不動産営業で新入社員のトーク力を高めるロープレのコツ
不動産の仲介営業では、来店時や商談時にお客さまとの信頼関係を築き、会話をリードするトーク力が必要です。
新入社員が商談の場でスムーズにトークを進められるようになるためには、ロールプレイング(以下、ロープレ)による練習が欠かせません。
しかし、研修でロープレを実施しても「本番になるとうまくできない」「練習したことが定着しない」など、部下の育成に悩むケースもあるのではないでしょうか。
本記事では、不動産営業の新人育成でロープレを実施するメリットや方法、コツについて解説します。
目次[非表示]
- 1.ロープレとは
- 2.営業におけるロープレのメリット
- 2.1.①緊張やストレスを緩和できる
- 2.2.②トークスキルが向上する
- 2.3.③情報の事前準備ができる
- 3.営業に活用できるロープレの方法
- 4.ロープレで新人育成を行う3つのコツ
- 4.1.①ゴールを明確にする
- 4.2.②シーンやターゲット像を設定する
- 4.3.③フィードバックを実施する
- 5.まとめ
ロープレとは
ロープレは、role(役割)とplaying(演技)という英語を省略した言葉です。営業の場面を想定して、各役割を演じる研修方法です。
不動産営業では、営業担当者と顧客(一般のお客さま・オーナー・管理会社等)に分かれてロープレを実施します。
不動産営業で契約につなげるためには、スムーズな営業トークが大切です。しかし、新入社員は営業の経験やトークスキルがないため、現場に出てスムーズに商談を進めることは困難です。
そこで、新入社員にロープレを実施し、トークの流れや提案方法などを実践的に学んでもらいます。トークスキルを向上させることで、現場での早期活躍が期待できます。
営業におけるロープレのメリット
営業のロープレを実施するメリットには、次の3つが挙げられます。
①緊張やストレスを緩和できる
ロープレでトークの流れや言葉遣いなどを学んでもらうことで、顧客と対面することへの緊張・ストレスを緩和できます。
営業が未経験の場合、顧客と対面してトークを進めることは容易ではありません。顧客を前にすると、緊張でうまく話せなかったり、ストレスを感じたりすることもあります。
ロープレを行い、対面営業の流れを理解して対応の仕方に慣れることは、本番での緊張やストレスを軽減し、落ち着いて対応するための大切な練習です。また、ロープレを重ねることで自信がつき、学んだことを本番で発揮できるようになります。
②トークスキルが向上する
ロープレで先輩社員の話し方や営業トークの進め方を見せたり、新入社員に練習させたりすることでトークスキルを向上させることができます。
営業経験のない新入社員は、現場でどのような言葉遣いや話し方をすればよいか分からない状態です。教育担当者と新入社員で、営業担当者役・顧客役を交代してロープレを実施することで、適した言葉遣いや対応方法を学んでもらえます。
複数のケースを想定して繰り返しロープレを行うことで、トークスキル向上のほか、苦手な営業トークの克服にもつながります。
③情報の事前準備ができる
顧客からの質問を想定してロープレをすることで、必要な情報や資料の見せ方などが分かるため、事前に準備できるのもメリットの一つです。
新入社員は、顧客からどのような質問がくるか想定できないため、回答できずに戸惑うこともあります。
しかし、ロープレでさまざまな質問をシミュレーションすることで、起こりうる質問への回答を事前に準備できます。さらに、練習を繰り返すことで、より分かりやすい説明や情報の提供が可能です。
営業に活用できるロープレの方法
効果的な営業ロープレの方法は、主に次の4種類が挙げられます。
▼営業で活用できるロープレ
種類 |
方法 |
効果や学び |
---|---|---|
ケース型 ロールプレイング |
顧客の立場や課題など、さまざまなケースを想定して実施する |
より現実に近いケースで顧客対応の方法が学べる |
グループ ロールプレイング |
グループに分けて、営業担当者・顧客の役割を交代しながら実施する |
顧客の立場になって考えられる |
問題解決型 ロールプレイング |
実際に起こった問題をテーマとして取り上げて実施する |
さまざまな視点で問題の解決方法を模索できる |
モデリング型 ロールプレイング |
先輩社員や優秀な営業担当者の営業トークを模倣して実施する |
基本的な営業スタイルが身につく |
不動産営業の場合、顧客が探している物件の種類や利用目的によって営業トークの内容もそれぞれ異なります。ロープレでは、営業内容や新入社員の課題に応じて、適切な方法を選ぶことが重要です。
ロープレで新人育成を行う3つのコツ
ここからは、不動産営業の新人育成でロープレを実施するコツを3つ紹介します。
①ゴールを明確にする
1つ目のコツは、ロープレで何を習得してほしいのか、具体的なゴールを設定することです。ゴールを明確にすることで、有効なロープレの実施方法やテーマなどを検討しやすくなります。
また、目的達成の期日を明確にすることで、新入社員にも目的意識が生まれやすくなります。
▼不動産営業で設定するゴールの例
- 「物件を売りたい」「物件を借りたい」など、顧客のヒアリングから提案まで1人で対応できるようにする
- 電話でアポイントメント獲得へつなげるようにする
- 契約から入居までの流れを分かりやすく説明できるようにする
②シーンやターゲット像を設定する
2つ目のコツは、不動産営業のどのようなシーンで、どのような顧客を相手にするかなど、ロープレのシーンやターゲット像を決めておくことです。
これらを詳細に決めておくことで、より実際の営業活動に近い状態でロープレを実施できます。本番で役立つトーク内容や進め方、言葉遣いなども実践的に学んでもらうことが可能です。
たとえば、賃貸仲介営業におけるロープレでは、以下のようなシーンやターゲット像を設定できます。
▼シーンやターゲット像の例
- シーン:賃貸仲介営業の物件提案
- 世帯:夫婦2人暮らし
- 年齢:ともに30代前半
- 希望エリア:○○駅周辺、○○沿線
- 予算:賃料○○円まで
- 引越し時期:2ヶ月以内
③フィードバックを実施する
3つ目のコツは、ロープレの各ステップでフィードバックを行うことです。
実際の営業では、1~2時間程度かかることもあります。ロープレもそのまま行う場合は長時間に及ぶこともあります。ロープレの時間が長くなると、フィードバックの量も多くなるため、新入社員がスキル・ノウハウを習得しにくくなります。
ステップごとに分けてフィードバックを挟むことで、集中的にトーク方法や指摘内容を吸収してもらうことがねらいです。賃貸仲介営業の物件提案の場合、以下のようにステップを区切ります。
▼想定シーン:賃貸仲介営業の物件提案
- 来店時の挨拶、アイスブレイク
- 基本情報の収集、「貸したい」「借りたい」といった顧客ニーズのヒアリング
- 物件検索、物件提案
- クロージング、申し込み
また、フィードバックには、具体的に良かった点や課題点を新入社員と教育担当者のそれぞれが記録します。そのうえで、次回のロープレで課題が改善されているかをチェックして、営業トークのスキルアップへとつなげます。
まとめ
不動産営業において、新入社員に現場でいち早く活躍してもらうためには、ロープレの実施が有効です。
ロープレを実施することで、「本番での緊張・ストレスを緩和できる」「トークスキルを向上できる」「本番前に必要な準備ができる」といったメリットがあります。
また、ロープレの効果を高めるには、次の3つのコツを押さえることも大切です。
- ゴールを明確にする
- テーマを詳しく設定する
- フィードバックを実施する
これまで、社内で行っていたロープレの効果を感じられなかったという担当者の方は、今回のコツを押さえながら、実施方法を見直してみてはいかがでしょうか。