【不動産仲介営業】“松竹梅の法則”とは? 提案時に有効な理由と注意点
不動産仲介営業の物件提案時に活用できる営業手法の一つに、“松竹梅の法則”があります。松竹梅の法則は、人の心理を利用して、相手に意思決定を促す効果が期待できるといわれています。
物件を提案する際に、「いつも検討段階で終わってしまう」「成約につながりにくい」といった課題を抱えている担当者の方は、松竹梅の法則を用いた提案を実践してみてはいかがでしょうか。
この記事では、松竹梅の法則の概要や、不動産仲介営業に有効な理由、実施時の注意点について解説します。
目次[非表示]
- 1.松竹梅の法則とは
- 2.不動産仲介営業に松竹梅の提案が有効な理由
- 3.松竹梅の提案を行うときの注意点
- 3.1.①顧客の要望を取り入れつつ差別化を図る
- 3.2.②最後に梅を提案しない
- 4.まとめ
松竹梅の法則とは
松竹梅の法則とは、商品やサービスの料金を3段階に分けて提示した際に、顧客は“真ん中の選択肢を選びやすい”という法則です。“ゴルディロックスの原理(効果)”と呼ばれることもあります。
松竹梅の法則は、上位・下位といった極端な選択を避けて、無難なものを選ぶことで、失敗や後悔をしないようにするという心理に基づいています。
中間を選びやすい心理を利用することで、不動産仲介営業での物件提案やプラン提示などの際に、顧客の意思決定を促しやすくなります。
たとえば、物件のグレードやプランなどを提案する際に、上位・中間・下位といった3段階の選択肢を用意します。
▼選択肢の例
松竹梅 |
選択肢 |
---|---|
A物件(松) |
5,000万円 |
B物件(竹) |
3,400万円 |
C物件(梅) |
2,500万円 |
松竹梅の法則に基づくと、「A物件(松)は高くて予算に合わない」「C物件(梅)は安くて不安」と顧客は感じやすくなります。結果、条件とかけ離れていないB物件(竹)を選ぶという心理が働きます。
このような心理を営業活動に利用する際は、売りたい商材やプランを真ん中に配置したうえで、上位と下位を見せることがポイントです。
不動産仲介営業に松竹梅の提案が有効な理由
不動産仲介営業に松竹梅の法則を取り入れた提案をすることで、顧客の自発的な判断を促します。
顧客は「自分で選んだ」という認識を持てるため、契約につながりやすくなるといわれています。また、有効な選択肢の数は3つと考えられています。
選択肢が2つの場合には、価格や品質が下位の選択肢を選ぶ傾向があり、選択肢が4つ以上の場合は、1つに選びきれずに判断を諦めてしまう可能性があるというのが理由です。
そのため、物件やプランの提案時に松竹梅の法則を取り入れる際は、選択肢を3つに絞ることが重要です。
松竹梅の提案を行うときの注意点
松竹梅の法則を効果的に活用するには、提案内容や順序に注意する必要があります。ここでは、不動産仲介営業で松竹梅の提案を行う際の注意点を2つ解説します。
①顧客の要望を取り入れつつ差別化を図る
1つ目は、顧客の要望を取り入れつつ、差別化を図ることを意識して提案することです。
物件の価格・品質・性能などが似通っているケースでは、3つの選択肢を提示するとかえって迷わせてしまう可能性があることが理由です。顧客の意思決定を促すには、明確な違いのある選択肢を3つ提示したうえで、それぞれにメリット・デメリットがあることを伝えます。
また、中間を選んでもらおうとするあまり、顧客の予算やニーズから乖離(かいり)した提案を上位・下位に持ってくる方法は望ましくありません。
顧客の予算やニーズをヒアリングしたうえで、その内容を反映しながら、価格・品質などに納得しやすい3つの選択肢を提示することが大切です。
▼差別化を図る提案例
▽物件(松)
新築一戸建て:5,000万円
|
▽物件(竹)
新築一戸建て:3,400万円
|
▽物件(梅)
新築一戸建て:2,500万円
|
これらのように、物件ごとの情報を提示しつつ、3つの違いを明確に伝えることが大切です。また、上位の提案をする際は、下位の条件を網羅しつつ、プラスでメリットとなる条件を追加することで、顧客が比較・判断しやすい提案につながります。
②最後に梅を提案しない
2つ目は、上位から下位の順番で提案しないということです。
下位となる”梅”のプランを最後に提示すると、顧客の期待を満たすことができずに、購買意欲が低下してしまう恐れがあります。
また、最初に期待値が高まり、竹や梅の訴求力が弱くなってしまうことも理由の一つです。真ん中のプランを選んでもらうには、以下の順番で提案をすることが有効といわれています。
▼松竹梅の提案に有効といわれている順番
- パターン①:梅→竹→松
- パターン②:松→梅→竹
まとめ
この記事では、松竹梅の法則に基づいた営業手法について、以下の内容を解説しました。
- 松竹梅の法則とは何か
- 不動産仲介営業に松竹梅の提案が有効な理由
- 松竹梅の提案を行うときの注意点
松竹梅の法則とは、ランクの異なる3つの商品・サービスを提示すると、顧客は中間を選びやすくなるという法則のことです。
不動産仲介営業に松竹梅の提案を取り入れることで、顧客が物件やプランを自ら選択しやすくなり、契約の判断を促す効果が期待できます。
実際に提案を行う際は、3つの選択肢の違いを明確にするとともに、顧客の予算やニーズから乖離しないことが重要です。また、購買意欲を低下させないように、下位のプランを最後に提案しないこともポイントです。
不動産仲介営業の商談において「なかなか契約につながらない」とお悩みの方は、松竹梅の法則を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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