不動産営業の商談に欠かせない“ヒアリング”の心得と4つの質問項目
不動産営業の商談においては“ヒアリング”が欠かせません。お客さまの希望や求める条件など、ヒアリングで真のニーズを引き出せるかによって提案の内容や質が変わってきます。
お客さまのニーズを満たしつつ、心をつかむ提案を行うためには、ヒアリングに必要な姿勢や質問項目について理解しておくことが重要です。
この記事では、ヒアリングの重要性をはじめ、不動産営業におけるヒアリングの心得や具体的な質問項目について解説します。
目次[非表示]
- 1.ヒアリングの重要性
- 2.ヒアリングの質を高めるための心得
- 2.1.緊張をほぐして距離を縮める
- 2.2.顧客の話に耳を傾ける
- 2.3.顧客主体の会話を心がける
- 3.不動産営業に必要な4つのヒアリング項目
- 4.まとめ
ヒアリングの重要性
営業活動では、顧客のニーズや課題を把握するためにヒアリングを実施します。物件の提案に必要な情報を収集するだけではなく、顧客の本音をくみ取ったり、本人が気付いていない潜在的なニーズを引き出したりすることが目的です。
質の高いヒアリングができれば、顧客に対するよりよい提案が可能になり、契約につながる可能性がアップします。
顧客のニーズ・課題にマッチした提案をするため、また、多角的な視点から価値のある提案を行うためにも、商談時のヒアリングでいかに情報を引き出せるかが重要です。
ヒアリングの質を高めるための心得
質の高いヒアリングを実施するには、顧客との信頼関係が欠かせません。信頼関係を築くための心得は以下のとおりです。
緊張をほぐして距離を縮める
初対面の商談では、営業担当者に対して緊張感を抱いてしまい、伝えたいことをうまく話せない顧客もいます。顧客との距離を縮めるためには、アイスブレイクとなる雑談を取り入れ、顧客がリラックスできる雰囲気づくりを心がけることが重要です。
お互いの緊張をほぐし、営業担当者に対する親近感を持ってもらうことで、その後の会話で顧客のニーズや本音を話してもらいやすくなります。
顧客の話に耳を傾ける
営業担当者は、顧客に寄り添いながら悩みや課題を聞く“相談役”としての役割も担っています。
住宅・サービスを一方的に紹介する、顧客の話を遮って意見を述べるといった姿勢では「話を聞いてくれない」と受け取られ、顧客との信頼関係を築くのは難しいでしょう。
信頼を獲得するには、顧客の話に耳を傾けながら、相づちや共感で傾聴の姿勢を示すことが重要です。「自分の話を聞いてくれている」「自分のことを理解してくれている」と感じてもらうことで、本音を聞き出しやすくなります。
顧客主体の会話を心がける
顧客によっては、自ら話すことが苦手な人もいます。そのような人に対して営業担当者が主体となって質問を繰り返すと、不信感につながるケースがあります。
ヒアリングの際は、顧客を主体に捉えながら、顧客が知りたい・話したいことを質問によって引き出す姿勢を心がけましょう。質問を投げかけた後は顧客からの返答を待つ姿勢も大切です。
不動産営業に必要な4つのヒアリング項目
ここからは、不動産営業に必要なヒアリング項目を具体例とともに紹介します。
①物件の条件・希望
まずは、顧客が物件に求める基本的な条件や希望についてヒアリングします。エリア・間取り・アクセス・駐車場の必要性などの基本的な情報についてはヒアリングシートを用いるのも有効です。
基本情報を把握した後は、条件・希望に対する具体的な理由を聞き出すのがポイントです。条件の優先順位やその理由を知ることで、提案できる物件の幅が広がります。
▼質問の例
- 「どのような理由でこのエリアを選ばれたのですか」
- 「2LDKを希望とのことですが、リビングが広ければ1LDKでもよい、多少狭くても個室が欲しいなどの希望はありますか」
- 「この物件の条件で譲れないポイントはありますか」
②引越しの背景
「家族が増えて手狭になった」「結婚するため実家に近い場所に住みたい」など、人によって引越しの理由はさまざまです。引越しの背景をヒアリングすることで、顧客がまだ気付いていない潜在ニーズを掘り起こせるようになります。
また、引越しの背景については、具体的な引越し時期や提案できる物件の条件・エリアを絞り込むための検討材料にもなります。
▼質問の例
- 「なぜこのタイミングで引越しを検討しているのですか」
- 「今すぐに引越しをお考えですか」
- 「差し支えなければ、引越しの理由をお聞かせ願えますか」
③現状の悩み・課題
顧客からヒアリングした物件の条件・希望などが顧客の真のニーズとは限りません。ヒアリングを行う際は、顧客が抱える現状の悩み・課題を踏まえつつ、その奥にある本音を探ることがポイントです。
顧客が本当に求めるニーズを理解することにより、顧客自身も考えていなかった新たな視点から魅力的な提案ができるケースがあります。
▼質問の例
- 「現状の住まいで気になるところはありますか」
- 「間取りや動線、収納などの使い勝手はどうですか」
④予算と支払い方法
予算についてヒアリングする際は、顧客の家族構成や働き方、収入などを把握することも大切です。具体的な見積もりを立てて、顧客にとって支払い・返済が可能な現実的な金額ラインを伝えることで予算の幅を広げられるケースもあります。
また、予算については決裁者と話すこともポイントです。決裁者の希望条件に合った物件や支払い方法を提案することで商談をスムーズに進められます。
▼質問の例
- 「毎月の賃料の上限は○○円でよろしいですか」
- 「お客さまの収入状況を踏まえると、現在の賃料から○○万円アップで購入できますがいかがでしょうか」
- 「夫婦ペアローンであれば、○○万円まで借り入れできますがいかがでしょうか」
まとめ
顧客の心をつかむ提案を行うには、ヒアリングによっていかに顧客の本音や潜在ニーズを引き出せるかどうかがカギです。
物件の条件や希望に加えて、引越しの背景や現状の悩み、予算などをヒアリングすることで顧客のニーズに合った提案ができるようになります。
また、商談をスムーズに進めるためには、話しやすい雰囲気づくりや傾聴の姿勢を心がけ、顧客との信頼関係を築くことも重要です。よりよい物件提案ができるよう、不動産営業におけるヒアリングの質の向上を目指してはいかがでしょうか。