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コロナ後の賃貸ユーザーの動きが鮮明 首都圏シングル向け賃貸問合せ数急上昇ランキング

コロナ後の賃貸ユーザーの動きが鮮明 首都圏シングル向け賃貸問合せ数急上昇ランキング

LIFULL HOME’S総研の中山です。
今回はコロナ後の賃貸ユーザーがどのエリアに注目して物件を探しているのか、物件ごとの問合せ数を基に、反響が急増した駅のランキングとその傾向&共通項について考えてみたいと思います。「みんなが探した!借りて住みたい街2024」と同じく、賃貸ユーザーの問合せ数から算出したものですから、今“旬”のエリアがどこで、どのような特徴があるのかがわかります。

目次[非表示]

  1. 1.東京:城東エリア&普通停車駅での問合せが急増
  2. 2.京急線、京成線、埼玉高速鉄道…共通するのは賃料相場が相対的に安価なこと

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東京:城東エリア&普通停車駅での問合せが急増

2022年度と2023年度を比較して問合せ増加率1位となったのは、東京メトロ日比谷線「神谷町」です。前年度比190.1%と約2倍の問合せ数を獲得した背景には、“麻布台ヒルズ森JPタワー”が2023年11月に開業し、多くの新たな雇用やビジネスを創出したことがあります。都心のど真ん中ですから賃料相場は14万円前後と決して安価ではありませんが、最新のビジネス拠点の近くに住んで職住近接を実現したいという若年単身者層のニーズが反映されています。

2位以下には、3位東武亀戸線「亀戸水神」、5位都営地下鉄大江戸線「勝どき」、8位京成本線「京成関屋」など城東エリアの駅名が上位にランクされました。「勝どき」にはシニア&ケアレジデンスを含めて1,300戸を超える賃貸物件が現在も供給されていますから問合せが急増するのも当然ですが、城東エリアが人気なのは、交通利便性が高い割に賃料相場が比較的安価であることがその要因です。

コロナ明けでほぼ毎日通勤・通学する日常が戻ってきたため、再び職住&学住が近接していることが重視されるようになりましたが、その場合にネックとなるのは賃料相場です。特に2024年に入ってから都心近郊の賃料相場は消費者物価の高騰や円安を要因として賃料改定=値上げの動きが顕在化していますから、少しでも賃料が安価なエリアで探そうという意識が賃貸ユーザーの間で高まっていることが明らかです。

また、2位の京急本線「鮫洲」、4位の京王井の頭線「西永福」、7位の東急大井町線「荏原町」など、都心近くで通勤・通学時間は短くても、普通停車駅で賃料相場が比較的安価な駅も上位に入っていますから、賃料相場と都心回帰の動きは密接に関係していることがわかります。

コロナ後の賃貸ユーザーの動きが鮮明 首都圏シングル向け賃貸問合せ数急上昇ランキング

京急線、京成線、埼玉高速鉄道…共通するのは賃料相場が相対的に安価なこと

周辺3県のランキングでは、神奈川で問合せ増加率225.0%となって1位を獲得した京急本線「京急東神奈川(旧:仲木戸)」をはじめ、5位と同率6位に京急大師線「川崎大師」「鈴木町」「港町」が並ぶなど、京急線沿線の駅がベスト10のうち7駅を占めたことが注目されます。いずれも京浜湾岸エリアに位置していて住宅地として活用され始めてからの期間も短いため、賃料相場が安価な駅であることが共通しています。

同じく、千葉でも問合せ増加率183.1%で1位の京成本線「市川真間」を筆頭に、2位京成千葉線「みどり台」、5位にも同線「千葉寺」ほか、京成線の駅が5駅ランクインしています。埼玉では問合せ増加率144.4%で1位の「北朝霞」、6位の「航空公園」など、都心から離れていても以前から人気の高い武蔵野線、西武線の普通停車駅の問合せ数が急増したのに加えて、埼玉高速鉄道「浦和美園」が2位にランクインしました。

いずれも都心方面に乗り換えなしで行けるアクセスが良好な駅ですが、千葉・埼玉のJR線沿線の各駅と比較すると以前から賃料相場が安価に推移していて、生活コストが軽減できてコスパのよいエリア&沿線、駅として知られているところでの問合せ数が明確に増加しています。これらの駅はターミナル駅ではありませんが、駅勢圏の広いターミナル駅まで数駅程度しか離れておらず、なかにはターミナル駅に徒歩圏の駅もあって、生活利便性が良好であることも共通する条件です。

また、東京で10位の多摩都市モノレール「中央大学・明星大学」や、神奈川2位のJR南武線「武蔵溝ノ口」、千葉1位の京成本線「市川真間」、埼玉5位の東武東上線「高坂」など、大学キャンパスの最寄りとなっている駅も問合せが急増しており、やはりコロナ明けでほぼ毎日通学することが前提となって、大学や専門学校に通うのに便利で賃料相場も安価なエリアでの居住ニーズが顕在化していることがよくわかります。

このように、コロナ明けで賃貸物件への居住ニーズが高まったエリア・駅には、コロナ禍の時期と同様に賃料が安価な水準であることが求められる傾向がはっきりしていますが、ただ単に賃料が安いだけでは問合せは増えておらず、賃料相場が安価な割に交通利便性および生活利便性が高いことが条件となっています。

したがって、コスパ重視の物件選択という傾向が明確になっており、さらにタイパ=所要時間対効果も同様に重視されていることが浮き彫りになっています。コロナ明けの賃貸物件は“便利な割に安価に借りられる”ことが必須条件のようですね。

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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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