営業の注意点

フルコミッションで不動産営業を始める場合、契約形態や働き方に関する注意点について知っておくことも重要です。


歩合制とは契約形態が異なる

フルコミッションは“完全歩合制”という意味がありますが、混同されやすい契約形態として“歩合制”があります。フルコミッションと歩合制では、雇用形態や報酬の支給方法が異なります。

▼フルコミッション(完全歩合制)

契約形態
  • 業務委託契約
  • 個人事業主となり、正社員・アルバイトの扱いにはならない
報酬
  • 基本給がない
  • 契約内容に基づいた完全成果報酬


歩合制

契約形態
  • 雇用契約
  • 会社に所属して、正社員やアルバイトとして働く
報酬
  • 基本給がある
  • 成果に応じた歩合給を固定給に上乗せして支給
  • 『労働基準法』第27条で定められた出来高払いの保障給を満たす必要がある


(出典:厚生労働省『賃金に関する労働基準関係法令等について』/e-GOV法令検索『労働基準法』)

プライベートの時間が持てなくなる可能性がある

不動産営業においてフルコミッションで働く場合、プライベートと仕事の時間を区別しにくくなる可能性があります。

商談だけではなく、スケジュール管理や商談後のフォロー、契約書の作成といったバックオフィス業務もすべて自身で対応する必要があります。仕事とプライベートの時間をしっかりと区別するための工夫も求められます。

まとめ

この記事では、不動産営業のフルコミッションについて、以下の項目で解説しました。

  • フルコミッションとは何か
  • フルコミッションで働くメリット・デメリット
  • フルコミッション営業の注意点

フルコミッションという働き方には、成果を上げた分だけ報酬が得られる、働き方や時間を自由に選べるなどのメリットがあります。一方で、売り上げや契約がなければ報酬が得られない、経費が自己負担になる、社会保障の範囲が狭くなるなどのデメリットもあります。

また、顧客商談だけでなく、会計処理、確定申告といった業務も自身で行うため、お金や事務手続きに関する知識も必要です。

今回挙げたメリット・デメリットを理解したうえで、自分の経済状況や性格に応じて、フルコミッションに向いているかどうかを判断することが大切です。

以下のページでは、不動産営業に役立つコラムを掲載しています。併せてご確認ください。

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