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独立・開業

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不動産の独立開業に使える支援制度・助成金

現在、不動産会社に勤めている人のなかには、これまで培った知識や実務経験を生かして独立開業を検討している方もいるのではないでしょうか。

独立開業において自己資金が少ない場合、資金調達が必要になるケースがあります。開業時の資金調達方法には、金融機関から融資を受ける方法と助成金・補助金を活用する方法の2つがあり、それぞれの違いについてよく理解しておくことが重要です。

この記事では、不動産業の独立開業に活用できる支援制度・助成金についてまとめました。

目次[非表示]

  1. 1.助成金と融資の違い
    1. 1.1.助成金(補助金)
    2. 1.2.融資
  2. 2.不動産業開業に活用できる支援制度・助成金
    1. 2.1.①教育訓練給付制度
    2. 2.2.②IT導入補助金
    3. 2.3.③住宅セーフティネット制度
  3. 3.まとめ

助成金と融資の違い

助成金と融資の主な違いは、“返済義務の有無”です。


助成金(補助金)

助成金とは、国や地方自治体が実施している交付金制度です。厚生労働省が主体の制度は“助成金”、経済産業省が主体の制度は“補助金”と呼ばれています。

これらの助成金や補助金は、一定の要件を満たすことで受給でき、返済義務はありません。ところが、不正受給をした場合には、全額返金を求められるほか、事務所名や法⼈名が公表されるため注意が必要です。

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)』の第17条では、以下の場合に補助金等の交付の決定を取り消すことが示されています。

----------------下記引用----------------

各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。

----------------------------------------

(出典:e-Gov法令検索『補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)』)


融資

融資とは、政府系金融機関や民間金融機関が実施する金銭の貸付制度です。交付ではなく“貸し付け”となるため、返済義務があります。融資を受けるには審査に通過する必要があるため、「自己資金が少ない」「経営状態が悪い」といった場合には、融資を受けられないことがあります。

▼助成金・融資の違い


実数
融資
運営主体
  • 地方自治体
  • 政府系金融機関
  • 民間金融機関
返済義務 
なし
あり
注意点
  • 一定の受給条件がある 
  • 制度や受給条件が変更される
    場合がある
  • 後払い(精算払い)される場合もある
  • 審査の通過が必要
  • 条件によっては融資が受けられないことがある



不動産業の独立開業には、営業保証金の納付や事務所の用意、公益社団法人全日本不動産協会への加入などを含めて、約400万〜1,000万円の初期費用がかかります。

自己資金を補うため、または開業後の返済負担を抑えるために、返済不要の助成金を活用するのも一つの方法です。

(出典:厚生労働省都道府県労働局『生涯現役起業支援助成金ガイドブック』/e-Gov法令検索『補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)』)

不動産業開業に活用できる支援制度・助成金

ここからは、不動産業開業で活用できる制度を3つ紹介します。


①教育訓練給付制度

教育訓練給付制度は、厚生労働省が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給される制度です。

不動産業の開業においては、『宅建業法第31条の3』で記されているとおり、事務所の規模や業務内容などを考慮して、国土交通省令で定める数の専任の宅地建物取引士(以下、宅建士)の設置が義務付けられています。そのため、1人で独立開業する場合は、自身で宅建士の資格を取得する必要があります。

教育訓練の種類は専門実践教育訓練・特定一般教育訓練・一般教育訓練があり、種類によって給付率や給付額の上限は異なります。宅建士の資格取得は“一般教育訓練”に該当します。

宅建士の資格取得に教育訓練給付制度を活用すれば、資格取得にかかった費用の約40%(上限20万円)の受給が可能です。

なお、制度を利用するためには、居住している地域を管轄するハローワークでの申請が必要です。

▼教育訓練給付制度を利用するための主な要件

  • 初めて制度を利用する方は、雇用保険の加入期間が1年以上あること
  • 現在在職中で雇用保険に加入していること
  • 離職している方は、離職から1年以内であること
  • 前回の教育訓練受講開始日以降、雇用保険の加入期間が3年以上あること

(出典:厚生労働省『教育訓練給付制度』/e-Gov法令検索『宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)』)


②IT導入補助金

IT導入補助金は、業務効率化や売り上げアップなど、経営力の強化に向けてITツールを導入する際に、経費の一部を補助する制度です。

独立開業して不動産業を営む場合、物件情報や顧客情報、各契約書類などを適切に管理する必要があります。さらに、近年は新型コロナウイルス感染症の流行に伴うビジネスモデルの転換に対応するために、業務形態の非対面化も求められています。

