不動産業界における職種の一つに、“物上げ（ぶつあげ）”があります。物上げとは、土地や建物を仕入れて売り物件にすることです。

一般消費者ではなく、再販事業者・仲介会社などの不動産事業者間で取引するため、業務内容や集客方法において、通常の仲介業とは異なる性質を持っています。

不動産業界での転職やキャリアアップを目指している方のなかには、物上げについての知識を深めたいという方もいるのではないでしょうか。

本記事では、物上げ事業者の主な業務内容と集客方法について解説します。

物上げ事業者の業務内容

物上げ事業者の主な業務は、不動産の売主と媒介契約を交わして、再販事業者や不動産会社などと売買契約を仲介することです。

▼物上げ事業者の主な業務

• 不動産所有者（売主）の情報収集
• 不動産所有者（売主）との媒介契約に関する交渉
• 再販事業者との売買契約交渉、仲介
• 不動産所有者（売主）に向けた営業活動（電話営業・外回り等）
• 集客施策

物上げ事業者と再販事業者は、“不動産の売主になるかどうか”という点で異なります。両者の立ち位置や事業の仕組みは、以下のとおりです。

物上げ事業者の顧客は、不動産の再販事業者や不動産会社などが一般的です。

不動産を所有する売主と媒介契約を締結して、物上げ事業者が物件のリフォームやリノベーションを行ったあと、再販事業者・不動産会社などと売買契約を成立させます。

物上げ事業者の集客方法

物上げ事業者が利益を得るためには、不動産を所有する売主の集客を効率的に行うことがポイントです。ここでは、物上げ事業者の集客方法について解説します。

①チラシ・DMの送付

1つ目は、ターゲットとなる物件にチラシやダイレクトメール（以下、DM）を送付して、反響によってリードを獲得する方法です。

物件宛てに直接チラシやDMを送付することで、不動産の所有者に見てもらいやすいというメリットがあります。なかでも、年配の方が住む物件の場合は、相続や住み替えで物件の売却を検討しているケースがあると考えられます。

法務局で登記簿謄本を取得して所有者や相続情報を調べたり、エリア調査を行ったりして、ターゲットの情報を取得している物上げ事業者もいます。

また、売却・処分を検討している所有者の興味を引くために、チラシに売り物件の成約事例を掲載する、DMに個別の査定報告書を同封することも有効な方法といえます。

②飛び込み営業

2つ目は、物件を直接訪れて営業をかける方法です。

ただし、やみくもに訪問するだけでは、話を聞いてもらえる見込みは低いと考えられます。特に、相続案件の場合、ご家族への配慮が求められます。

飛び込み営業を行う際は、事前に物件の所有者の情報を調べるとともに、日頃から挨拶回りや交流を図り、物件の所有者と信頼関係を構築しておくことが大切です。

③イベントの参加・開催

3つ目は、不動産関連のイベントに参加したり、自社開催したりして、物件の売却・処分を希望するリードを獲得する方法です。

たとえば、地域のフリーマーケットや町内会のイベントなどに、売り物件の募集・無料査定に関するブースを出展する方法が挙げられます。イベントに訪れた人の目に留まることで、リード獲得につながる可能性があります。

また、店頭での無料相談会に参加してくれた方は、物件の売却に対して温度感が高いと考えられるため、商談への移行が期待できます。

④Webサービスの活用

4つ目は、物件の売却を希望する所有者の集客・情報収集に役立つWebサービスを活用する方法です。

不動産の一括査定サイトや、売却希望者向けのポータルサイトに自社情報を掲載することで、反響の獲得が期待できます。

また、空き家情報を収集できるデータベースや、直接所有者とコンタクトを取れるサービスを活用すれば、物上げ事業者からアプローチすることも可能です。

まとめ

この記事では、不動産業界の物上げについて以下の内容を解説しました。

• 物上げ事業者の業務内容
• 物上げ事業者の4つの集客方法

物上げ事業者は、物件の売主と再販事業者や不動産会社との間に入り、不動産売買契約を媒介することが主な業務です。

物上げによって利益を得るには、より魅力的な物件を仕入れる必要があります。そのためには、売り物件に関する情報収集とともに、不動産の所有者をターゲットとした集客を適切に行うことが重要です。

有効な集客方法には、チラシ・DMの送付をはじめ、飛び込み営業、イベントの参加・開催、Webサービスの活用が挙げられます。

現在不動産仲介会社に勤めており、ほかの職種への転職やキャリアアップに興味のある方は、物上げの知識・スキルの強化を図ってはいかがでしょうか。

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