【不動産売買仲介営業向け】営業力強化シリーズ~今日からできる反響対応テクニック~
本コラムは不動産売買仲介営業の皆さまに向けた「個人と組織全体の営業力向上」をテーマにしたシリーズコラムです。本シリーズコラムを通して、個人の能力開発だけでなく、結束力の強い営業組織作りの支援をできればと思っております。
前回のコラムでは住宅購入検討者への理解を深めることを通して、市況にアンテナを張り、求められている対応や情報を考え実践していくことが重要であることをお伝えしました。
本コラムでは反響対応力向上のために必要な考え方と、今日からできる実践テクニックを
解説していきます。
前回のコラムはこちらからご覧いただけます。
【不動産売買仲介営業向け】営業力強化シリーズ~住宅購入検討者への理解を深める~
目次[非表示]
反響対応 基本の原理原則
購入反響・売却反響、どちらの反響対応においても共通した基本の原理原則があります。
それは「反響対応の型をつくること」「結果を振り返ること」この2つです。
型とは反響が発生してから反響対応をどのように・どんな内容で実施するかという運用ルールを指しています。すでにこの型ができている場合は、参考程度にご覧くださいませ。
まだ型ができていない場合は「今日から使える反響対応の実践テクニック」の内容を基にぜひ、反響対応の型を作成してみてください。
購入検討者・売却検討者に、反響対応で「振り向いていただくこと」が成約・媒介獲得に繋げための重要なポイントとなります。また条件に合った物件がないなどの理由で、長期検討している可能性もあるため、休眠リストへのアタックなどの顧客管理も大切です。
こういったリストへの考え方が体系化されていると、新卒や中途未経験の社員が即戦力化しやすくなり、属人化を防ぐことができます。休眠リストへのアタックや顧客管理については今後のシリーズコラムでお伝えする予定です。
ユーザーから連絡がない3つの理由
「メールを送ったのに返信がない」「電話しても繋がらない」というお悩みを多く伺います。顧客から連絡がない理由として以下の3つが考えられます。
理由1:連絡が“適切に”届いていない
理由2:初回接触時の対応に不満
理由3:他社へ返信済み
理由1「連絡が“適切に”届いていない」については、いますぐできる工夫で打開できる可能性が高いです。以下でお伝えするテクニックで実践していないものがあれば実践をおすすめします。
今日から使える反響対応の実践テクニック
この後今日から使えるテクニックを解説していきます。まず前提として、検討客は皆さまの会社だけに興味を持っているわけではありません。特にインターネット集客の場合は、比較検討されているということを忘れずに対応を心がける必要があります。
今日から使える反響対応の実践テクニック<電話編>
すべての連絡手段において共通していえることですが、マナーや言葉遣いなどの土台がしっかりしていないと、どんなに魅力的な提案をしても、商談はなかなかうまく進みません。
電話対応における評価指標をスキルごとに定め、対応の良し悪しを判断し改善していく必要があります。すでに所属する会社で評価指標がある場合は、以下を参考に必要があれば見直していただき、ない場合は以下を参考に、自社の評価指標を作成しましょう。
評価指標を作成したら、店舗責任者の方は所属する営業組織について、営業担当者の方はご自身の現状について把握しましょう。
ぜひ、実際の対応またはロープレを録音録画してみてください。ご自身の対応を見てみる・聞いてみることで「もっと声色を明るくした方がよい」「話のペースが速い」など、自身が思っている対応とのギャップに気が付くことができると思います。自身の対応が一番良い教材となります。
スキルの評価指標が定まり、自身の対応の改善点も把握できれば、改善・振り返りを継続することでより良い印象を与える電話対応が可能となります。
今日から使える反響対応の実践テクニック<ショートメッセージ(SMS)編>
電話対応で好印象を残し、各スキルの向上が必要なことは理解したけれども、電話を掛けても繋がらない!と考えていらっしゃいませんか。電話を掛けても繋がらないというのは、不動産営業に関わらず多い状況です。そんな場合はぜひ、ショートメッセージ(SMS)を活用してみてください。
