「相続診断士」資格の概要・難易度・学習方法を解説。不動産業務に活かす5つの方法も紹介

近年は不動産を含む相続相談が増えていることもあり、相続診断士の資格を持つ担当者かどうかが、お客様からの信頼度に大きく影響しています。
この記事では、相続診断士の資格概要・難易度・学習方法をわかりやすく解説し、不動産営業の現場でどのように活かせるのかを具体例とともに紹介します。
また、ほかの資格と組み合わせて提案力を高める方法や、取得後のキャリアアップの可能性についても触れていますので、相続分野に強くなりたい方はぜひ参考にしてください。
相続診断士とは?
相続診断士とは、相続に関する基礎知識を身につけ、相談者の状況を整理して「相続診断」ができる民間資格です。受験資格はなく、国籍や職種を問わず、誰でも取得を目指せます。
相続は、生前の準備不足が相続人間のトラブルの原因になりやすいため、相続診断士は家族の想いや不安を整理し、早期に備える必要性を伝える役割を担います。
たとえば、相続人同士の意見が合わない場合や、不動産の分け方に悩んでいる場合に、問題点を整理して可視化し、話し合いを進めるきっかけをつくります。また、税務・登記・法律など、専門的な対応が必要な場面では、税理士・司法書士・弁護士といった専門家へつなぐ「橋渡し役」としてサポートします。
このように、相続の初期相談に対応できる資格として、不動産業でも活用の幅が広い点が特徴です。
相続診断士資格試験の概要
相続診断士資格試験は、事前に配布されるテキストとWeb講義で学習した後、CBT方式(パソコン受験)で行われます。試験範囲や費用などの基本情報は次のとおりです。
項目 | 内容 |
|---|---|
科目・出題範囲 | コンプライアンス/相続法/相続税(3択・穴埋め)/法定相続分/基礎控除額/小規模宅地等の特例 |
出題形式 | 〇✖・三肢択一・穴埋め方式 |
試験時間 | 60分 |
受験料 | 初回:38,500円(テキスト・Web講義動画・受験料・資格認定料を含む) 再受験:16,500円 |
試験方式 | CBT方式(パソコン受験) |
試験会場 | 全国260ヶ所以上のテストセンター |
試験実施 | 通年実施(初回申し込みは受験希望日の21日前まで/再受験は3日前まで) |
受験料に教材費が含まれているため、申し込み後すぐに学習を始められる点や、全国の会場で受験できる利便性が特徴です。
相続診断士の難易度
相続診断士は、比較的取り組みやすい難易度の資格で、計画的に学習すれば十分に合格を狙えます。合格率は公表されていませんが、問題は基礎知識の理解を問う内容が中心で、実務未経験者でも学びやすい構成です。
学習期間の目安は、以下のとおりです。
- 関連業務の経験がある方:1~2ヶ月程度
- 法律や税金の学習が初めての方:3~6ヶ月程度
たとえば、不動産会社で相続が絡む売却相談に対応している方であれば、日頃の業務知識を活かして短期合格が見込めます。初学者でも反復学習で得点を積み上げることができ、実務に活かせる資格として挑戦しやすいといえます。
相続診断士資格の勉強法
相続診断士試験は自主学習型の通信講座形式のため、自分のペースで勉強を進められます。受験料支払い後に届く公式テキストと約5時間のWeb講義動画によって、効率的に理解を深められる仕組みです。
まずテキストで全体像を把握し、次に動画で補足解説を聞きながら重要ポイントを整理しましょう。その後、練習問題や過去問題を繰り返し解くことで、出題傾向の理解と知識定着を図ります。
特に、間違えた箇所だけを集中的に復習する方法が効果的です。
不動産業務で相続診断士資格を活かす5つの方法
相続診断士の資格は不動産営業との相性が良く、顧客対応の幅を広げられる強みがあります。ここでは、不動産会社の実務で活かせる5つの具体的な活用方法を解説します。
1.相続不動産の売却や名義変更の提案に活かす
相続診断士の資格は、相続不動産の売却や名義変更の場面で大きな力を発揮します。相続では「誰が相続人か」「不動産を売るのか、残すのか」など整理すべき情報が多く、専門的なサポートが求められるためです。
