机上査定と訪問査定の違いとは?メリット・デメリットは?
目次[非表示]
- 1.不動産査定には机上査定と訪問査定の2つの方法がある
- 2.机上査定のメリット・デメリット
- 2.1.机上査定のメリット
- 2.2.机上査定のデメリット
- 3.訪問査定のメリット・デメリット
- 3.1.訪問査定のメリット
- 3.2.訪問査定のデメリット
- 4.机上査定を提出するコツ
- 4.1.机上査定の提出方法
- 5.訪問査定で査定書を提出するコツ
- 5.1.選ばれるための競合リサーチ
- 5.2.アンケートを活用した提案戦略
- 6.訪問査定と机上査定、どちらが良いか?
- 7.まとめ
不動産査定には机上査定と訪問査定の2つの方法がある
査定方法には、机上査定と訪問査定の2つの方法があります。
机上査定とは、不動産の営業担当者が売却予定のお宅を訪問することなく、顧客からもらった情報を基に査定書を作成し、郵送でお送りするという方法で行います。
一方で訪問査定とは、営業担当者が売却予定のお宅を訪問してチェックし、その上で査定書を作成して後日提出する方法で行います。
この2つの査定方法について、それぞれどのような特徴があり使い分けをしているかについて解説していきます。
机上査定のメリット・デメリット
机上査定のメリット
エンドユーザー側の机上査定のメリットには主に以下のようなものがあります。
①スピードが早い(短時間で売却価格の目安が把握できる)
一番のメリットは「スピード」です。早ければ即日、遅くても3日前後で査定金額を提出する不動産会社が一般的となっていて、早期売却を希望するエンドユーザーにとってはこのスピード感は非常に魅力的です。
②手間がかからない
パソコン、スマートフォン、インターネット環境さえあれば気軽に査定依頼ができることも机上査定のメリットです。
③一度に複数の不動産会社へ査定依頼が可能
一括売却査定などのサービスを用いれば、一つの依頼で複数の不動産会社から査定金額を取得でき、エンドユーザーにとっては比較検討ができることから根強い人気があります。
④会わなくてもいい
エンドユーザーは、「しつこく、強引な営業をされないか」「必ず売却しないといけないのだろうか」などの多くの不安を抱えています。まずは会わなくても所有物件の価値を知ることができるという意味で机上査定を望む方も少なくありません。
机上査定のデメリット
机上査定のデメリットは「現地を確認しない」ことから生じる正確性が担保されないことです。あくまでも資料や取引事例からの価格の算出になるため、物件個別の独自性や特殊性が反映できないことでエンドユーザーの売却希望額との乖離が生じるケースも少なくありません。
ただ、媒介契約取得を意識するあまり、実情以上に高い査定金額を出すことは後々、査定依頼主との信頼関係に影響を及ぼす可能性があるためおすすめしません。
また、机上査定の場合、見込客と営業担当者とが直接対面できないため、印象に残りにくくなってしまいます。また、競合他社も同じように郵送で査定書を送るため、他社と混ざってしまい、単に査定金額だけで選ばれてしまうリスクがあるため、成約率が上がりにくいというデメリットがあります。
訪問査定のメリット・デメリット
訪問査定のメリット
訪問査定の一番のメリットは「適正かつ正確な価格」を伝えることができる点が一番大きいです。
物件や周辺状況を確認することで、価格を形成する要因を盛り込むことができるためよりリアルな査定価格を伝えることができます。資料や市場の状況から売却額を出す机上査定と違い、リフォームやリノベーションを実施したような物件独自の特殊性も考慮した価格を伝えることが可能です。
エンドユーザーは「高く売りたい」「どうやったら高く売れるのか」という思いで頭がいっぱいです。そのニーズに応えるために自社の強みを生かした提案を行い、信頼を獲得するきっかけにできることも訪問査定のメリットです。売出し金額を設定するために非常に重要となってきますので入念な準備が必要でもあります。
実際に訪問して物件を確認した上で、「査定金額がアップした事例」や逆に「査定金額がダウンした事例」などを顧客へ共有してあげるとイメージも湧きやすく、提示した査定金額の信頼性が上がるかもしれません。
▼訪問査定をしないとわからない価格形成要素
1.建物の質
2.建物の損傷箇所の有無
3.周辺環境
4.騒音・振動
5.日当たり、通風、眺望
