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最近、コロナ禍ではやりつつある⁉ DIY型賃貸住宅の概要とメリット

LIFULL HOME’S総研の中山です。

コロナ禍が長期化し、テレワークが定着して毎日通勤しない生活にもすっかりなじんだ感があります。

最近では首都圏だけでなく大阪や名古屋でもテレワークに合わせて賃料コストの低い郊外方面で生活するユーザーが増え始めているようです。

若年層にはコロナ禍での将来の不安や雇用の不安定さなどから、コスト全般を抑えて生活したいと考えるニーズが高まっているように感じます。

目次[非表示]

  1. 1.国土交通省が公開しているDIY型賃貸借のガイドブックと契約書式例
  2. 2.DIY型賃貸住宅とは入居者がリフォームを行うことができる賃貸住宅のこと

国土交通省が公開しているDIY型賃貸借のガイドブックと契約書式例

ロシアのウクライナ侵攻により、消費者物価も上昇基調で推移しています。円安による輸入品価格の高騰、資材・エネルギー価格の上昇により、食料品など消費財全般の価格上昇が発生しており、若年層に限らず、生活コスト全般を抑えようという消費抑制の動きは今後顕在化するものと思われます。

そんななか、コストも抑えることができて自分好みの部屋にもアレンジできる、というDIY型賃貸住宅が注目されてきています。

これは、2016年に国交省が「DIY型賃貸借のすすめ」というガイドブックと契約書式例を公表したのですが、“入居者が自らリフォームして自由度の高い賃貸生活が送れる&原状回復せずにそのまま貸せる&借りられる”という斬新なコンセプトは、公表当時面白がられたもののそれほど注目されることはなく、現在まで6年ほどの年月が経過しました。

ところが2020年以降コロナ禍が全国的に拡大したことにより、このDIY型賃貸住宅が注目されるようになったのです。築年が経過していてリフォーム・コストの負担が重いと感じる大家さんにも現状解決の一案となりますし、なるべく安価に住みたい、テレワークでオンもオフも自宅で過ごす時間が長くなったから自分好みにアレンジして快適に住みたいというユーザーにもぴったりです。

以下、簡単にその概要(通常の賃貸物件との違い)とメリットを解説します。

DIY型賃貸住宅とは入居者がリフォームを行うことができる賃貸住宅のこと

一般に賃貸住宅は設備や仕様などを大家さんが管理し、また修繕を含む維持管理全般についての義務を負うことでユーザーから賃料という対価を得る仕組みですが、DIY型賃貸住宅は、一定の条件はあるもののユーザー側がリフォーム可能とする賃貸住宅です。

この一定の条件というのがDIYを認める旨の特約付き賃貸借契約で、その特約については別途契約書の作成が推奨されています。契約書とは「増改築等の申請書兼承諾書」および「合意書」を指します。

「増改築等の申請書兼承諾書」は、増改築の内容を一覧表にして、それぞれについて所有権の帰属や退去時に撤去するか残置するかを取り決め、原状回復義務および退去時の費用精算の有無について、あとでトラブルにならないようにするための基本的書面です。

例えば、棚を吊る場合や壁紙を張り替える場合は、ユーザーが費用負担(自分でDIYするのも楽しそうですね)する代わりに原状回復義務も負わず、退去時に棚および壁紙の所有権を放棄する旨を事前に合意しておけば、双方にメリットがあります。

ただし、大掛かりに手を入れるような場合はトラブルの可能性が高まりますから、事前に契約で合意しておく必要があります。具体的には、サブリース事業者が、大家さんから賃貸管理などを一任される代わりに、リフォーム費用を負担し、退去時にユーザー負担分について精算し所有権を放棄するといった方法が考えられます。

「合意書」は、DIYで手を入れたものに関する所有権の帰属と、契約期間中の管理義務について決めておく書面です。DIYした箇所は契約期間中はユーザーに所有権を認め、その管理義務もユーザーが負うのが一般的です。

そして退去時については大家さんと事前にどうするか取り決めをしておくというスタイルです。所有権を放棄してDIY部分を残置し、原状回復しないというパターンが多いようです。

ポイントはDIY工事中のトラブルや費用精算をイメージして、大家さんはユーザーが具体的にどのようなDIY工事をするのか事前に把握し、工事中も立ち会って状況を把握することです。

また退去時に原状回復が不要である前提でも、例えばDIY箇所が壊れていて使えない・機能しない場合に、補修費用をどちらが負担するのか、精算時の価値をどのように計るのかも、細かいですがトラブルを避けるためには決めておくべきでしょう。

このように契約時および退去時に取り決めておく必要がある項目が増えるという点で、面倒に感じることもあるかもしれませんが、交通利便性に劣るとか築年数が経っているなど、借り手がつきにくい物件には空室対策として検討する余地があります。

またDIYを認めることで長期契約の可能性も高まりますし、退去後の付加価値の向上にも期待できます。リフォーム費用を捻出できないという大家さんには有効な手段です。

また、ユーザーにとっても手をかける代わりに賃料を抑えることにつながりますし、何より自分仕様という使い勝手の良さや居住満足度にもメリットがあるでしょう。

DIY型賃貸住宅は、契約後にも予期しないトラブルが起こる可能性は常にありますが、それは一般の賃貸借契約も同じことですから、コロナ禍で空室期間が長引いている&利便性に劣るので借り手がつきにくいなどという賃貸物件については、このDIY型賃貸住宅でユーザーを募集することを提案してみてはいかがでしょうか。

 
中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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