顧客の心をつかむ! 不動産営業のプレゼン構成と話し方のコツ
不動産選びはライフスタイルや人生にも関わる行動のため、お客さまの判断も当然ながら慎重になります。
数多くある不動産会社のなかから自社を選んでもらうためには、商談でのプレゼンテーションを通して、会社・物件に対する必要性や価値を感じてもらうことが重要です。
「提案時のお客さまの反応が悪い」「クロージングで断られてしまう」という場合は、日ごろのプレゼンテーション方法を見直してみてはいかがでしょうか。
この記事では、不動産賃貸・売買を検討している人や物件オーナーに向けたよいプレゼンテーションの共通点、構成などについて解説します。
目次[非表示]
- 1.プレゼンテーションの重要性
- 2.不動産営業におけるよいプレゼンテーションの共通点
- 2.1.顧客の理解度に合わせている
- 2.2.特徴ではなく利点を伝えている
- 2.3.デメリットをしっかりと伝えている
- 3.顧客に好印象を与えるプレゼンテーションの構成
- 3.1.①現状の課題・要望の整理
- 3.2.②提案・理由の説明
- 3.3.③顧客メリットの訴求
- 3.4.④コスト・スケジュールの提示
- 4.プレゼンテーションの効果を高める話し方のコツ
- 4.1.①客観的な視点で話す
- 4.2.②結論から話す
- 5.まとめ
プレゼンテーションの重要性
プレゼンテーションとは、顧客に対して自社商材の魅力・メリットなどを分かりやすく訴求することです。自社商材を選ぶ必要性や価値、競合他社との違いを顧客に伝え、契約につなげることが目的です。
不動産営業においては、賃貸借契約・住宅購入を検討している顧客の興味・関心を引き、意欲を高めるための重要な機会です。プレゼンテーションで顧客の心をつかめるかどうかが契約の分かれ道となります。
なお、不動産営業で行うプレゼンテーションには主に2つのケースがあります。
- 相談会やイベントなどで一斉に向けて行う場合
- 商談時に顧客一人ひとりに行う場合
今回は、顧客一人ひとりを対象とした後者のケースを中心に紹介します。
不動産営業におけるよいプレゼンテーションの共通点
顧客の心をつかむプレゼンテーションには次のような共通点があります。
顧客の理解度に合わせている
自社が伝えたいことを顧客に分かりやすく伝えることはよいプレゼンテーションの前提条件です。特に、住宅の性能や手数料、保証契約などについては一般の人には理解が難しいケースがあります。
プレゼンテーションでは、顧客が全体像をイメージしやすいように資料や図表を用いて説明し、段階ごとに理解度を図りながら進めることが重要です。
特徴ではなく利点を伝えている
顧客によって魅力と感じる要素は異なります。そのため、自社が考える物件の魅力や特徴などをただ羅列するだけでは顧客の心に刺さりません。
物件の特徴ではなく、その顧客がメリットと感じる魅力をピンポイントで訴求できていれば、よいプレゼンテーションといえます。
例)出産を機に引越しを希望している顧客の場合
▽ 特徴を伝える場合
- 駅から徒歩5分
- 南向き
- 小学校は○○学区
▽ メリットを伝える場合
- 駅から徒歩5分のため、子育て・共働き家庭の通勤にも便利
- 近くに保育施設や教育施設、商業施設、病院があり、子育て環境が整っている
- 日当たりがよく、日中部屋にいることが多い人も快適
デメリットをしっかりと伝えている
自社の物件やサービスをよく見せようとしてメリットばかりを伝えると、かえって不信感を覚えられやすくなります。
よいプレゼンテーションでは、お客さまにとってデメリットとなる要素を隠さず伝えつつ、それらをメリットにうまく変換できています。デメリットを隠さず伝えることで、営業担当者への信頼やプレゼンテーションそのものの説得力が高まります。
顧客に好印象を与えるプレゼンテーションの構成
プレゼンテーションにはさまざまな構成がありますが、ここでは物件の賃貸・売買を検討している顧客に対して有効な構成を紹介します。
①現状の課題・要望の整理
現在の住まいで感じている課題や新しい物件に求める条件・要望を整理して共有するところからスタートします。
現状の課題や要望を明確にすることで、顧客と認識が乖離(かいり)してしまうことを防ぎ、その後の提案内容に対して理解を深めやすくなります。
②提案・理由の説明
課題や要望を明確にした後には、顧客にとって適切と考える提案を行います。この際、自社や物件の魅力・強みを多く盛り込みすぎるとプレゼンテーション全体の焦点がぼやけてしまうため、注意が必要です。
ヒアリングした内容を踏まえ、紹介したい物件や顧客に伝えたいことを絞ることがポイントです。提案した理由も説明に加えることで、提案内容に対して納得してもらいやすくなります。
③顧客メリットの訴求
顧客にとってどのようなメリットがあるのか、顧客が重視する要素をメリットに変換して訴求します。顧客にとって優先順位が高い要素に絞って訴求することで、提案を魅力的と感じてもらえます。
また、ここで競合他社と差別化できるポイントや実現可能な顧客の希望を具体的な言葉で伝えることもポイントです。メリットに対する説得力を高め、物件の必要性や価値を感じてもらいやすくなります。
④コスト・スケジュールの提示
最後は、契約に現実感を持たせるためにコストと契約後のスケジュールについて説明します。コストについては項目別に算出し、精度の高い見積もりを提示することが重要です。
スケジュールや契約プランが複数ある場合には、図表を用いることで顧客の理解度を高められます。このように、コストやスケジュールに関して明確な数字を提示することにより、会社への信頼につなげることも可能です。
プレゼンテーションの効果を高める話し方のコツ
プレゼンテーションを行う際は、話し方の工夫も必要です。営業担当者が意識するとよい2つのポイントには以下が挙げられます。
①客観的な視点で話す
物件のメリットや魅力を伝えるときには、営業担当者の“売る立場”ではなく、顧客として“買う立場”になってトーク内容を考えることがコツです。客観的な視点で提案を行うことで、顧客の共感を得やすく、トーク内容に説得力が生まれます。
また、顧客から質問があった際には、営業目的ではなくフラットな視点で回答することで信頼を得やすくなります。
②結論から話す
単調な説明や要点が分かりづらい説明は、顧客の集中力を途切れさせてしまいます。
プレゼンテーションを行う際は、何を伝えたいのか、冒頭で結論を伝えることもコツです。最初に話のポイントが明確になることで、その後のトークをスムーズに理解しやすくなります。
まとめ
不動産営業でのプレゼンテーションは、顧客に自社・物件の必要性や価値を感じてもらい、契約につなげるための重要な機会となります。
顧客の心を引きつけるプレゼンテーションを行うには、課題・要望の整理、メリットの訴求などのプロセスを踏み、顧客の理解度を上げ、プレゼンテーションの説得力を高めることがポイントです。また、顧客の視点に立って結論から話すことで相手に伝わりやすくなります。
「なかなか契約につながらない」とお悩みの営業担当者さまは、今回紹介したよいプレゼンテーションの共通点を踏まえて、構成や話し方を見直してみてはいかがでしょうか。