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転貸可能な物件でも民泊利用はNG! 早期発見のノウハウとトラブル防止策

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観光庁のデータによると、2026(令和8)年3月時点における住宅宿泊事業(民泊)の届け出住宅数は4万件弱に達しており、インバウンド需要の回復とともに民泊市場は拡大を続けています。

こうしたなか、管理会社が実務上対応に苦慮することがあるのが、転貸を承諾している物件で民泊営業が行われているケースです。

転貸を認めている以上民泊も認めるべきなのか、民泊営業をやめさせる法的根拠や対応に迷う担当者も少なくないのではないでしょうか。無断民泊が行われている状況で対応が遅れれば、近隣トラブルを招き、オーナーからの信頼失墜にもつながりかねません。

本記事では、転貸承諾物件における民泊利用の違法性と契約解除の可否を解説したうえで、トラブル発生時の実務的な対応手順と防止策を紹介します。

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転貸を承諾した物件での民泊利用|違法性と契約解除の可否

転貸を承諾している物件であっても、入居者が無断で民泊を行うことは原則として認められません。

ここでは、民泊利用がどのような法律違反に該当するのか、そして契約解除の可否について解説します。

転貸許可があっても、民泊は用法遵守義務違反として対抗できる

賃貸借契約上、借主は物件を契約上の目的に従って使用する用法遵守義務を負っています(民法第594条1項・第616条)。居住用建物で転貸が許可されていても、その許可はあくまで「特定の人が生活の拠点として使用すること」を前提とした承諾です。

民泊は宿泊に該当し、居住とは法的に異なる使用目的と見なされます。

  • 居住:特定の者が一定期間生活の拠点として継続使用
  • 宿泊:不特定多数の人が1泊単位などの短期間で入れ替わり利用

居住用物件での転貸許可は「別の居住者が住む」ことへの承諾であり、「不特定多数が短期滞在する宿泊施設としての使用」への承諾ではありません。

したがって、賃貸人の明示的な承諾がない限り、無断民泊は用法遵守義務違反に当たります。

無断民泊を理由とした契約解除は可能

無断民泊が発覚した場合、賃借人の対応次第では契約解除を検討することになります。ただし、賃貸借契約の解除には「信頼関係破壊の法理」が適用される点に注意が必要です。

信頼関係破壊の法理

賃貸借契約の解除は軽微な違反だけでは認められず、当事者間の信頼関係が破壊されたと客観的に認められる特段の事情が必要となる原則

無断民泊は、不特定多数を物件に出入りさせ、経済的利益を得ることを目的として行われます。そのため、親族を一時的に住まわせるような軽微なケースとは異なり、契約義務違反の程度が高いと判断される傾向があります。

実際に、転貸許可があった物件にて無断で民泊利用が行われた事案において、裁判所が用途義務違反による契約解除を認めた判例もあります(東京地裁平成31年4月25日判決)。

無断民泊が発覚した際の対応手順

無断民泊が行われていることを確認した場合、管理会社は迅速かつ法的に正しい手順で対応する必要があります。

ここでは、証拠保全から法的手続きへの移行まで、対応手順を解説します。

証拠保全と内容証明郵便による通告

無断民泊の事実を確認したら、口頭での注意にとどまらず、法的手続きを見据えた証拠保全を進めます。言った・言わないのトラブルを防ぐためにも、客観的な記録の確保が重要です。

収集すべき証拠の例は、以下のとおりです。

  • 近隣住民からの苦情履歴(騒音・ゴミ出しの違反など)
  • キーボックスの無断設置(写真)
  • 民泊予約サイト上の掲載画面 など

証拠が揃った段階で、入居者に対して内容証明郵便を送付します。この内容証明郵便では、民泊営業の即時中止を求めると同時に、従わない場合は契約を解除する旨を明確に通告します。

契約解除通知と明渡し請求訴訟への移行

内容証明郵便による通告後も民泊営業が継続される場合は、法的手続きへと移行します。

具体的には、内容証明郵便によって用法遵守義務違反を理由とする賃貸借契約の解除を通知します。その後、入居者が退去に応じない場合は、弁護士を通じて建物明渡請求訴訟を提起するという流れです。