ショートメッセージ(SMS)活用を推奨する理由は以下です。
1. 「どこの誰」が「どの電話番号」から掛けたかわかるようにし、次回の電話に出てもらいやすくするため
2. メッセージの視認率が高いため
※ショートメッセージ(SMS)はプッシュ通知をオンにしている方が多く、また一人当たりの受信数も少ないため、メールと比較して見られる可能性が高いと考えられます。
3. 電話・メール以外での接点機会を作るため
電話が繋がった場合・繋がらない場合共に、「先日お問合せいただいた〇〇マンションの件で詳細をメールでお送りします」といった内容でショートメッセージを送信する「電話×ショートメッセージ×メール」をひとつのワンパッケージとして、ぜひ反響対応の型としてみてはいかがでしょうか。
今日から使える反響対応の実践テクニック<メール編>
続いて「連絡を“適切に”届ける」ためのメール構成の6つのポイントについてお伝えいたします。この6つのポイントを押さえることで、ユーザーへ届きやすいメールになります。それでは、それぞれのポイントについて解説していきます。
1. 差出人名と件名
まずは、ポイントの1つ目「差出人名と件名」についてです。
この2つを確実に記載することをぜひ徹底してください。メール本文がいかに良い文章であっても、この2点ができていないと「読まれない」可能性が大きくなります。
▼差出人名
差出人名が設定されていないケースが見受けられますが、アドレスのみだと迷惑メールだと誤解される可能性があります。
下記の例のように「会社名+名前」の設定を推奨いたします。
例:【LIFULL不動産】山田太郎
▼件名
差出人名と件名を見て、メールを開封するかどうか判断するケースが多いと考えられます。そのため件名は20字程度とし、以下のポイントを押さえて作成しましょう。
・具体的な内容を盛り込む
・ユーザー名を敬称付きで記載する
・目につく工夫を実施する
例:【鈴木花子様】お問合せの御礼_〇〇マンション
2. 挨拶と名乗り
マナーとして必ず記載することを推奨いたします。挨拶と名乗りをきちんと記載することで、“丁寧さ”を印象付けることができます。
3. 概要(用件)
メールの本文が長くなる場合を想定し、要約や目次があると、興味をもってメールを読んでもらうことができます。また丁寧な印象を与えることもできます。
4. 本文
ユーザーにもいろいろな考えの方がいらっしゃるので絶対の正解はありません。ここでは、押さえておきたいポイントを共通・購入・売却それぞれで解説いたします。
<購入検討者・売却検討者>
・反響元の媒体名を記載しましょう
個人情報の出所を気にされるユーザーもいらっしゃるので、どのサイト・ホームページからの問合せへの返信かを明記してください。
<購入検討者>
・問合せ物件情報を明記しましょう
複数の物件を問合せているケースが想定されるため、物件情報を記載することで、問合せ意図や問合せ時のことを想起してもらいやすくなります。
・問合せ物件のおすすめポイントを営業担当者の言葉で3つ程度に集約して明記しましょう
<売却検討者>
・「簡易査定の結果」「今後の流れ」を必ず記載しましょう
・エリアに強い担当者であることをアピールしましょう
「物件所在地周辺の不動産売買事情に詳しい担当者」として、エリア情報や特性を意識した自己紹介を心がけましょう。
・回答期限を具体的にしましょう
査定に時間がかかってしまう場合でも、反響対応は迅速に行うことが重要です。その際に、査定結果の報告が遅くなる理由といつまでに報告できるかを具体的に記載しましょう。こうすることで売却までの主導権を握る効果も期待できます。
5. 末文
末文には「相手に対して望むアクション」を記載することを推奨いたします。こうすることでメールを読んで終わりではなく、読み手に対して「このあと〇〇をする」という意識づけが期待できます。
6. 署名
最後に署名についてです。署名はぜひ「電子版の名刺」だと考えてください。
スタッフ紹介ページなど、不動産会社側から早い段階でプロフィールを開示することでユーザーの信頼を獲得することができます。
