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「アパート階段の維持管理」3つのポイント

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アパートの階段は入居者の毎日の生活動線に含まれており、その維持管理は賃貸管理会社にとって重要な業務です。

腐食や劣化を放置すると、転落や崩落といった重大事故のほか、「階段の音がうるさい」という騒音トラブルにもつながり、入居者の不満や信頼低下を招きます。実際に過去には崩落事故が発生しており、国土交通省も防腐措置に関するガイドラインを示しています。

この記事では、賃貸管理会社が押さえておくべきアパート階段の維持管理ポイントを具体的に解説します。日々の業務に取り組む際にぜひ参考にしてください。

アパート階段の維持管理が必要な背景とは

ここでは、アパート階段の維持管理が必要とされる具体的な背景について解説します。

入居者の安全を確保するため

入居者の安全を守るためには、老朽化した階段を放置しないことが最も重要です。階段は日常的に利用される設備であり、腐食や劣化が進めば突然破損する恐れがあります。

実際に、階段の崩落によって入居者が死亡する事故も報告されていることからも、命を落とすほどの重大なリスクにつながることがわかります。特に高齢者や子どもは転倒や転落による被害が大きくなりやすいため、早期に耐久性の低下を把握し、修繕につなげる仕組みを整えることが欠かせません。

建物の資産価値と賃貸管理会社の信頼を守るため

老朽化した階段を放置すると、建物全体の資産価値が下がり、賃貸市場での競争力を失う恐れもあります。入居希望者に「管理が行き届いていない物件」という印象を与えることで入居率が低下すれば、オーナーの収益悪化にも直結するでしょう。

さらに、劣化による事故や騒音クレームが発生すれば、賃貸管理会社への信頼も損なわれかねません。資産価値と信頼を守るためには、階段の状態を定期的に確認し、必要に応じて迅速に修繕や改善を行うことが重要です。

アパート階段がうるさいことによる入居者トラブルを防ぐため

木造や軽量鉄骨造のアパートの階段は鉄筋コンクリート造に比べて音が響きやすく、入居者トラブルの原因になりやすい設備だといえます。特に階段に近い部屋では足音の影響が大きく、生活の快適性が損なわれかねません。

また、靴の種類によっても音の響き方は異なり、特にハイヒールは「カツカツ」、サンダルは「バタバタ」と響きやすい特徴があります。賃貸管理会社は、張り紙で注意を促すだけでなく、防音性のある素材を階段に貼るなどの対策を講じることで、不満や退去リスクを抑えることが可能です。

アパート階段の維持管理不足による過去の崩落事故事例

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老朽化した鉄骨階段

アパートの階段の劣化を放置すれば、入居者の命に関わる重大事故につながります。全国では腐食や老朽化、施工不良が原因の崩落事故も発生しています。

ここでは代表的な2つの事故事例を紹介し、賃貸管理会社が学ぶべきリスクと再発防止の視点を解説します。

東京都八王子市で発生した階段崩落事故

  • 発生日:2021年4月17日

  • 場所:東京都八王子市の賃貸アパート

  • 事故内容:階段が崩落し、入居者が転落死

  • 原因:本来鉄骨が使われるはずの踊り場接合部に木材を使用したことによる腐食の進行

  • 補足:直前に化粧板の落下が確認されていた。調査で同施工会社が手がけた241棟中214棟が同様の構造と判明し、大規模な施工不良が浮き彫りになった。

2021年4月、東京都八王子市で築8年ほどのアパートの階段が崩落し、入居者が転落死する事故が発生しました。原因は、本来鉄骨が使用されるべき踊り場の接合部に木材が使用され、防腐処理が不十分だったこともあり、腐食が進行したことです。

事故直前には化粧板の落下も確認されており、異変に迅速に対処しなかったことが悲劇につながりました。調査の結果、同じ施工会社が手がけた241棟のうち214棟で同様の構造が見つかり、広範囲にわたる安全性の欠陥が明らかになりました。

