不動産賃貸仲介業界向け!来店率を高める初期対応の原則とは
本コラムは不動産賃貸仲介営業における「営業力向上」を目的とした、シリーズコラムです。
- 初期対応が適切にできていないのではないか
- 来店率が目標値に届いていない
- メールの返信率が著しく低い
このような課題をお持ちではないでしょうか。
インターネットを活用した物件探しが普及した現在、ユーザーの初期対応はメール・電話が多くなっています。そのため、実際に来店(対面)してもらい接客を行うには、まず初期対応が重要となってきます。
第1回では、問合せから来店につなげるうえで重要になってくる「初期対応の原則」について、今すぐ使える実践テクニックを交えながら、ポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.来店率を高める初期対応とは
- 1.1.初期対応に必要な「原則」
- 1.2.初期対応に必要な考え方
- 2.来店率を高めるメール対応編
- 2.1.インターネット集客における課題
- 2.2.メール対応に必要な6つの構成
- 2.3.差出人名・件名・宛先を徹底改善
- 2.4.メール形式について
- 2.5.署名について
- 3.来店率を高める電話対応編
- 3.1.電話対応スキルの評価指標
- 3.2.ヒアリングポイント
- 4.ショートメッセージの活用
- 5.来店率を高める初期対応の実践テクニックまとめ
来店率を高める初期対応とは
初期対応に必要な「原則」
初期対応に必要な「原則」とは何か? 皆さんは考えたことがありますか。
原則はさまざまありますが、本コラムでは下記とします。読み進めていただくうえで、意識していただけると、その先の改善行動につながると考えております。
現場管理職の方:「ものさし」をつくること
現場担当者の方:徹底して実行すること
〈現場管理職の方〉
ものさし=目標と言い換えてもいいかもしれません。
例えば、メールの返信率はこれくらいまで目指そう、メールの返信から来店率はこのくらいまで目指そう、成約率はこのくらいまで目指そう…。そのような、明確なものさしを作って、しっかり現場担当者に浸透させることが大切です。明確なものさしがないと、何となくの仕事になってしまい、現状の改善点が見えにくくなってしまいます。
〈現場担当者の方〉
ものさしとなる目標を達成するために、徹底して実行します。ポイントは“徹底”することです。目標との乖離がある場合は、どこを改善するべきか、しっかりと振り返り、改善行動を実行することが大切になります。
初期対応に必要な考え方
問合せから契約に至るまで、さまざまなツールを使って対応をされるかと思います。ここで重要なのはそれぞれのツールが持つ「役割」と「特性」をしっかり認識し、場面に応じて適切に使い分けることです。
どれか1つのツールだけで初期対応を続けていても、突破口が見いだしにくい現状です。貴重な1件の問合せをしっかり成果に結びつけるには、ツールをうまく活用することが大事になります。
今回は、最もよく使われるツールとして、メール対応・電話対応における初期対応について解説します。
来店率を高めるメール対応編
インターネット集客における課題
「ユーザーの問合せに対してメールを送ったのに、返信がない」といった経験ありませんか。メール返信がない理由は大きく3つ考えられます。
①ユーザーに適切に届いていない
②初回対応のメール内容に不満
③他社へ返信済み
来店率を高めるには、メールの内容も重要ですが、まずは“ユーザーに適切に届けること”が大事です。そのため今回は①ユーザーに適切に届いていないことに対して実践テクニックをお伝えしていきます。
メール対応に必要な6つの構成
この6つの構成をぜひ覚えてください。
現場管理職の方が現場担当者の方にフィードバックする際も、「メールちゃんと書いてね」ではなく①~⑥に沿ってどこが改善ポイントなのかをしっかりと伝えることも重要になってきます。
すぐに実践できるテクニックとして①と⑥についてこの後詳しく解説していきます。
差出人名・件名・宛先を徹底改善
メール本文がいかに良い文章であっても、この3点(差し出し名・件名・宛先)ができていないと「読まれない」可能性が大きくなります。
▼差し出し名
〈会社名+名前〉を必ず設定しましょう。
店舗名がある場合は、店舗名も記載しましょう。差し出し名が設定されていないと、メールを受け取ったユーザーには、メールアドレスのみの表記になってしまいます。
日常で頻繁にメールを使う方は少なく、1日に1度や数日に1度まとめてメールを確認することが考えられます。未読のメール一覧を見たときに、メールアドレスの表記だけでは、誰からのメールなのかすぐに理解することは、難しいのではないでしょうか。
重要なメールと判断できないものは開封しないことが想定されます。差し出し名をきちんと設定し、不動産会社からのメールであることを伝えることが重要です。
▼件名
ユーザー名を敬称付きで記載しましょう。
差し出し名でもお伝えしたように、未読のメールが並んでいるなか、自分の名前が記載してあることで目に留まりやすくする一つのテクニックです。
また、名前の後に【問合せのお礼_●●マンション】といった不動産に関連した具体的な内容を記載することで「問合せをした不動産会社から連絡がきたのかも」と、ユーザーに伝えることができます。