訴訟をスムーズに進めるためにも、事前に収集した近隣トラブルの履歴や民泊予約サイト上の掲載記録などの証拠が重要です。

民泊ゲストの宿泊を防ぐ「占有移転禁止の仮処分」

建物明渡請求訴訟を進めるうえでは、民泊特有のリスクがあります。具体的には、裁判に勝訴したとしても、強制執行を行う当日に宿泊客が滞在していた場合、判決の効力が宿泊客には及ばず、強制執行が空振りになる可能性があるという問題です。

この問題は、宿泊利用者自身は賃借人ではないため、賃借人に対する建物明渡し判決の効力がただちに宿泊利用者に及ばないために起こります。

この問題を防ぐため、訴訟提起前に「債務者不特定の占有移転禁止の仮処分(民事保全法第25条の2)」の申し立てを検討します。

債務者不特定の占有移転禁止の仮処分とは、不動産の占有者を特定することを困難とする特別の事情がある場合に、債務者を特定しないで仮処分命令を出す手続きです。

この手続きを行っておくことで、頻繁に入れ替わる宿泊利用者に対しても判決の効力を及ぼすことが可能になり、強制執行をより確実に進めやすくなります。

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民泊トラブルを未然に防ぐ予防策と早期発見のノウハウ

管理会社としては、無断民泊を発生させない、あるいは早期に発見する体制を整えることが重要です。

ここでは、契約段階での予防策と早期発見のポイントを解説します。

契約時の特約条項で転貸時の民泊利用を禁止する

無断民泊によるトラブルを防ぐには、「住居としてのみ使用する」という文言だけでなく、特約条項として「民泊禁止」を具体的に明文化しておくことが大切です。

例外的に転貸を承諾するケースでも、以下のような文言を組み込むことを検討してください。

【特約条項の記載例】

  • 民泊、宿泊施設としての利用、またはそれに類する不特定多数の者の出入りを伴う使用を一切禁止する
  • 転借人(実際に居住する者)の使用目的も住居に限定する

特約条項を明記しておくことで、違反時の契約解除をより確実に進めやすくなります。また、転貸承諾のリスクを的確に管理することで、オーナーの信頼獲得につながります。

日常の現地確認で無断民泊の兆候をチェック

民泊営業が行われている物件には、日常の巡回や清掃業務の中で気づける特有の兆候が現れることがあります。以下のポイントを意識的に確認することで、早期発見の可能性が高まります。

  • エントランス・玄関:キーボックスの無断設置
  • 郵便受け:複数人の宛名や見慣れない外国人名の表記
  • ベランダ:単身用とは思えない大量の衣類やタオル
  • ゴミ集積所:不分別や曜日違いによる不法投棄

これらの兆候は単独では判断が難しいこともありますが、複数の兆候が重なる場合は民泊営業の可能性が高いと判断し、調査を進めることが重要です。

民泊予約サイトを定期モニタリング

現場の確認と並行して、Airbnbなどの民泊予約サイトを定期的に監視することも対策の一つです。物件の正確な住所は掲載されないケースが多いものの、以下のような情報から自社の管理物件を特定できる可能性があります。

  • 外観の特徴やエントランスの形状
  • 部屋の梁の形状・特徴的な間取り・壁紙のデザイン
  • 窓から見える景色(隣接するビルや看板など)

管理会社としては、月1回などの定期的なモニタリングができる体制を整えておくことが望ましいといえます。

まとめ

転貸を承諾している物件でも、無断民泊は用法遵守義務違反に当たり、契約解除の根拠となり得ます。近隣トラブルや資産価値低下を防ぐためにも、管理会社として以下の対応を整えておくことが重要です。

契約時に特約条項で民泊・宿泊利用を明示的に禁止する

巡回・清掃時のチェックと民泊予約サイトの定期モニタリングによる早期発見の体制を整える

無断民泊が発覚した場合、証拠保全から内容証明による通告、契約解除通知、明渡し請求訴訟という適正な手順で対応する

予防・早期発見・迅速な対応を柱とした管理体制を整えることで、オーナーからの信頼獲得につながります。

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▼著者

吉満 博
吉満 博
不動産コンサルタント・ライター。株式会社あつみ事務所 代表取締役。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性を踏まえ、長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供する。また、購入・住み替え前のライフプランニングから、資金計画や住宅ローン、保険の見直しなど、お金に関するセカンドオピニオンを提供。不動産・住宅ライターとして、不動産メディアを中心に、これまでの建築設計、不動産売買の経験を踏まえた記事執筆をおこなう。

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