「連絡を“適切に”届ける」ためのメール構成の6つのポイントについてお伝えしました。このコラムを読んだあとからすぐに実践できるものが多いのではないでしょうか。
また前回のコラムでお伝えいたしましたが、昨今は不動産情報を調べる際のスマートフォン利用率が高い状況です。6つのポイントに加えて、作成したメールをご自身のスマートフォンに送信し、スマートフォンでの見やすさもぜひチェックしてみてください。
前回のコラムはこちらからご覧いただけます。
【不動産売買仲介営業向け】営業力強化シリーズ~住宅購入検討者への理解を深める~
▼スマートフォンでの見やすさを意識したメールとそうでないメールの比較
今日から使える反響対応の実践テクニック<まとめ>
では、反響対応の実践テクニックについてポイントをまとめてお伝えします。できていること/できていないことを切り分けて、今日から改善すべき箇所をピックアップし、ぜひ実行してください。これを実行することでPDCAサイクルの習慣化が生まれ、継続的な反響対応力の向上に繋がります。
まず「電話×ショートメッセージ×メール」の型(運用ルール)をつくることが重要です。すでに型をつくっている場合も、ぜひ細かいところまで型を決めることを推奨します。
▼電話対応
スキルごとに評価指標を決めましょう。
マナー面で好印象を与え、ヒアリング内容を決めることで一定水準のヒアリングを実施できます。
▼電話が繋がらなかった場合
SMSを速やかに送り用件を簡潔に伝えましょう。
事前にSMSのテンプレートを用意しておくと、スムーズにSMSの送付が可能となります。
▼メール対応
6つのポイントを押さえたテンプレートを作成し、後回しにせず、即対応しましょう。
LIFULL HOME'S 接客診断から見る「反響対応の良い例・悪い例」
ここではLIFULL HOME'S 接客診断のデータに基づいて、反響対応の良い例・悪い例に対する実際のユーザーの声をご紹介します。
前章まででお伝えした内容がどこのポイントにあたるのか、ご自身の反響対応と比較してできているポイント・できていないポイントはどこなのか考えながらご覧くださいませ。
LIFULL HOME'S 接客診断とは反響発生後のメール対応から電話対応、店舗訪問、物件見学、提案、クロージングにいたるまで、約90の調査項目で調査員がチェックし、調査結果レポートをご報告するサービスです。
詳細につきましてはこちらからご覧いただけます。
反響対応の良い例
「電話×ショートメッセージ×メール」ができている例
メールの件名だけで問合せの返信であるとわかることや、本文の内容が簡潔でわかりやすいことが評価されています。メール対応に加え、「架電予定(架電するも不在)×ショートメッセージ」と完璧に近い反響対応を実施している例です。
顧客理解を深めるアクションがある例
顧客理解を深めるためのヒアリングを実施していることで、ユーザーに安心感を与えることができている例です。また初回対応完了後の、反響の割り振りまでの一連の流れがルール化されていることが見受けられます。
反響対応の悪い例
「電話×ショートメッセージ×メール」ができていない例
以下2つの例は、電話連絡はしているが、ショートメッセージやメールが欠けている例です。
電話が繋がらない場合は、ショートメッセージ・メールに加えて、留守番電話を残すとより丁寧な印象となります。留守番電話を再生する際に、通話料が掛かるケースもありますので、ショートメッセージやメールに留守番電話の内容を記載するなどの配慮も必要と考えられます。
反響対応電話のルールの見直しが必要な例
声のトーンやマナーは好印象なものの、ヒアリング不足により信頼の獲得ができていない例です。ユーザーが安心して来店できるよう電話対応における評価指標の見直しが必要です。また店舗の場所がわかりにくい場合は、来店時の交通手段ごとの案内もルール化しておくとより良いでしょう。
まとめ
本コラムはいかがでしたでしょうか。お伝えした内容について、できていること/できていないことを切り分け、改善すべき箇所をピックアップし、ぜひ実行してみてください。
皆さまの反響対応力向上のお役に立てれば幸いです。