6.高低差・傾斜の有無(土地)
7.管理状況(マンション)
などがあります。
訪問査定のデメリット
訪問査定のデメリットは訪問日時を調整する必要があったり、エンドユーザーが実際に居住している場合は生活空間を見せたくないなどと言い出すことでしょう。
また、訪問査定の依頼を受けた対象物件が遠方である可能性もあり、人や時間といったコストが発生することも考慮しておくことが必要です。
また、はじめはエンドユーザーは「無理な営業をされないか」などと不安を抱えていることも少なくないため、相手の様子に応じた対応を心がけることも重要です。
机上査定を提出するコツ
机上査定の依頼を受けた場合、ただ単に郵送で査定書を送付すればいいわけではありません。出し方の工夫で未来の営業成績につなげることが可能です。
机上査定の提出方法
机上査定の提出方法は以下の2パターンあります。
1)机上で査定をして郵送する方法
2)机上で査定をして持参する方法
この2つはどのようなポイントを押さえればよいのでしょうか。
1.机上で査定をして郵送する
郵送対応をする場合は、いかに見込客の印象に残り、「実際に家を売却するときは、あの会社に問合せをしよう」と思っていただけるかを考えることが大切です。では、どのような方法で印象に残る対応をしていくことができるでしょうか?事例でご説明します。
①見やすく、わかりやすい査定書をつくる
②分厚く、具体的な根拠となる資料を添える
③査定依頼をくださった顧客への感謝のメッセージを直筆で一言添える
このように、ちょっとした工夫をするだけも、「この会社は他とは違うな」「専門家として信頼できるな」と思ってもらうことができます。
また、単に査定書だけを送るのではなく、自社の査定方法の正確さや、自社の強み、売り出し方の工夫など、「他社ではなく当社に仕事をご依頼したほうが良い理由」などのセールスツールも同封して送付するとより効果的です。
営業担当者個人の名前を憶えてほしい場合はプロフィールシートも添付しておくことがポイントです。このプロフィールシートの作成方法としては、A4用紙1枚~2枚(両面1枚)程度でまとめることをおすすめします。プロフィールシートを作成する場合は、以下のポイントを入れて作成することで、顧客に好印象を与えることができます。
- 顔写真(笑顔)
- 氏名(ふりがなつき)
- 出身地、趣味などの共通の話題になる情報
- 出身校や職歴、これまでの不動産での実績
- 私の強みや私を選ぶべき理由
これらを網羅して記載していくことで、より信頼できる状態を作ることができます。
2.机上で査定をして持参する方法
持参する場合は、見込客と対面してお話しできる可能性もあるので、営業担当者の誠意や人柄、専門性を伝えられると、訪問査定のような人間関係を構築することができます。
ただ、押さえておかなければいけないのは、「なぜ、訪問するのか?」「なぜ、持参する必要があるのか?」といった顧客が抱く疑問に対して明確に回答ができるかどうかです。
例えば、
「ちょうど近くにいるのでお持ちします」
でもよいですが、ついで感があるだけに思われないようにするには、
「査定書のわかりにくい点を補足させてください。」
「外観だけ見させてもらえたら査定額がもう少しだけ適正なものになります。」
「インターホン越しでよいのでご挨拶だけでもさせてください。」
など、持参する場合は、訪問することで顧客が得られるメリットをお伝えすることで、持参を許可していただける可能性が高くなります。
訪問査定をすると、いますぐ売る予定がなくても、例えば「いますぐはこの家は売らないけど、そういえば給湯器の調子が悪くて…」などリフォームの受注につながることは多々あります。そのため、不動産業だけでなく、リフォーム業もやる会社の場合、机上査定の結果を持参するのがよいと考えます。
訪問査定で査定書を提出するコツ
訪問査定の場合の提出資料は机上査定と同じです。ただ、一つ違うのは、訪問査定の場合は顧客に対して直接対面して査定結果を説明できるという強みがあります。
しかし、競合他社も訪問査定をするわけですから、ここでも、競合他社との戦い方を意識す
ることが大切です。どのような提案をすれば通りやすいか?を考えるためにはまず、競合他社のことを詳しく知ることです。それによってあなたが出すべき提案内容は変わっていきます。
選ばれるための競合リサーチ
では、競合他社の何を知れば訪問査定で勝てるのでしょうか?
