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【注目調査】ユーザー500人に聞いてわかった!住宅建築&購入で“一番大事なこと”

LIFULL HOME’S総研の中山です。
​​​​​​​徐々にコロナ禍が収束し、またWithコロナの生活に慣れたこともあって、日常を取り戻す作業が始まっています。行動制限も発令されていませんから、旅行、観劇、スポーツ観戦など移動や多くの人の集散を伴う行動も自由ですが、基本的な感染対策を怠らないようにしたいものです。

一方、金融緩和政策の継続によって発生している円安と物価上昇は、私たちの生活に明らかに影響し始めています。特に資源・エネルギー価格は対前年で20%以上高騰しており、冬の暖房を考える上でも住宅の断熱性能を上げていく必要性を強く感じます。

日本の住宅は諸外国と比較して断熱性能が劣り、日本より緯度が北に位置するドイツの住宅の年間光熱費は日本の住宅の1/5程度ですから、地球温暖化防止に向けて住宅の断熱性能を高めるようユーザーへの働きかけを続ける必要があります。

目次[非表示]

  1. 1.LIFULL HOME’Sが実施した注文住宅購入者へのアンケート結果
  2. 2.「家を建てる会社を選ぶ最終的な決め手」は意外な結果!?

LIFULL HOME’Sが実施した注文住宅購入者へのアンケート結果

住宅の省エネ性能・断熱性能を高めると多くのエネルギーを消費せずに済むので、
毎月の光熱費=ランニングコストが安くなります。つまり高性能な住宅を建築・購入することで発生するイニシャルコストはランニングコストで回収可能ですから、住宅に居住する期間のコストはトータルで考えるべきです。

東京都の試算でも(あくまで試算ですが)、標準的と考えられる4kW相当の太陽光パネルの設置&メンテナンスコストは約120万円、それに対して自家使用および売電で削減できるコストは30年間で240万円とされています。

こういった住宅の性能に関心が高く、より快適な&満足度の高い住宅を購入したいと考えるユーザーが検討するのが注文住宅です。

この度、LIFULL HOME’Sでは注文住宅を購入した500人のユーザーにアンケート調査した結果を公表しました。

それによると、家を建てるまでの情報収集期間は「半年~1年未満」が最多の32.8%でしたが、「2年以上」という回答も合計8.1%に達し、やはり自分が納得いくまでいろいろ検討するケースが少なくないことがわかりました。

またハウスメーカー・工務店に問合せる前の準備段階としては「希望条件の整理」が46.7%と最も多く、次いで「費用の試算」40.7%、「モデルハウス・住宅展示場の見学」39.8%、「今後の生活に必要な費用の試算」37.2%が多くを占めています。ある程度条件や優先順位を絞ってコストとの見合いを判断する堅実な姿勢が窺われます。

「家を建てる会社を選ぶ最終的な決め手」は意外な結果!?

このアンケート結果の中で最も興味深いのが「家を建てる会社を選んだ最終的な決め手は何ですか?」という設問です。「口コミ・評判」「会社の実績」など妥当な回答も多いのですが、上位は大変興味深い結果となりましたので、ベスト5を順に見てみましょう。

第5位は「アフターサービス・保証」の27.1%でした。やはり長期間にわたって居住する前提で建てるのが注文住宅ですから、想定されるメンテナンスに対する対応は気になるところですし、そのコストも織り込んで検討したことがわかります。

第4位は「提案内容と見積価格のバランス」の29.9%、コスパは当然重視されるということです。近年ではデザインよりも建物の機能性、特に“夏涼しく冬暖かい”居住快適性が注目されています。断熱性が高いことは結露を防止してダニ・カビの発生を防ぎ、寒暖差が少なく血圧にも好影響であることが証明されており、健康面のメリットもあります。

第3位は「希望の間取り・デザインをかなえる設計」の31.9%です。これは注文住宅最大のメリットといえるでしょう。建売住宅やマンションではかなわないゆとりある空間や行き来しやすい生活動線、趣味や習い事に配慮・特化した空間設計なども可能ですから、当然の結果といえます。

しかし、この注文住宅最大のメリットよりも決め手になったとの回答が多かったのは、
第2位「住宅性能(の高さ)」の39.7%でした。つまり、住宅設計の自由度よりも機能面での優位性が上回ったことになります。

高気密・高断熱であることはもちろん、太陽光パネルの設置や電気自動車の活用による蓄電機能など、省エネ・創エネに対する関心が高まっており、2050年カーボン・ニュートラルの実現に向けて自分と家族ができることを考えた上での判断と考えられます。

特に省エネ性能に関する関心は年々高まっていますから、注文住宅に限らず、住宅性能の向上について相談を受けた際には、冒頭記したイニシャルとランニングのトータルコストを考えるべきことをぜひユーザーにアピールしていただきたいと思います。

そして注目の第1位は、意外ですが、ある意味納得できる「担当者との相性」の41.4%で、「住宅性能」と僅差ながら最重視される決め手となりました。

上位に挙がった項目はすべて施主が一人では判断しにくいものばかりですが、そんなとき信頼できるハウスメーカー・工務店の担当者が身近に居れば心強いですし、コストを考えながらその住宅に合ったプランを提案してくれることにも期待が持てます。

当事者ではあるものの専門家ではない施主に寄り添い、時間を掛けて家を建てるプロセスを共有できる存在が最も重視されることが浮き彫りになりました。

今回は注文住宅を対象とした調査ですが、一般に住宅を建てる・買うことは大抵のユーザーにとって人生で一番大きな買い物というだけでなく、その後のライフスタイルを大きく左右する“人生の大イベント”の一つでもあります。

ユーザーは担当者というフィルターを通して住宅を見ているのだという意識を常に持ち、既存住宅の購入でも中古マンションのリフォームでも、もちろん注文住宅でも、ユーザーの立場で一緒に考えることができる担当者であっていただきたいと思います。ユーザーと向き合い、一緒に悩み、最善策を探し、時にはユーザーに理解を求め、時には鼓舞することができる担当者がいつの時代も求められているのです。

 
中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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