たとえば、売却を希望する相談者に対して、必要な書類や手続きの流れをわかりやすく整理して説明すれば、不安を解消することができます。名義変更が必要な場合も、事前に確認すべき項目を提示するだけで手続きがスムーズになります。
相続に詳しい担当者として信頼されやすく、他社との差別化にもつながるでしょう。
2.相続相談を受けた顧客への信頼性を高める
相続診断士として適切なアドバイスができると、顧客からの信頼を得やすくなります。相続は専門性が高く「誰に相談すべきかわからない」と感じる人が多いためです。
不動産についての相談の際に相続に関する質問を受けた場合に、根拠を踏まえた説明ができる担当者は相談者に安心感を与えられます。
たとえば、「不動産を売って現金で分ける方法」や「誰かが住み続ける場合の話し合いの進め方」など、よくある相続パターンをわかりやすく伝えるだけでも、頼れる相談相手として見てもらえるでしょう。
信頼が積み重なれば、知人への紹介やリピーター獲得にもつながります。このように、資格を活かして評価を高めることで、顧客との関係を深められる点が大きなメリットです。
3.税理士・司法書士・弁護士との専門連携を強化する
相続診断士は、相続診断の結果、税務・登記・法律などの専門的な対応が必要となった場合に、適切な士業へつなぐ役割も担います。相続問題は不動産会社だけでは対応しきれないケースが多く、複数の専門家が関わる場面が少なくありません。
たとえば、各士業の対応分野は次のとおりです。
- 相続税申告:税理士
- 相続登記:司法書士
- 遺言書の作成:弁護士
相続診断士が課題を整理してから引き継ぐことで、専門家との連携がスムーズになり、相談者も迷わずに手続きを進められます。また、専門家側にとっても、相続診断士によって事前に状況が整理されていると対応がしやすいため、紹介元として信頼を得やすくなります。
その結果、不動産会社にとっては紹介ルートが広がり、業務拡大にもつながるでしょう。
4.他資格との組み合わせで提案力を高める
相続診断士は、ほかの資格と組み合わせると提案の幅が広がり、顧客からさらに選ばれる存在になることができます。相続には不動産だけでなく、資産管理や税金の視点が求められるためです。
たとえば、FP資格を併せて持っていれば、相続後の資産運用や保険の見直しまで一体的に提案できます。宅建士と組み合わせた場合は、不動産の取引だけでなく、相続の流れを踏まえた具体的な手続きや提案ができるようになるため、「相続全般を安心して任せられる担当者」と見られやすくなります。
幅広い悩みに対応できる担当者は相談窓口として指名されやすく、競合との差別化にも役立ちます。
5.相続セミナーや相談会を通じて新規顧客を開拓する
相続診断士の知識は、セミナーや相談会の開催を通じての新規顧客の獲得にも活かせます。相続に不安を抱えていても「誰に相談すればいいのかわからない」という人が多いためです。
たとえば、資格取得後には一般社団法人相続診断協会が主催する「相続診断士としての第一歩セミナー」を受講することで、「笑顔相続」を実現するための5つのステップを学びながら、「笑顔相続ノート」を実際に作成する体験ができます。
セミナーで学んだ内容を地域イベントや個別相談会に取り入れることで、参加者にとって有益な情報提供ができ、信頼を得やすくなります。継続的に開催すれば顧客との接点が増え、相談依頼や紹介につながる可能性も高まるでしょう。
(参照:一般社団法人相続診断協会『相続診断士としての第一歩セミナー』)
まとめ

相続診断士は、相続の基礎知識を身につけ、相談者の状況整理や課題発見ができるようになる実務的な資格です。不動産業務では、相続不動産の売却提案や名義変更のサポートに活かせるほか、相続相談にも対応できる担当者として信頼を得やすくなります。
さらに、税理士・司法書士・弁護士との連携をスムーズに進めることができ、ワンストップ対応の体制づくりにも役立ちます。FPや宅建士と組み合わせれば提案の幅が広がり、専門性と営業力の向上にもつながるでしょう。
相続ニーズが高まる今、価値ある提案ができる不動産営業を目指す方にとって、相続診断士は取得するメリットの大きい資格です。
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