ここで重要なポイントは、
- 何を強み/ウリにしているのか?
- どんな価格を提示しているのか?(意図的に他社より自社が高い金額を提示するのか)
などです。
他社が打ち出している強みを上回る、自社価値を言葉にしたり、他社が打ち出せない部分を強みとして打ち出したりすることができれば、自社が選ばれやすくなりますので、このポイントは必ず調べることをおすすめします。
アンケートを活用した提案戦略
また、顧客アンケートを通して自社の価値を知り、営業活動に役立てていく方法もあります。私の考える顧客アンケートは、ただの満足度調査ではなく、集客につながる情報収集のツールとして捉えています。
例えば以下のような設問です。
「査定の際、どこの会社と何で悩んで、最終的になぜ当社を選んでくださいましたか?」
「当社よりも他社の方が優れていると感じたポイントは何でしたか?」
このような質問をすることで、今後、あなたが査定書に書くべきポイントがわかりますし、今後訪問査定の際にどんなセールストークをすればよいかがわかってきます。
訪問査定と机上査定、どちらが良いか?
・訪問査定は「今すぐ客」からの受注を獲得するために有効
訪問査定を依頼するエンドユーザーは売却を前提にしていることが多く、潜在的なニーズに「より高く売却するためにはどうしたらいいか?」「売却のための準備や手続き、その流れがわからない」といったものが考えられます。
更地にしたほうがいいのか、修繕したらいいのかなど、より具体的な悩みをエンドユーザーは抱えているため、不動産会社の強みや差別化をした提案が成約率を上げるコツかもしれません。また、エリアや依頼主の年齢などを考慮すると訪問査定が有利にはたらくケースもあります。
土地や一戸建てなど物件独自の特殊性が多く存在する案件の場合は訪問査定のほうがより正確な査定金額を提示することが可能となるため、訪問査定のほうが適しているケースが多いです。
・机上査定は、「そのうち客」との関係性を得るために有効です。
エンドユーザーは机上査定を依頼する時点では「まずは現在の価値を知りたい」と考えていることが多く、この机上査定の結果しだいで「売却するか、しないか」を決断する傾向にあります。売却をしたくても住宅ローンの残債を上回るかどうかを判断基準にしている方も少なくないため、机上査定をきっかけに訪問査定につなげるイメージが一般的です。
机上査定はマンションなどの物件ごとの特殊性が少ない物件に適しているともいえます。売却事例や現在の販売状況によって売出し価格も左右されるため、机上査定と訪問査定における査定金額の乖離が少ないケースが多いです。
机上査定をきっかけに訪問査定につなげるという目的を押さえるとともに、顧客の心理を考慮した上で、意図を持って営業活動していくことが大切です。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は、机上査定と訪問査定の違いや適しているケースを解説してきました。
- 机上査定は、顧客に売却の決断をしてもらうために「そのうち客」との関係構築を図るために有効
- 訪問査定は、顧客の売却の意思が決まった「今すぐ客」を獲得するために有効
ただ、物件によっては机上査定と訪問査定の価格差が大きく生じることがありますので、机上査定でおわらず、訪問査定へつなげる工夫が大切です。
机上査定と訪問査定にはそれぞれメリット・デメリットが存在していますが、共通して言えることは「正確な査定金額を算出する」だけでは選ばれない。ということです。
正確な査定金額を顧客に提示することは大前提として、「選ばれる」工夫や戦略をしっかりと練って実践していくことが求められます。不動産のプロとして顧客が自身では気づいていない物件の魅力やアピールポイントを見つけてあげる、戦略的な売却活動を提案してあげることで顧客からの信頼を獲得する、他社との差別化を図る重要なポイントになってくるかと思います。
この2つの査定方法をうまく活用して日々の営業活動につなげていただきたいと考えています。