プロコール24直伝! 賃貸管理会社が押さえておきたい入居者対応教育のコツ
賃貸管理会社専用コールセンターに学ぶ「入電対応」とは
賃貸管理会社にお勤めであれば多くの方が経験されている、日常的に発生する「入居者からの入電対応」。相手の顔が見えない中、問題解決に向けて適切なヒアリングと状況判断、そして「どう対応するか」「どう実行するか」を決めなければならない入居者対応は、難易度の高い業務です。
そのため、メインの対応を経験豊富なベテランスタッフが負わざるを得ない管理会社も少なくないようです。しかし、ベテランスタッフは本来、オーナー提案・空室対策・管理受託営業といった、会社の売り上げに直接つながるような業務を率先して行うべき存在となります。
もちろん、入居者対応も重要なのですが、会社の売り上げにつながりにくく手間暇もかかる以上、できることなら若いスタッフに任せたいところです。
ただ、安心して入居者対応を任せられるスタッフを育てようとすると、今度は対応の教え方が難しいという悩みが出てきます。
本コラムでは、株式会社オーナーズエージェント社によるプロコール24流「入電対応テクニック」を公開します。ぜひ若手スタッフの教育にご活用ください。
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入居者の「2つの欲求」を同時に解消する
「なぜ入居者は管理会社に電話をかけてくるのか」
それは多くの場合、何か困っていることがあり、それを解決したいと考えているからです。
ただ、入居者の心の内をのぞくと、そこには「物理的な欲求」と「心理的な欲求」という2つの欲求を抱えていることが分かります。
「物理的な欲求」と「心理的な欲求」とは、たとえば、エアコンが壊れたと電話してきた入居者であれば、以下のような具合です。
- 物理的な欲求:エアコンを修理してほしい
- 心理的な欲求:謝罪をしてほしい(暑いのにエアコンが使えず迷惑している)
どちらも入居者の本音です。
そして入電対応のポイントは、この2つの欲求を同時に満たしてあげることです。
「エアコンの効きが悪いのですが…」という入電があったとします。
若手スタッフの場合、気持ちが急いてしまい、「それでは業者を手配します!」と問題解決にばかり意識がいってしまいます。ともすれば大切な"謝罪"を忘れてしまうということが起こってしまいます。
若手スタッフから謝罪がないことにカチンときた入居者がヒートアップしてしまえば、二次クレームは待ったなし。対応時間が延びてしまうことになりかねません。
この場合、若手スタッフは、入居者が持つ「物理的な欲求」(エアコンの不具合を解決する)だけでなく、迷惑をかけられたことに対する謝罪を求める「心理的な欲求」にも、冷静に応えてあげなければならなかったわけです。
入電対応に焦りは禁物です。
入居者が迷惑を被っている状況に対して、まずは落ち着いて謝罪の言葉をかけるよう、若手スタッフに促してみてください。
オペレーターが心がけている、プロならではの「対応ポイント」
相手の顔や状況が全く見えないなか、入居者との会話のみで状況を把握し、適切な対処を行うにはいくつかのコツがあります。そこで今回は株式会社オーナーズエージェントの研修で紹介している5つのコツから2つをご紹介いたします。
電話対応に慣れておらず、苦手意識のあるスタッフに対しては、次のようなことを意識させてみてください。
入居者の言葉に疑いを持つ
若手スタッフがやってしまいがちなのは、入居者の言葉をそのまま鵜呑みにしてしまうことです。もちろん、共感・理解は示さなければなりませんが、注意をしないと後々トラブルになる可能性があります。
株式会社オーナーズエージェントでは昔こんなことがありました。
それは、エアコンに付属するリモコンの液晶画面がつかないという入電でした。
若手スタッフが電池交換をお願いすると、入居者は「すでに交換した」と言います。それでも、一向に液晶がつかないため、若手スタッフは故障と判断して、業者を手配しました。
一見、よくある普通の対応で、問題はないように見えますよね。電池交換をしても直らないのであれば、故障と判断するのが一般的でしょう。しかし、現地に到着した業者からは「故障じゃなかった」との報告があったのです。
いったいなぜでしょうか。
落とし穴は、入居者が「交換した」と言った電池にありました。入居者の言葉から、若手スタッフは「新品に交換した」と思い込んでいましたが、実は入居者は「ほかの製品で使っていた古い電池に交換した」だけで、リモコンの電池を新品に交換したわけではなかったのです。
入居者の言葉を鵜呑みにしたために、業者手配の無駄な費用だけがかかってしまいました。
同じようなミスはほかにもあります。
たとえば【電球が切れている】という入電だと、単純に「古い電球やワット数の違うものに変えていただけ」だったり、【水が出ない】という入電では、実は「子どもがいたずらで止水栓を閉めてしまっていた」なんてこともありました。
こうした些細なミスを防ぐためにも、入電対応では常に入居者の言葉を信じすぎず、入居者の認識が間違えているかもしれないという意識を持って対応にあたるよう、若手スタッフに伝えていきましょう。
ネガティブな話をポジティブに話す
先ほどのリモコンのように、入居者の協力のもと、自力復旧を試していただくケースもよくあります。
しかし、なかなか協力に応じてくれない方もいらっしゃいます。その場合、一方的にお願いするのではなく、協力に応じることで入居者にどんなメリットがあるのかを併せて伝えることが大切です。
たとえば、コールセンターでは次のような言い回しをよく使います。
「こちらの作業をお試しいただくことで、復旧してすぐに使えるようになるかもしれませんので、お手数ではございますがご協力をお願いできますか」
入居者にとっても、業者との日程調整をせずにすぐに直るのなら、それに越したことはありません。復旧のために「自分が動かなきゃいけない」というネガティブな話から、「いま自分が動けば、すぐ使えるようになるかも」というポジティブな話に変えることで、入居者に協力してもらえる可能性がグッと高まるのです。
ちなみに、ヒアリングを始める際も「業者を手配いたしますので、手配にあたって何点か教えてください」とワンクッション挟むことで、入居者に安心感を与える効果も期待できます。
入居者対応をアウトソースするのも手
入電対応のノウハウは、経験則によるところが大きく、教育が大変だと感じていらっしゃる賃貸管理会社さまも多いと思います。高いレベルで対応できる人材を社内で増やしていくためには、対応履歴をしっかりと残しておくことが大切です。
どのような対応をしたらうまく解決できたのか、逆にどのような対応で怒らせてしまったのかを、スタッフそれぞれが共有できる環境を整え、新人教育や対応力向上に生かしていくことが重要です。
とはいえ、人手不足といった理由で、「履歴を残す時間がない」「教育ができる人材がいない」「そもそも入居者対応に大幅なリソースを割かれてしまっている」といった場合は、外部のコールセンターを利用するのも手です。お困りの賃貸管理会社さまはアウトソースを検討するのもよいでしょう。