不動産営業に重要なPDCAとは? 実施による効果やポイントを解説
不動産営業では、毎月の売り上げ目標を達成するために目先の契約獲得に追われて、長期的な視点で営業活動について考えることが困難になってしまうことがあります。
営業活動の振り返りが十分にできておらず、「プロセスが非効率になっている」「チームの育成ができていない」という現場もあるのではないでしょうか。
不動産営業の効率化やチーム育成を行うためには、PDCAを実施して業務改善を図ることが重要です。
この記事では、営業活動におけるPDCAの基礎知識をはじめ、期待できる効果やポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.PDCAとは
- 2.PDCAの効果
- 3.営業活動のPDCAを実施するポイント
- 3.1.①目標を定量化する
- 3.2.②タスク・スケジュールを細かく設定する
- 3.3.③問題の原因を解明する
- 3.4.④継続して実施する
- 4.まとめ
PDCAとは
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の一連のサイクルを繰り返して、継続的な業務改善を図るフレームワークです。
PDCAによって不動産営業のプロセスやフローなどを振り返ることで、業務・プロセスにおける問題点を抽出できるようになります。不動産営業における業務効率化や人材育成などにも活用できます。
▼PDCAのサイクル
Plan(計画) |
目標を設定して、行動計画を作成する |
---|---|
Do(実行) |
設定した行動計画を実施する |
Check(評価) |
果を測定・分析して、目標達成できた点・できなかった点を評価する |
Action(改善) |
問題点に対する改善策を立案して、再度Plan(計画)へと反映する |
継続的にPDCAを実施することで、不動産営業チームの生産性向上や売り上げ向上につながります。
PDCAの効果
不動産営業でPDCAを実施することで、次のような効果が期待できます。
業務改善
PDCAによって期待できることの1つに、業務改善が挙げられます。PDCAを実施して不動産営業における業務の問題点を洗い出すことで、適切な改善策の実行につなげられます。
不動産営業では、商談や追客などをはじめとしたさまざまな業務が発生します。これらをただ漠然と遂行している場合、「なぜ成約につながったのか」「なぜ失敗したのか」といった要因を把握するのは容易ではありません。そのため、成功のノウハウを蓄積できず、売り上げの低下につながることもあります。
PDCAを実施することにより、成約につなげられたケースと失敗したケースの要因を明確にして、成功ノウハウを蓄積できるようになります。これにより、業務改善化や売り上げ向上といった効果につなげることが可能です。
目標設定の最適化
PDCAによって期待できるもう1つの効果として、目標設定の最適化が挙げられます。
不動産営業では、専門知識や経験が求められるため、営業担当者によって業務品質に差が生まれやすいといった特徴があります。
目標や具体的な行動が明確でない場合、業務の進め方に営業担当者によるばらつきが生じます。それによって懸念されるのは、業務効率が悪くなり、売り上げの低下につながることです。
PDCAによって営業担当者・チームにおける目標を設定して具体的な行動計画を立てることで、一人ひとりの行動が明確になります。各営業担当者の行動のばらつきを減らすことによって、業務の標準化、生産性の向上にもつながります。
営業活動のPDCAを実施するポイント
PDCAを実施するポイントには、次の4つが挙げられます。
①目標を定量化する
Plan(計画)段階で設定する目標は、定量的に評価できる数値目標にする必要があります。数値として測れる目標でなければ、Check(評価)段階で検証が難しくなるためです。
不動産営業で掲げる目標には、以下のような項目が挙げられます。
▼定量的に評価できる目標
- 契約数
- 売上高
- 反響数
- 既存顧客への架電件数
- メールの送信件数
- 商談件数
目標を定量化することで、達成・未達成の状況を把握しやすくなります。目標を設定する際は、期限を定めるとともに、現状の営業活動や売り上げを踏まえつつ、達成可能な範囲内で設定することがポイントです。
②タスク・スケジュールを細かく設定する
Plan(計画)で立てた目標を基に行動計画を策定する際は、タスク・スケジュールを細かく設定することが重要です。
「架電数を増やす」「メール送信件数を増やす」といったあいまいな行動計画では、各営業担当者のスキルや経験に依存しやすく、個人差が生じやすくなるためです。
タスク・スケジュールを設定する際は、目標から逆算して、達成するために必要な各プロセスで洗い出すことがポイントです。
▼有効商談数5件を目標として設定する場合
1. 有効商談数を5件獲得する 2. 商談数10件を獲得する 3. アポイントメントを20件獲得する |
“何を”・“どれくらい”・“いつまでに”といったように細分化することで、営業担当者一人ひとりの行動が明確になり、実行に移しやすい環境を構築できます。
③問題の原因を解明する
Check(評価)の段階では、問題点を洗い出したうえで、原因の解明を行うことが重要です。原因が分からないまま改善策を検討しても、根本的な業務改善につながるとは言い切れません。
問題を明確化したのちに、計画・実行のどのプロセスに原因があるかを分類することがポイントです。
▼目標①アポイントメント15件 目標②有効商談数5件 の場合
Aさん |
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---|---|
Bさん |
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▽結果
- Aさんはアポイントメント獲得数が少ないが、有効商談数に移行する割合が高い
- Bさんはアポイントメント獲得数が多いが、有効商談数に移行する割合が低い
▽問題点
- Bさんのほうがアポイントメント獲得数に対する有効商談数が少なく、案件化への精度が低い
▽原因
- Bさんは架電対象となる顧客リストのなかから優先顧客を選別できていない
- Bさんの商談時の提案内容やアプローチ方法に問題がある可能性がある
このケースでは、Bさんのアポイントメント獲得数のほうが多いですが、結果的に有効商談数の目標を達成できたのはAさんです。
このように、1つの目標で達成・未達成を見るのではなく、明らかになった問題の本質を見極めることが重要です。これにより、「目標を再設定する」、あるいは「行動計画を見直す」など、改善策の方向性を定めやすくなります。
④継続して実施する
Action(改善)は、一度実行して終わりではなく、再度Plan(計画)段階に反映させて実施することが重要です。
Check(評価)段階の検証結果を踏まえて改善策を実行した場合でも、効果が表れなかったり、または別の問題が明らかになったりする場合もあります。
PDCAは、次のように継続的に実施することがポイントです。
▼継続的なPDCAの実施例
- 有効商談数を増やすために、アポイントメント獲得時に顧客リストの選別基準を定める
- 効果がなかった場合は、新たな施策を検討する
継続的にPDCAを回して、学習しながら改善していくことで、より効率的・高精度な営業アプローチにつなげられます。
まとめ
PDCAは、継続的な業務改善を図るために有効なフレームワークです。事前に目標や行動を設定して、検証・改善を繰り返すことで、効率的で高精度な営業アプローチの実現が可能になります。
PDCAは、次のポイントを意識しながら繰り返して実施することが大切です。
- 目標を定量化して必要な行動を各プロセスで洗い出す
- 問題のあるプロセスを分類する
- 繰り返して実施する
不動産営業で売り上げが伸び悩んでいる場合は、PDCAを取り入れて業務改善やチーム育成を図ってみてはいかがでしょうか。