「土地境界のみなし確認制度」が2024年7月から適用開始
地籍調査作業規程準則の一部を改正する省令が、2024年6月28日に公布・施行されました。新たに導入される「土地境界のみなし確認制度」(無反応土地所有者への対応)について解説します。
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土地境界のみなし確認制度開始の背景
「地籍」とは、いわば「土地の戸籍」です。土地に関する記録は登記所で管理されていますが、登記所に登録されている地図や図面は、明治時代の地租改正時に作られた地図(公図)などをもとにしており、正確性に欠けるケースが多々あります。地籍調査は1951(昭和26)年から実施されており、70年以上が経過していますが、2023年度末時点における地籍調査の進捗率は53%とあまり進んでいません。土地の境界の確認は、土地所有者など関係者が双方の合意の上で土地の境界を確認することが必要で、調査には多くの手間や時間がかかるという課題があります。
地籍調査は土地境界のトラブル防止や、所有者不明土地の発生抑制、災害時の復興に役立つなどの効果がありますが、前述のとおり進んでいない状況があります。それを踏まえ、国土交通省は2024年3月29日、地籍調査及び土地分類調査の加速化に向けた具体的方策の方向性に関する報告書をとりまとめました。一部の土地所有者が現地調査等の通知を行っても反応がなく、円滑な調査の妨げとなっていることから、今回、地籍調査作業規程準則が改正されるに至りました。
(出典:国土交通省 土地境界のみなし確認制度周知リーフレット )
具体的な改正内容は?
土地所有者が現地確認の呼びかけに応答がなかった場合、周辺の土地も含めて「筆界未定」という処理がされ、事実上、取引が難しい土地になってしまいます。この事態を避けるため、通知に無反応な所有者がいる場合、手続きを以下の流れで進めることができるようになりました。
1 無反応な所有者へ図面など調査の通知を送付
↓
意思表示なし
↓
2 筆界案作成、所有者へ送付
↓
筆界案が到達した日から申し出なく20日間経過
↓
3 当該所有者等による筆界案の確認があったものとみなして調査、地籍整備
(出典:国土交通省 土地境界のみなし確認制度周知リーフレット )
詳細や本改正に関するQ&Aは、国土交通省 地籍調査Webサイトの 「土地境界のみなし確認制度(無反応土地所有者への対応)の創設」を参照ください。
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