そのほかのテクニックとしては、件名は20文字程度におさめることです。スマートフォンのメールアプリで開いた際もしっかりと伝えたい情報を画面に表示させることが可能です。
(参考)
OS(iPhone)× 純正メールアプリ 件名:約23 文字 本文:約24 文字 差し出し名と件名はセットで実践してください
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▼宛先
差し出し名同様、宛先も「ユーザー名+敬称」をつけることで、丁寧さが増します。
メールアドレスを登録するひと手間で、ユーザーに与える印象を好くすることはできます。
メール形式について
メールにはテキスト形式とHTML形式があります。
▼テキスト形式
一般的に使用されている文字情報のみ。
▼HTML形式
見た目の華やかさや文面のメリハリもつけやすく、テキスト形式と比較して、伝えられる情報量が多い。業務用のメールでHTML形式が送付できる場合、他社との差別化も兼ねて活用することも一つのテクニックです。HTML形式の場合のポイントは下記画像をご参考にしてください。
①については、担当者の顔写真を入れている会社もあります。メールは顔が見えないコミュニケーションといわれることがありますが、まずは不動産会社から自己開示することも重要です。
ただし、HTML形式には、迷惑メール判定をされる可能性があるといった懸念点もあります。活用する際は、HTML形式のメールが届かなかったことを想定し、テキスト形式のメールも送付することをおすすめします。
複数メールを送ることが気になる場合は、メール本文内にHTML形式と2通お送りしている旨を記載するのがよいでしょう。まずはユーザーにメールを届けることが最優先です。
署名について
署名には、プライバシーポリシーと自己紹介を入れることがポイントです。
▼プライバシーポリシー
不動産会社の契約では、多くの個人情報を取り扱います。ユーザーからすると、知らない会社に個人情報を渡すことに心理的ハードルがあると思います。メールに限らず、個人情報を取得する際には、プライバシーポリシーを添えるだけで、非常に安心感・信頼感を醸成することができます。
▼自己紹介
顔写真やスタッフ情報を盛り込むことをおすすめします。会社によっては自社HPや企業用アカウントのSNSにスタッフ紹介を掲載している場合があります。ぜひ紹介ページのURLを記載するといった活用をしてください。担当する人がどんな人なのかを知ってもらうことで、安心感につながります。
来店率を高める電話対応編
電話対応スキルの評価指標
電話応対一つとっても、第一印象で“不快な思い”をさせていないかどうか、スキルごとに評価指標を定め、対応の良しあしを判断、改善していくことが重要です。そのために5つのスキルに分けて確認をしてみましょう。
ヒアリングポイント
来店の前のヒアリングポイントを6つ挙げます。なぜヒアリングが大事なのかというと、来店の前にお客さまの情報が整理ができていると、商談の準備を丁寧に実施できます。
例えば、問合せした物件がご案内できなくなった場合、来店した際の印象はすごく悪くなります。おそらく成約につなげるには難易度が高くなるでしょう。
事前にヒアリングをしておくことで、類似物件の提案や問合せ物件よりお客さまの要望に合った物件をご提案ができます。全部を聞けなくても、「ここを聞くぞ」という意識があるかないかで、電話対応の質があがります。
〈ヒアリングポイント〉
- 問合せした物件の「気に入ったところ」とその理由
- 引っ越しできる時期
- 今の家の不満点
- 必ずかなえたい条件が決まっているか(決まっていない場合、1 回の接客では決めきれないことが多い)
- ほかに気になる物件や問合せをしている会社はあるか
- 問合せをした物件のウィークポイント(不明点や不安点)
ショートメッセージの活用
初期対応より少し先の取り組みになるかもしれませんが、携帯の番号を知っている場合、ショートメッセージの活用もおすすめです。
〈ショートメッセージを活用する理由〉
①「どこの誰」が「どの電話番号」からかけたかわかるようにし、次回の電話に出てもらい
やすくするため
②メッセージの視認性が高いため(GmailやYahoo!メール等はアプリを開かないと見られ
ないですが、SMSはポップアップ設定をされている方が多い)
③電話、メール以外での接点機会をつくるため
ショートメッセージにも種類があるため、それぞれの特徴も把握しておく必要があります。
来店率を高める初期対応の実践テクニックまとめ
〈実践テクニックまとめ〉
- 差出人名/件名/宛先を変更する
- テキスト形式/HTML 形式の特性を理解する
- 署名を活用した“自己開示” を実践する
- 印象に残る電話応対を心がける
- ショートメッセージで接点機会を増やす
初期対応次第で、その後の来店・成約につながるかが変わってきます。
現状行っている初期対応を客観的に振り返り、できているところ、改善できるところを明確にしたうえで、本コラムでお伝えした、上記実践テクニックを取り入れ、改善行動につなげていただけると幸いです。
第2回はこちら:事例から学ぶ! 顧客満足度を高める営業手法とは?
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