不動産の売買仲介営業では、物件を買いたい人を仲介する“客付け”と物件を売りたい人を仲介する“元付け”が存在します。

そのうち、売主との媒介契約を獲得して元付けになるほうが、安定して高い利益を得やすいとされています。

しかし、なかなか利益につながらずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、物件の元付けがうまくいかない営業担当者さまに向けて、売買仲介に必要なスキルと媒介契約を獲得するためのコツについて解説します。

売買仲介営業に必要な2つのスキル

不動産の売買仲介営業に必要なスキルは大きく2つに分けられます。

①不動産を買ってもらうスキル

“不動産を買ってもらうスキル”とは、不動産の購入を検討する買主に向けて物件・土地を買ってもらうスキルのことです。買主の依頼に対して物件・土地を探し、売主との売買契約を仲介することを“客付け”といいます。

客付けでは、買主との媒介契約を結んだ場合でも、「要望に合う物件が見つからない」「売主との交渉で断られる」といったケースがあります。

売買仲介を成功させるためには、売り出し物件の情報をいち早くキャッチするとともに、不動産オーナーや元付け会社との交渉スキルを身に付けることが重要です。

②媒介契約を獲得するスキル

“媒介契約を獲得するスキル”とは、不動産の売却を検討する売主に物件・土地を売ってもらうよう交渉するスキルのことです。自社、または客付けを行う不動産会社が買い手を見つけて、売買契約を仲介することを”元付け”と呼びます。

元付けでは、売主と媒介契約を交わしたうえで、客付けを行う不動産会社を見つけて売買契約へとつなげることが基本の業務です。

また、一般的に、元付けは客付けよりも重要度が高く、利益を獲得しやすいとされています。元付けが利益を獲得しやすいとされる理由として、自社で買主を見つければ、売主・買主の両方から仲介手数料を得られる可能性があることが挙げられます。

元付けで媒介契約を獲得するコツ

売買仲介営業のなかでも重要度・営業の難易度が高いとされる元付けで媒介契約を獲得するには、売却情報の収集や売主との関係構築がカギです。

ここからは、元付けの営業を成功させるための3つのコツを紹介します。

①地域の情勢を把握する

元付けでは、売り物件の情報をいち早く得ることが重要です。そのためには、商圏内となる地域の情勢を把握しておく必要があります。

▼売却情報収集のための調査内容

• 地域の開発予定
• 地域の不動産の流通状況
• 築年数や不動産種類別の売却状況
• エリア一帯の不動産価格相場

不動産の流通状況や開発予定などを調査することで、売却情報をすばやくキャッチしやすくなります。競合他社よりも早く売主へアプローチできるようになり、他社に先決されてしまうことを防げます。

また、不動産売買に関して豊富な知識を持つことで、売主・買主から信頼を得やすくなるという効果も期待できます。

②複数の候補を持つ

元付けで売り物件を探す際は、複数の候補を持つことが重要です。ただし、対象エリアを広げすぎると専門性が低くなる点には注意が必要です。

アプローチする売り物件を選定する際は、対象地域を絞り、店舗から足を運びやすいエリア内でピックアップするのがコツです。

元付けでは幅広いエリアを対象とするよりも、地域密着型でエリアに精通しているほうが売主からの信頼につながりやすくなります。

③複数回アプローチする

大きなお金が動く不動産売買においては、会社や営業担当者に対する信用度・信頼関係の有無が重要です。特に、元付けで媒介契約を結ぶには売主となる不動産オーナーとの信頼関係が欠かせません。

信頼関係を構築するには、はじめから本格的な営業アプローチを実施するのではなく、定期的な手紙の送付や挨拶を重ねるのがコツです。

このように、営業担当者の誠意を伝えながら信用を積み重ねていくことで、面談の機会が得やすくなります。

元付けの案件獲得の方法については、こちらも参考にしてください。

  ≫ 不動産の仕入れ営業を成功させる4つの方法

まとめ

不動産の売買仲介営業において、安定的に高い収益を確保するためには、元付けとして売主と媒介契約を結ぶ必要があります。

元付けでは、いち早い情報収集と地域情勢の把握によって機先を制することがカギといえます。

元付けの営業を成功させるには、地域情勢調査を実施して、売却情報をすばやくキャッチすることが重要です。また、エリアを絞って売り物件をピックアップすることや複数回のアプローチで不動産オーナーとの信頼関係を築くことも成功するためのコツといえます。

今回紹介したコツを踏まえて、不動産売買仲介における営業スキルの強化を図ってみてはいかがでしょうか。