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住宅価格の高騰で“郊外化”が鮮明に 2026年版移動人口の概要

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移動人口はエリアごとの住宅需要の多寡を判断する上で極めて重要な指標

LIFULL HOME’S総研の中山です。

今年は例年よりやや遅れて2月上旬に2025年・年間版の「住民基本台帳人口移動報告」が公表されました。前回は福岡県を含む四大都市圏の概況を解説しましたが、全国の状況も知りたいとのリクエストを多数いただきましたので、今回から全国の移動人口の状況を公表します。

「住民基本台帳人口移動報告」は、移動人口:特定の地域から別の地域へと移動した人の数を示した国の統計資料で、正式名称の通り住民基本台帳を基に算出していますから極めて精度の高いデータです。

このデータを確認することで、どのエリアから人が流出しどのエリアに流入しているのか、また世代・年齢・性別ごとの動きも分かりますから、足元および近い将来の住宅需要を推し測る上で極めて重要な指標といえます。なお、この資料は日本に居住する外国籍の方の転入・転出も含めていますが、国外から新たに転入&国外に転出した外国籍の方の人数は別途「在留外国人統計」をご参照ください。

また、「住民基本台帳人口移動報告」には日本人だけの人口の移動統計も記載されていますから、併せてご確認ください。

▼2025年 年間の都道府県別・世代別移動人口

人口の集中:移動人口が転入超過しているのは47都道府県のうちわずか7都府県にとどまる

上記の一覧表のとおり、転入超過=転出と転入の差分で人口が増加しているエリアは、東京都の6.5万人を筆頭に首都圏の周辺3県、および大阪府と滋賀県、福岡県の7都府県だけですから、残りの40道府県は程度の差こそあれ押し並べて転出超過による人口の社会減が発生していることになります。

全国で最も転出超過数が多かったのは広島県で、1.0万人の社会減を記録しています。広島市は政令市ですが、近年では特に東京・大阪だけでなく福岡に転出する若年層単身者も増えています。

主な人口の社会減の要因は、当然のことながら就学・就業機会を求めて、そのチャンスが多い都市圏およびその中心部に全国各地から人口が流入してくるからに他なりません。最も事業集積性の高い首都圏では1都3県とも転入超過で、合計で12.3万人もの新たな人口増が発生しています。

また、近畿圏では大阪府が1.6万人、滋賀県も353人とごくわずかに転入超過を示し、福岡県では5千人超の安定的な転入超過が継続しています。なお、中部圏では愛知県が2千人超の転出超過ですが、名古屋市は5千人超の転入超過を記録していますから、人口が流入するエリアが首都圏、近畿圏よりも限定的であることが分かります。

年齢階層別の移動人口にはエリアごとの違いが浮き彫りに

ただ、上記の一覧表で最も注目していただきたいのは、6.5万人もの大幅な転入超過が発生しているはずの東京都において、35歳以上のファミリー層が14歳以下の子どもを連れて東京都から出て行っているという事実です。

合計すると2.5万人もの転出超過となっていますから、10~15年ほど前に進学&就職で東京都内に流入してきた若年層単身者が結婚し、家庭をもって子どもができた後に家族と暮らす住宅の価格(もちろん賃料も)が高騰していて東京都から周辺エリアに転出せざるを得ない=“郊外化”している状況を裏付ける結果となっています(1都3県を合計した“東京圏”でも全く同じ傾向が示されています)。

同様の傾向は、隣接する神奈川県および大阪府でもみられ、35歳以上のファミリー層は転入者数も多く辛うじて転出超過になってはいませんが、数自体は大きく減らしており、住宅購入適齢とされる35歳以上のファミリー層が住宅価格の高い東京都、神奈川県、大阪府内に住み続けることが難しいという事実が浮き彫りになっているのです。

一方、滋賀県ではごくわずかですが25歳以上の若年層、35歳以上のファミリー層がいずれも転入超過となっていることから、15~24歳の新入学・新卒社員の転出超過を補っているという構造になっていますが、これも大阪市・京都市の住宅価格および賃料の高騰によって“郊外化”していることが明らかです。北関東3県でも同じ状況が発生しており、茨城県、栃木県、群馬県とも35歳以上のファミリー層と14歳以下の子どもが転入超過もしくはごくわずかな転出超過にとどまっていますから、首都圏からも北関東方面に転出する傾向が顕著です。

また、5千人超の転入超過を記録している福岡県は、東京都と正反対の動きとなっており、15~34歳の若年層単身者は県外に多くが転出していますが、35歳以上のファミリー層は14歳以下の子どもを連れてUターンしていることが分かります。進学・就職を機に福岡から東京・大阪へ移動する若年層単身者が移転先で結婚し、家族を得て福岡に戻って来る図式ですから、理想的な人口集積が発生しており、エリアの活性化と経済的な発展に大きく寄与する可能性が高まります。

反対に、全年齢階層で転入超過となっているのは全国で埼玉県と千葉県の2県だけです。東京都からの転入に加えて、全国から首都圏に流入してくる若年層単身者が両県にも入ってきますから、首都圏内では住宅価格&賃料が相対的に安価なエリアであることが、移動人口の全般的な増加の背景となっています。

近畿圏では首都圏とは状況が異なり、状況としては大阪府の独り勝ちです。全国から流入するのは専ら大阪府で首都圏のように周辺エリアへの流入が限られ、兵庫県や京都府など近畿圏のほかの府県から大阪府に人流が吸い上げられている状況です。また、中部圏では前述の通り名古屋市では転入超過が認められます。

したがって、首都圏:1都3県はいずれも全国からの転入者の増加によって転入超過が維持されており、近畿圏では大阪府のみ、中部圏では愛知県でも転出超過で名古屋市のみ転入超過となっていますから、圏域の違いによって流入していくエリアの規模および流入者数に大きな違いがあることが分かります。

その移動人口が集中する首都圏においても、35歳以上のファミリー層が郊外方面に転出するという傾向が顕著ですから、今後住宅需要の“ドーナツ化”現象が各都市圏で発生することが考えられます。

4月下旬には市区町村単位の移動人口の状況も公表されますので、より詳しく状況を把握したいという方はぜひご確認ください。

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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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