業務における適切な情報管理、非対面化を実現するためには、クラウドツールやソフトウェアなどのITツールの活用が必須です。IT導入補助金を活用することで、ITツールの導入にかかる費用を抑えられます。

▼補助金の対象範囲と上限金額


通常枠
(A・B類型)
低感染リスクビジネス枠
(C・D類型)
補助対象
  • ソフトウェア導入関連費等
  • 導入関連費等
  • ソフトウェア導入関連費等
  • ハードウェアレンタル費用
補助率
費用の1/ 2以内
費用の2/3以内
最大補助金額
  • A類型:150万円
  • B類型:450万円
  • C類型-1:300万円
  • C類型-2:450万円
  • D類型   :150万円


IT導入補助金を受給するには、交付申請を完了して認定を受けた後に、ITツールの発注や契約などを行う必要があります。

▼IT導入補助金を利用するための主な要件

  • 中小企業・小規模事業者等であること
  • 交付申請の直近月において、事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること
  • IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する“SECURITY ACTION ”の1つ星・2つ星のいずれかの宣言を行うこと

 ※SECURITY ACTIONについては、こちらをご確認ください。

(出典:経済産業省中小企業庁ミラサポplus中小企業向け補助金・総合支援サイト『IT導入補助金とは』『IT導入補助金』)


③住宅セーフティネット制度

住宅セーフティネット制度は、住宅確保要配慮者が入居できる住宅を増やすために、入居者への経済的支援、登録住宅の改修を支援する制度です。増加している民間の空き家・空き室を活用した“新たな住宅セーフティネット制度”も2017年10月からスタートしています。

この制度は、不動産業開業に特化した支援制度ではありませんが、独立後に賃貸管理業を考えている人が利用できる場合があります。

賃貸物件を住宅確保要配慮者専用の住宅として登録することで、貸主は改修費用の補助を受けられます。住宅セーフティネット制度における助成内容は、以下のとおりです。

▼住宅セーフティネット制度の助成内容(国による直接補助の場合)

対象工事
補助率
限度額


  • 共同居住用に用途を変更するための改修・間取り変更
  • 耐震改修工事
  • 防火・消火対策工事
  • 子育て世帯対応改修
  • バリアフリー改修工事 など
1/3
100万円/ 戸
上記以外の工事
1/3
50万円/ 戸


このように、住宅確保要配慮者専用の賃貸物件を登録することで、改修工事にかかる費用を抑えられるほか、空室・空き家の解消が期待できます。

東京都では、不動産会社から貸主への働きかけによって空き家等が専用住宅(※)に新たに登録された場合、貸主と不動産会社に1戸当たり5万円の“登録協力報奨金”が交付されます。

※ここでいう専用住居とは、住宅確保要配慮者のみが入居可能な住宅として登録した住宅のこと。

▼登録協力報奨金の補助の条件

  • 子育て世帯・高齢者・障害者・低額所得者のいずれかを受け入れる登録とすること
  • 10年間、専用住宅として維持すること
  • 東京都居住支援協議会の構成員である不動産関係団体に属する、または居住支援法人から紹介を受けた不動産事業者が交付申請すること など

公営住宅よりも家賃を安くする必要があるといった制限があるため、収益は上がりにくいです。一方で、社会貢献につながるほか、事業者としての知名度を高めることができます。

(出典:東京都住宅政策本部『住宅セーフティネット制度』)

まとめ

この記事では、将来的に不動産の独立開業を検討している方に向けて、以下の項目について解説しました。

  • 助成金と融資の違い
  • 不動産業開業で活用できる支援制度・助成金

一般的に、不動産の独立開業には約400万〜1,000万円の初期費用がかかるといわれています。この費用を自己資金で賄えない場合には、資金調達が必要です。

返済義務のない助成金は、一定の要件を満たせば受給できます。ただし、助成金の種類や制度内容は変わる可能性があるため、こまめにホームページをチェックしましょう。

そのほか、宅建士の資格取得にかかった費用の一部を受給できる教育訓練給付金制度や業務のIT化促進をサポートしてくれるIT導入補助金制度なども活用できます。

不動産会社の独立開業の際は、今回ご紹介した支援制度や助成金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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