物件差別化の新しい方法? LUUP導入メリットとは
移動手段のひとつとして、昨今注目を集めている電動キックボード。街中でLUUPの電動キックボードや電動アシスト自転車を利用している人を見かける機会が増えたと感じている人も多いでしょう。特に東京都内では、ちょっとした空きスペースにLUUPのポートがどんどん増えている印象を受けます。利用者の状況や、物件にLUUPのポートを設置するメリットについて、株式会社Luup広報の松本氏にお話をお聞きしました。
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法改正以降、利用者数が増加中
ここ一年くらいで特にLUUPを見かける機会が増えたと感じますが、その背景には、2023年7月1日に改正道路交通法が施行され、交通ルールが変更になったことが理由としてあげられます。法改正以降、一定の要件を満たす電動キックボードなどは、「特定小型原動機付自転車」に位置付けられ、16歳以上であれば、免許証がなくても利用が可能になりました。株式会社Luup代表の岡井大輝氏は、2019年にマイクロモビリティ推進協議会を設立。以降、ガイドラインの作成や関係省庁が実施する公道での実証実験に参加するなどし、電動キックボードを含む電動マイクロモビリティの走行ルールが整備されました。
「LUUPが電動キックボードのシェアリングサービスを開始したのは2021年4月ですが、やはり法改正以降、利用者数は大きく増えました。LUUP利用者向けアプリの月間ダウンロード数も2~3倍に増加しています。主な展開エリアは東京、大阪、京都、横浜、宇都宮、神戸、名古屋、広島で、最近では、仙台市や福岡市でも提供を開始しています。ポート数※は現在8,000で、2025年には1万箇所を目指しています」(株式会社Luup 松本氏)
※ポート数は2024年6月時点
短距離移動がしやすく、利便性が高い
利用者数が増加中のLUUPですが、移動手段として選ばれ普及している理由は、法改正以外にも考えられそうです。どういった用途で利用されているのでしょうか。
「通勤、通学、日常のお出かけやお買い物、エリアによっては観光など、さまざまな用途でご利用いただいています。距離としては2~3キロの短距離移動でのご利用が多いです。東京都の目黒区や渋谷区などは特にポートの密度が高く、大手コンビニエンスストアの合計店舗数よりもLUUPのポート数の方が多く設置されています。年代としては20歳代~30歳代が比較的多く、50歳代の方まで幅広くご利用いただいております」(株式会社Luup 松本氏)
シェアリングサービスといえば自転車のシェアサイクルが以前より展開されていますが、LUUPは電動キックボードと電動アシスト自転車の2種類を提供。ポート密度が高いため利用しやすく、またそのときのユーザーの状況に合わせて移動手段が選択できることも大きなメリットといえそうです。
LUUPのポート数は日々増加しています。提供エリアも拡大中
省スペースで設置可能、メンテナンスや管理は不要
遊休地を活用する方法は、駐車場やコインランドリー、トランクルームなど、さまざまな方法が考えられますが、どの方法もある程度の面積が必要となりそうです。LUUPのポートを設置するとして、設置要件などはあるのでしょうか。
「面積としては、最小で自動販売機2台分ぐらいのスペースがあれば設置が可能です。設置箇所は長方形でなくてもよく、細長い形のところでも、自動販売機の2/3程度の幅があれば設置することができます。また、ご依頼をいただいてから現地調査を経て、2 週間~3週間ほどで導入可能です。オーナー様による車両の整備やメンテナンス、ユーザー対応などは一切不要で、電源も必要ありません。設置に際しての導入費用・更新費用等はかかりません。また、設置してくださったオーナー様には、立地と面積に応じて月額で賃料をお支払いしています。
Luupでは、自賠責及び任意保険共に一括加入しておりますのでライド中の事故を対象に、対人・対物賠償責任補償、搭乗者傷害補償も完備しており、オーナー様からも大変ご好評いただいております」(株式会社Luup 松本氏)
導入の際には、LUUPの担当者が設置候補場所を確認し、設置可能な台数を提案。契約後に設置作業が完了すると、ポートとしての運用が開始となります。設置作業も、設置箇所にポートの場所を示すテープを貼り、置けるスペースがある場合は看板を設置(看板が置けない場合はマットで代用することも)するだけなので、時間がかかりません。平均で1箇所20分ほどと設置のハードルが低いことも、LUUPが普及している大きな理由として考えられます。
電動キックボードと電動アシスト自転車が並ぶポート。電動アシスト自転車はLuupが開発し、日本最小クラスのコンパクトさ
物件への導入事例は?
物件の設備を新しいものに更新したり、ペット可にしたり…空室対策はいろいろと考えられますが、「駅からの距離」だけはどう努力しても変えられず、駅から距離のある物件は対策が打ちにくいものですが、物件の1階にLUUPのポートを設置することで、物件の差別化となるかもしれません。
都内分譲マンションに居住者専用モデルを導入
LUUPは、新築分譲マンションへの居住者専用モデル「LUUP for Residential」を2022年から提供しています。2023年6月より、第1号物件として「パークコート神宮北参道 ザ タワー」で稼働開始しました。今後は「パークホームズ浜松町」や「パークタワー西新宿」でも稼働予定です。また、西日本第1号の物件として「大阪市北区天満一丁目計画」への導入も決定しています。居住者は、通常料金と比較して割安で利用することができ、かつ居住者専用エリアにポートが設置されていることから、利用できる確率が高く、入居者にとっての付加価値となっています。
参考:居住者専用のマイクロモビリティシェア「LUUP for Residential」を提供開始
賃貸物件レジディア御茶ノ水Ⅲにポート設置
千代田区にある高級賃貸マンションレジディア御茶ノ水Ⅲの空きスペースを活用し、LUUPのポートを設置。もともと複数路線が利用可能であり交通利便性が高い立地ではありますが、ポートが設置されていることで、複数駅へLUUPで快適にアクセスすることができそうです。
「そのほかにも、築古の木造アパートにLUUPを設置後、若年層の方からの反響が増えて、ほぼ満室がずっとキープできていますとか、 LUUPがあるから入居の決め手になった、というお声も頂戴しております」(株式会社Luup 松本氏)
レジディア御茶ノ水Ⅲ
今後は高齢者向けモビリティも
Luupのミッションである“街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる”。
Luupは今後、高齢者の方も安心して乗車できる3輪〜4輪の新しい電動小型モビリティの開発も進めていくそうです。モビリティが多様化し、これから10年でさらに進化したら、物件選びの駅からの徒歩分数の優先順位は、今後大きく変わっていくかもしれません。
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