この事例は、築浅であっても施工不良や点検不足が重大事故を引き起こすことを示しています。

長崎市で発生した階段崩落事故

  • 発生日:2025年7月13日

  • 場所:長崎市の空きアパート

  • 事故内容:踊り場が崩壊し、40代男性(所有者)が頭部を強打して死亡、30代男性が約4メートル下に転落し負傷

  • 原因:踊り場の底が老朽化により抜け落ちた可能性が高い

  • 補足:現場に居合わせた知人は無事。警察が老朽化を主因と見て調査中。

2025年7月13日、長崎市の空きアパートで2階踊り場が崩落し、所有者を含む2人が約4メートル下に転落しました。このうち所有者である40代男性が頭部を強打して死亡し、もう1人も負傷しました。

警察は老朽化による底抜けが原因と見て調査を進めています。現場は長期間放置されていた建物で、維持管理が不十分だった可能性が高いとされます。

空き物件や使用頻度の低い物件でも腐食や劣化は進行します。定期点検を怠れば深刻な事故につながることを示す事例です。

国土交通省「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」の概要

国土交通省が策定した「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」では、所有者が適切に維持管理を行う責任が明確に示されています。木造階段は風雨や湿気の影響を受けやすく、腐食による事故の危険性が高いためです。

賃貸管理会社は、日常点検で異常を確認した際には速やかに専門家に調査を依頼し、必要に応じて改修や交換を行うことが求められます。さらに、初期不良や進行する劣化を見逃さないためにも、専門家による定期点検を管理計画に組み込むことが重要です。

このガイドラインは形式的な基準ではなく、実際の事故防止と資産価値の維持を両立させるための実務的な指針といえます。

アパート階段を安全に維持するためのポイント

アパート階段の安全を確保するには、日常的な点検と専門家による計画的な処置が欠かせません。ここでは、賃貸管理会社が優先的に取り組むべき維持管理の具体策を解説します。

定期点検と早期修繕を徹底する

定期点検と早期修繕は、賃貸管理会社が優先して取り組むべき業務です。

階段の劣化を放置すると、破損による事故や入居者からの苦情につながり、物件の募集条件にも悪影響を及ぼします。踏み板の浮きや手すりのぐらつきといった小さな不具合でも、放置すれば転倒や崩落に発展するでしょう。

事故が起きれば修繕費や補償額がかかるだけでなく、賃貸管理会社としての信頼も損なわれます。計画的に点検スケジュールを組み、劣化を早期に発見・修繕することが、入居者の安全と資産価値を守る最も確実な方法です。

腐食防止のために防水・防腐処理を施す

アパートの階段は風雨や湿気の影響を受けやすく、腐食や破損が進行しやすい箇所です。適切な処置を怠れば、崩落など重大事故につながる恐れがあります。

木材や鉄部は水分や紫外線による劣化が早いため、防水塗料や防腐処理を定期的に施すことが有効です。また、排水経路を整備すれば水分の滞留を防ぐことができ、腐食の進行を抑えられます。

小規模な補修を積み重ねれば全体の交換時期を延ばすことができ、長期的な修繕コストの削減にもつながります。日常点検に加え、専門会社による防水・防腐処理を計画的に導入することが、賃貸管理会社の重要な役割です。

まとめ

アパート階段の維持管理は、入居者の安全確保と建物の資産価値、さらに賃貸管理会社としての信頼を守るうえで不可欠です。国土交通省のガイドラインでは、所有者や賃貸管理会社に対し、定期点検や専門家による調査を管理計画に組み込み、必要に応じて修繕や交換を行うことが求められています。

階段は日常生活に直結する重要な設備であり、騒音問題への対処を含め、小さな劣化を早期に発見して適切に対処することが、事故防止と入居者の満足につながります。

賃貸管理会社として責任ある対応を行い、安全で快適な住環境を提供していきましょう。

岩井佑樹 ゆう不動産代表
岩井佑樹 ゆう不動産代表
合同会社ゆう不動産代表。熊本学園大学商学部経営学科卒業。大学卒業後に飲料メーカーの営業として7年間勤務後、宅建を独学で取得し不動産業界に転職。不動産業界歴は10年目となり、現在は不動産会社とWebライティング制作会社を経営。今まで、実体験を絡めたリアルな不動産関連の記事を500記事以上作成。日ごろから、記事を読む人が「どんなことで悩んでいるのか」「どんなことを知りたいのか」など、読み手の方の気持ちに寄り添って記事を書くように心がけている。

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