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2023年版“借りて住みたい街”ランキング発表!

LIFULL HOME’S総研の中山です。

コロナ禍の発生および長期化に伴って“住みたい街”のランキングも大きく様変わりしました。特に首都圏では都心の人気エリアがランクを落とし、代わって準近郊や郊外の街が上位に登場するようになりました。

LIFULL HOME’Sではニーズや住宅に求める機能の違いから“借りて住みたい街”と“買って住みたい街”を分けて集計・公表していますが、とりわけ“借りて住みたい街”のランキングはコロナ前とコロナ禍の3年間では違いが明確です。

なおLIFULL HOME’Sのランキングはアンケート調査ではなく、ユーザーが検索して問合せした件数を集計しています。つまり、いま本当に住むことを前提としている街のランキングだということにご留意ください。

目次[非表示]

  1. 1.首都圏の“借りて住みたい街”は上位を郊外が独占
  2. 2.対照的に近畿圏&福岡県は中心部一極集中 しかし中部圏は…

首都圏の“借りて住みたい街”は上位を郊外が独占

今回はLIFULL HOME’Sが2月上旬に公表した“みんなが探した!借りて住みたい街ランキング”がとても興味深い結果になりましたので、その概要を特徴や傾向と共にご紹介します。

首都圏では1位「本厚木」、僅差で2位「大宮」、3位「八王子」、4位「柏」、5位「三鷹」と上位を都心から30分~1時間程度離れた準近郊&郊外の街が独占しました。

借りて住みたいユーザーは、何かと便利であることを重視しており、会社に近くて便利、買物に便利、遊びに行く&旅行するのに便利、などといった交通と生活の利便性を前提にエリアを選択して、その利便性の対価として相応の賃料を支払うのですが、この結果を見ると利便性重視ではなく、都心よりも賃料が安価、かつ駅勢圏(繁華性のある駅周辺の商圏)が比較的広い街に人気があることがわかります。

また、都心まで通勤・通学するのにほぼ乗り換えなしで行けるという共通項もあります。テレワークなどによって毎日通わないのであれば、賃料が都心より安価で生活利便性が相応に高いところを選ぼうという意思がはっきりと感じられます。

では、都心近郊の街はどうかというと、コロナ前に4年連続1位だった「池袋」は12位、ほか上位には「三軒茶屋」、「高円寺」、「中野」が入っているくらいです。コロナによって劇的に我々の生活が変わってしまったことがこの結果から伝わってきます。

しかもこのところの物価の上昇は生活全般に直接影響していますから、なおさら賃料の高いところで暮らし続けるイメージが持てない状況になっています。日銀の植田新総裁は金融緩和策の継続を示唆していますから、日本と主要諸国との政策金利差は今後も拡大し、円安による物価高騰も継続する可能性が高いといえます。

したがって、生活防衛という意味でも“借りて住みたい街の郊外化”にはなかなか歯止めが掛かりそうにありません。東京23区の移動人口は2022年5月以降出ていく人のほうが多い“転出超過”が続いています。

対照的に近畿圏&福岡県は中心部一極集中 しかし中部圏は…

近畿圏の借りて住みたい街は、1位「江坂」、2位「三ノ宮」、3位「大正」、4位「出町柳」、5位「大国町」というベスト5になりました。いずれも大阪、神戸、京都の中心市街地で極めて交通&生活利便性の高い街が上位を占めています。

首都圏とは正反対の結果ですが、これはテレワークの実施率に大きな違いがあり、近畿圏では15%程度の企業しか現在テレワークを実施しておらず、しかも実施していても毎週1回が最多とのことですから、ほぼ毎日出勤するのであれば交通利便性が重視されるのは当然のことです。

また中心部と郊外での賃料格差が平均で1.3倍程度にとどまるため(首都圏では2倍以上)、郊外に転居してもコスト削減のメリットは希薄です。

同様に九州圏でも1位「博多」、2位「西鉄平尾」、3位「大橋」、4位「高宮」、5位「東比恵」と福岡市中心部が上位を独占しています。福岡県はさらに圏域がコンパクトですから、中心部近辺で職住近接の生活を送ることが前提となっており、住みたい街が郊外化する可能性はほとんどないといえます。

ただし、中部圏では1位「岐阜」、2位「豊橋」、3位「岡崎」、4位「新栄町」、5位「藤が丘」と名古屋の“衛星都市”がベスト3を占め、名古屋市内の街がそれに続くというランキング構成になりました。また7位以下に「豊田市」、「東岡崎」、「尾張一宮」など名古屋市以外の街も登場しています。特に“岐阜人気”は高く、ここ数年常に上位を譲りません。名古屋駅から30分弱でアクセスできる利便性と賃料の安さは、首都圏の「本厚木」、「大宮」、「柏」などの人気と重なります。

テレワークの実施状況は大阪同様高くはありませんが、名古屋市内と周辺エリアでは賃料に開差があり、中部圏でもコスト上昇を懸念するユーザーが積極的に郊外エリアで住宅を探していることがわかります。

今後、円安が継続し消費者物価がさらに上昇することになれば、近畿や福岡でもより賃料の安価なエリアでの物件探しが本格化する可能性が出てきます。単に“住みたい”という希望だけでなく、経済面からもコスパの良好な“身の丈郊外”がこれから注目されることになりそうです。

 
中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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