不動産賃貸営業で契約を獲得するコツと提案に必要な知識
不動産の賃貸営業においては、顧客が競合他社へ流れてしまうのを防ぐことが重要です。
特に、“流通物件”については多くの不動産会社が取り扱っているため、競合他社との差別化や的確かつ迅速な提案が求められます。
この記事では、不動産の賃貸営業で契約につなげるために重要となるプロセス別のコツと提案時に必要な知識について解説します。
目次[非表示]
- 1.【プロセス別】賃貸営業で契約につなげるためのコツ
- 2.不動産賃貸営業で必要な知識
- 2.1.不動産用語
- 2.2.物件の管理情報
- 2.3.物件エリアの周辺情報
- 3.まとめ
【プロセス別】賃貸営業で契約につなげるためのコツ
賃貸営業で契約につなげるためには、顧客へのヒアリングや物件提案などのプロセスでいくつかのポイントがあります。ここでは、各プロセスにおける賃貸営業のコツを紹介します。
①ヒアリング
どのような賃貸物件を探しているのか、顧客へのヒアリングを行います。その際、顧客の要望だけではなく、その要望に至った理由までヒアリングするのがコツです。
物件探しの理由を聞くことによって、顧客の本心や潜在ニーズを引き出すことが可能です。それによって新たな視点から物件を提案できれば、営業担当者の付加価値を生み出し、顧客から必要な存在と感じてもらえます。
また、仮に要望にマッチする物件が見つからなかった場合でも、別の視点から顧客のニーズを満たす物件を提案することも可能です。
▼ヒアリングの項目例
- 引越しの理由・引越し時期
- エリアの希望・その理由
- 間取りの希望・その理由
▼提案例
- 顧客の要望:「○○駅から近い物件がよい」
- 理由:職場まで乗り換えなしでアクセスできるため
- 提案:一本でアクセスできる△△駅近くの物件のほかに、乗り継ぎが必要となる○○駅近くの物件も候補として提案する
②物件提案
物件提案のプロセスでは、①でヒアリングした条件を踏まえて、似た条件の物件を2~3個ずつ提示するのがコツです。条件をある程度そろえて選択肢を絞ることによって顧客が物件を比較しやすくなります。
たとえば、Aの物件に対する顧客の反応がよくない場合は、物件に対する顧客の評価を聞き出してBの物件を再提案します。再提案する際は、顧客の要望やニーズをより細かく聞き出し、それらを整理しながら顧客が求める優先順位を洗い出すことが重要です。
▼提案時に整理する情報
- 物件のよい点
- 決めかねている点・惜しいと感じる点
- 物件の悪い点・懸念点
③物件案内(内見)
提案した物件のなかから候補が決まったら、物件案内(内見)を行います。
物件案内の際は、一方的な説明によって顧客が萎縮してしまうのを避けるために、「顧客に質問されたことに対して回答する」という姿勢を持つのがコツです。
顧客の反応や質問に対して補足的な説明を入れることで、顧客がスムーズに内見でき、物件の魅力をさりげなく訴求できます。
▼訴求例
顧客:「クローゼットはここですか?」
営業担当者:
「はい。壁一面と広いので、衣替えにも重宝しますよ。」
「お二人暮らしであれば十分な大きさだと思います。」
「こちらのクローゼットは高さがあるため、冬用のコートやゴルフバッグなど、縦に大きなモノも収納できる余裕があります。」
④クロージング
賃貸営業で契約につなげるには、内見後のクロージングで顧客の意思決定を後押しすることが重要です。
「検討したい」「興味はあるけれど悩んでいる」という顧客には、その物件の希少性を伝えるのがコツです。
内見中・移動中に契約を急かさず、顧客が気になったことや迷っていることなどに耳を傾けることで、顧客に安心感・信頼感を得てもらいやすくなります。顧客に決断を委ねる姿勢を保ちつつ、“今決断しないこと”へのデメリットを伝えるのが有効です。
▼顧客への声掛けの例
「物件選びはとても迷いますよね。ただ、こちらの物件は問合せが多く、すぐに決まってしまう可能性もあります。気に入っていただけたのでしたら、できるだけ早く申し込みされたほうがよいかと思います。」
⑤内見後
即日申し込み・契約に至った場合も、そうでない場合でも、内見後のフォローは必要不可欠です。内見後はメールや電話でフォローし、契約キャンセルや競合他社に流れてしまうのを防ぎます。
顧客の確度に応じて以下のような内容を伝えるのがコツです。
▼申し込み・契約に至った場合
- 申し込み・契約に対するお礼
- 審査や契約までの流れ
- 物件を選んだことに対する顧客メリット
▼申し込み・契約に至らなかった場合
- 内見・問合せに対するお礼
- 物件の問合せ状況(問合せが多い場合はその旨をお伝えする)
- 条件に合った別物件の提案
不動産賃貸営業で必要な知識
不動産賃貸営業で契約を獲得するには、物件提案や契約に役立つさまざまな知識を身に付けておくことも重要です。
ここからは、スムーズな物件案内や契約手続きを進めるために、営業担当者が身に付けておくとよい知識について紹介します。
不動産用語
不動産営業の新人担当者は、基本的な不動産用語を習得しておくことが大切です。
不動産物件情報を交換できるネットワークシステムのレインズや不動産ポータルサイトを確認するとき、または管理会社・保証会社に問合せするときなどに専門用語が用いられます。
基本的な用語を理解しておくことにより、物件確認や管理会社などへの問合せがスムーズになります。
▼代表的な不動産用語
囲い込み・仮申し込み・家賃保証・原状回復・物確(ぶっかく)など
物件の管理情報
賃貸営業では、商圏内で取扱っている物件の管理情報をレインズで確認するのが一般的です。レインズを活用することで、物件名・間取り・オーナー・管理会社・保証会社などさまざまな情報を収集できます。
日頃から商圏内にある物件の管理情報をレインズで調べておくと、物件選定や内見時の鍵の受け渡し、空室確認などをスムーズに行えるようになります。
物件エリアの周辺情報
物件提案や内見をスムーズに進めるために、物件の位置関係・最寄り駅・最寄り施設などの周辺情報を覚えておく必要があります。
これらを把握しておくことにより、物件の提案時に周辺施設や雰囲気、アクセス情報などの詳細を顧客に伝えることが可能です。実際に住むときのイメージが湧きやすくなることで提案の質や訴求力が高まります。
まとめ
不動産の賃貸営業を成功させるには、ヒアリングから物件提案、内見、クロージング、内見後フォローなど、各プロセスにおけるコツを押さえることが重要です。
また、物件案内や契約手続きをスムーズに進めるために、基本的な不動産用語の習得をはじめ、商圏内の物件管理情報、駅・道路・施設などの周辺情報を把握しておくことも欠かせません。
賃貸営業で契約を獲得するために、営業プロセスの見直しや物件提案・契約に役立つ知識の習得を図ってみてはいかがでしょうか。