不動産営業は、喋らないほうが売れる理由
不動産会社の営業というと「トークがうまい人が成績がいい」という印象があるかもしれません。しかし、私たちは「営業トークが下手な人、口下手な人のほうが成績がいい」と思っています。なぜ、このような見解なのか、お伝えしていきます。
スマホ時代で物件の選び方が大きく変わった
顧客が内覧をする目的が以前とは大きく変わっています。以前は、WEB上に物件情報や周辺環境情報があまりありませんでしたので、現地に行って複数の物件を回ったり、周辺環境を確かめたりして、物件選びをしていました。しかし、現在はそれらがすべてインターネットで行えるようになりました。
これまでもお伝えしてきたとおり、LIFULL HOME’Sなどのポータルサイトの進化により、不動産営業のスタイルは大きく変わってきています。
顧客はポータルサイトに掲載されている写真やVRで物件の内覧を自宅でできるようになりました。また、周辺環境はGoogleマップやストリートビューで調べることができるため、わざわざ営業担当者と物件回りをしなくても最低限の周環境情報が取得できています。
それゆえ、物件内覧は「物件の最終チェック」に変わってきています。WEB上である程度絞り込んで、実際に買うかどうかの最終チェックとして不動産会社に連絡を入れ、内覧をするのです。
つまり、顧客は営業トークを聞きながら物件を見て回るために来ているわけではないということです。そのため、営業マンが「ここは景色がいいですよ」「周辺は静かですよ」などとありきたりの営業トークを入れることの重要度が低くなってきています。
営業トークは求められていない
営業トークで成果が出るのではなく、
- 顧客の意思決定を見守る。
- 質問がきたらプロとして的確なアドバイスをする
これらが今、求められている営業スタイルです。
私の経験上、顧客が求めているのは、「買ってもよいかどうかの不安を取り除いてほしい」ということです。じっくり話を聞いてほしい、自分の選択が間違っていないことを確認したい、と考えている方が多いです。
顧客は初対面の営業担当者と話をするとき、「売り込まれるのではないか」と不安に感じています。そのため、まずは、顧客の不安を取り除くために、自分がどんなサポートができる人間かを具体的にお話しをすることから始めるとよいでしょう。
営業マンという「売る・売られるという関係性」の営業ポジションではなく、
先生という「教える・教わるという関係性」の先生ポジションをつくるという発想です。
先生ポジションをつくることで営業はこう変わる!
この人だったら、話をしても大丈夫だなと感じてもらえたら、顧客から本音の相談を受けることができるようになります。
営業トークではなく、プロとして、不動産の専門家としてのトークが求められています。そのため、病院に来られた患者さんに対応する医師のように、顧客の悩みに耳を傾け、その悩みをしっかり聞くことが大切です。
この先生ポジションが確立できると、仮に内覧した物件が顧客の条件に合わなかったとしても「今後の物件探しは●●さんにお願いしてもいいでしょうか?」と指名をもらうことができるようになります。
家選びのパートナーになる
これが先生ポジションをベースにした営業によって得られる価値です。営業担当者としてではなく先生としての関係性をつくることができれば、絶大な信用を得ることができ、ほかの不動産会社や営業担当者に顧客を取られることがなくなります。
「自分はどんな先生になれるのか?」。ぜひこのポイントを深掘りして考えてみてください。
次回は、先生ポジションを活用した具体的な物件案内の動きについてお伝えしていきますので、楽しみにしていてください。
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