不動産鑑定士とは? 資格の概要と業務内容を解説
不動産鑑定士は国家資格の一つであり、土地や建物の鑑定・評価を担う職種です。また、法律面などの相談に関するコンサルティングや、自治体や民間企業から委託された調査・分析などの業務を担います。
不動産鑑定士は全国的に見ても、有資格者が少ない資格であり、その希少性は高まっているといえます。この記事では、不動産鑑定士の資格の概要とおもな業務内容、キャリアパスなどを詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.不動産鑑定士とは?
- 1.1.不動産鑑定士の概要
- 1.2.不動産鑑定士になるには?
- 1.3.不動産鑑定評価業務
- 1.4.コンサルティング業務
- 1.5.調査・分析に関する業務
- 2.不動産鑑定士の資格概要
- 3.不動産鑑定士のキャリアパス
- 3.1.企業内鑑定士として働くケース
- 3.2.独立開業するケース
- 4.不動産鑑定士の年収
不動産鑑定士とは?
不動産鑑定士とは、土地や建物といった不動産の価格を適正に鑑定し、評価することができる唯一の国家資格です。まずは資格の概要やなるためにはどうすればよいかを見ていきましょう。
不動産鑑定士の概要
不動産鑑定士は、土地や建物の売却・賃貸・贈与など、依頼者からの要望に応じて不動産の価値を鑑定し、評価するのが基本的な仕事です。
また、土地の有効な活用方法などの相談に対応することもあり、コンサルティング業務も行う場合があります。不動産の価値は社会情勢やニーズとともに経済的価値が変化するため、不動産鑑定士の活躍の幅は広いといえるでしょう。
不動産鑑定士になるには?
不動産鑑定士として活躍するには、試験に合格して国家資格を得る必要があります。試験に合格した後、実務修習を経て修了考査に合格し、各都道府県の不動産鑑定士協会に登録することで不動産鑑定士の業務を行えるようになります。
不動産鑑定士の登録をすることで、民間企業に就職をしたり、独立をして開業したりすることが可能です。人によっては経験者採用枠を経て、法務局などの公務員として活躍するケースもあります。
不動産鑑定評価業務
不動産鑑定士は唯一、不動産鑑定評価書の作成が認められている職種であり、不動産鑑定評価においては独占業務だといえるでしょう。不動産鑑定評価書とは、土地や建物といった不動産の経済的価値についてさまざまな要素から鑑定・評価を行い、鑑定評価額を記載したレポートのことです。 信頼性の高い資料であり、不動産の売買や交換、家賃の改定などの根拠となる資料として活用されます。また、税務署や裁判所に提出する資料としても認められるもので、公正で中立性の高い資料です。 土地や建物の取引にあたって、不動産に関する鑑定や評価といった業務は必須ともいえるため、不動産鑑定士は安定的に必要とされる仕事だといえます。
コンサルティング業務
不動産鑑定士は不動産の適正な鑑定・評価に基づき、依頼者からの相談に対して適切なアドバイスを行うといったコンサルティング業務も担うことになります。対象となる範囲は個人から企業まで幅広く、また国内だけでなく海外からの依頼にも対応するケースがあるでしょう。
依頼者によって不動産の種類や規模、抱えている悩みなどはさまざまであるため、新たに不動産鑑定士となった場合の活躍に仕方はそれぞれです。
調査・分析に関する業務
不動産に関するさまざまな調査・分析を行う業務も、不動産鑑定士が担います。たとえば、ビルなどの家賃を決定する際は、貸し手と借り手の両方が納得する家賃水準がいくらであるのかを決める必要があるでしょう。
また、地代や契約更新料などを決める際にも、不動産鑑定士が事前に調査・分析を行うことも珍しくありません。
不動産鑑定士の資格概要
不動産鑑定士の試験は、短答式試験と論文式試験によって行われます。学歴要件や年齢要件などはないため、誰でも受験できるのが特徴です。
短答式試験は毎年1回、5月に実施されます。試験科目は「不動産に関する行政法規」と「不動産の鑑定評価に関する理論」の2科目です。
短答式試験に合格すると毎年1回、8月上旬に実施される論文式試験を受けることになります。試験科目は「民法・経済学・会計学・不動産の鑑定評価に関する理論(演習問題)」と「不動産の鑑定評価に関する理論」の5科目となっています。
短答式試験は合格後、3年間は有効です。合格率は年によって異なりますが、おおむね30%前半です。
短答式試験と論文式試験に合格をすると、国土交通大臣の登録を受けた実務修習機関で「実務修習」を受ける必要があります。修了が認められると、不動産鑑定士として登録ができるようになります。
不動産鑑定士のキャリアパス
不動産鑑定士としてキャリアパスは、企業内鑑定士として働くほかに、独立開業するといった選択もあります。それぞれどのような点がポイントとなるのかを解説します。
企業内鑑定士として働くケース
不動産鑑定士が活躍できる場は不動産業界だけに限らず、金融業界やコンサルティング業界など幅広くあります。業務としても、不動産の鑑定評価に留まらず、不動産に関する企画の立案や管理、開発などの分野においても能力を生かせるでしょう。
また、金融機関から融資をスムーズに受けるための担保物件の鑑定評価や資産運用に関する相談対応などの業務も担えます。不動産に関する高い専門性を求められるからこそ、多方面で活躍できる道が開けているといえます。
独立開業するケース
不動産鑑定士は全国どの地域でも需要があるので、独立開業には向いている資格です。弁護士や税理士といった他の有資格者と連携をすることで、さまざまな業務に対応できるでしょう。
依頼者からの相談に応じて、不動産の鑑定評価やコンサルティング業務を行うことになりますが、どのような分野でも不動産に関することは絡んでくるので、活躍の場を広げていけるはずです。得意分野を見極めて、強みを打ち出していくことが成功のカギとなるでしょう。
不動産鑑定士の年収
厚生労働省が公表している「令和2年 賃金構造基本統計調査」によれば、不動産鑑定士の平均給与額は、1ヶ月あたり35万6,500円となっています。賞与を含めた金額に換算すると、約536万円です。
一般労働者の平均賃金が、1ヶ月あたり30万7,700円なので給与水準は比較的高めだといえます。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:不動産鑑定士とは?
A:不動産鑑定士とは、土地や建物といった不動産の価格を適正に鑑定し、評価することができる唯一の国家資格です。資格を取得することで、不動産の鑑定評価業務のほか、コンサルティング業務や調査・分析業務などに携わることができます。
Q:不動産鑑定士になるには?
A:毎年1回行われる試験に合格する必要があり、実務修習を経て不動産鑑定士として登録することで、業務を始められます。学歴要件や年齢要件は設けられていないので、誰でも受験可能です。
Q:不動産鑑定士の年収は?
A:厚生労働省が公表している「令和2年 賃金構造基本統計調査」によれば、賞与を含めた金額に換算すると、約536万円です。ほかの職種と比較をしても、高い水準にあるといえるでしょう。
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