不動産フランチャイズ(FC)で独立開業を成功させるには?加盟のメリット・デメリット
不動産仲介業で独立開業を目指すにあたって、店舗運営や集客の面でノウハウが少なく、「事業を軌道に乗せられるのか」「有名な競合他社のネームバリューに負けてしまうのではないか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで選択肢の一つとなるのが、“不動産フランチャイズ”への加盟です。フランチャイズに加盟しても事業が安定するまでには時間を要しますが、ノウハウがない方でも独立開業しやすいといわれています。
この記事では、不動産フランチャイズの概要をはじめ、加盟するメリット・デメリットについて解説します。
目次[非表示]
- 1.不動産フランチャイズとは
- 2.不動産フランチャイズに加盟するメリット
- 2.1.①知名度による集客力が期待できる
- 2.2.②ノウハウの提供を受けられる
- 2.3.③本部のシステム・サービスを利用できる
- 2.4.④加盟店同士のつながりを構築できる
- 3.不動産フランチャイズに加盟するデメリット
- 3.1.①加盟金とロイヤルティが必要になる
- 3.2.②本部の経営方針に合わせる必要がある
- 3.3.③商圏や立地を選べないケースがある
- 4.不動産フランチャイズでの独立開業を成功に導くポイント
- 4.1.①サービス内容で競合他社と差別化を図る
- 4.2.②収益予測を確認する
- 5.まとめ
不動産フランチャイズとは
不動産フランチャイズとは、本部と加盟店がフランチャイズ契約を締結して、本部が用意した特定の商標・商号・事業内容・ノウハウなどを加盟店が受け取る事業形態のことです。
加盟店は、本部から事業内容を受け取る対価として、加盟金(※1)やロイヤルティ(※2)を支払う仕組みとなっています。
▼フランチャイズ契約の仕組み
画像引用元:中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』
フランチャイズ契約では、本部と加盟店はそれぞれ独立した事業者として運営を行うことが特徴です。
不動産フランチャイズの仕組みについて詳しくは、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
≫ 不動産フランチャイズの仕組みと加盟するために必要な資格とは
※1・・・加盟金とは、フランチャイズの契約締結時に加盟店が本部に支払う金銭のこと。
※2・・・ロイヤルティとは、商標・商号の利用やノウハウの提供などの対価として、加盟店が本部に毎月支払う金銭のこと。
(出典:中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』)
不動産フランチャイズに加盟するメリット
不動産業界で独立する際、フランチャイズに加盟すると以下のようなメリットがあります。
①知名度による集客力が期待できる
1つ目のメリットは、集客力が期待できることです。
不動産フランチャイズ本部は、すでに業界での知名度や実績があるため、加盟店は顧客からの信頼性が高くなります。経験や実績がない状態であっても、本部のネームバリューでカバーされる点が一から独立開業する店舗と違います。
ただし、フランチャイズに加盟したからといってすぐに軌道に乗るとは限りません。本部の知名度を活かしながら、集客に向けた独自の工夫も重要です。
②ノウハウの提供を受けられる
2つ目のメリットは、不動産フランチャイズ本部からノウハウの提供を受けられることです。
不動産フランチャイズに加盟すると、本部が保有する経営や営業などの不動産経営に必要なノウハウを学べます。また、本部事業者によっては、研修や経営サポートなどが受けられる場合もあります。
このように不動産経営のノウハウを身につけると、集客力アップが見込めたり、事業の成長を促進させたりすることにもつながります。
③本部のシステム・サービスを利用できる
3つ目のメリットは、本部が保有するシステムを利用できる点です。
物件連動システムや顧客管理システムなどの確立されたシステム・サービスを導入できるため、現場での業務を円滑にスタートできます。また、個別にシステムを構築する際の労力・コスト削減も期待できます。
本部事業者によっては、提携している外部の業務システム・サービスを安価で利用できるケースもあります。
④加盟店同士のつながりを構築できる
4つ目は、加盟店同士のつながりを構築できることです。
ほかの加盟店とのつながりがあると、情報交換がしやすく、不動産経営のノウハウや遠方の地域事情などを共有できるようになります。
他店舗とのネットワークを構築して定期的に交流を持つことで、経営上の悩みを相談したり、新たなアイデアを得たりできる点も魅力です。
不動産フランチャイズに加盟するデメリット
不動産フランチャイズに加盟する際は、以下のようなデメリットについても理解しておく必要があります。
①加盟金とロイヤルティが必要になる
1つ目は、加盟金とロイヤルティの支払いがあることです。
不動産フランチャイズに加盟する際には、加盟金の支払いが発生します。また、定額制もしくは歩合制で毎月のロイヤルティを継続的に支払う必要もあります。歩合制の場合は、“売上高の〇%”“売上純利益の〇%”のように、計算方法を理解することが大切です。
当初予測していた事業収入が得られなかった場合には、加盟金やロイヤルティの支払いが負担となり、利益を圧迫する可能性があります。
②本部の経営方針に合わせる必要がある
2つ目は、本部の経営方針に合わせて運営する必要がある点です。
もし本部が定める経営方針と自身の経営方針が異なる場合、当初描いていた事業計画を実現できなくなってしまいます。
加盟後のトラブルをなくすために、あらかじめ本部の経営方針や事業内容を納得するまで説明してもらうことが重要です。
③商圏や立地を選べないケースがある
フランチャイズ契約によっては、商圏や立地が制限されているケースがあり、開業したいエリアを選べない可能性があります。
不動産フランチャイズ本部では、加盟店同士の競争を避けるために、一定の領域で商圏保護や地域制限を行う“テリトリー権”を設けているケースがあります。独立開業にあたって地域や立地にこだわりがある方は注意が必要です。
不動産フランチャイズでの独立開業を成功に導くポイント
①サービス内容で競合他社と差別化を図る
1つ目のポイントは、競合他社と差別化を図れるようなサービスを提供することです。
本部の経営方針で加盟店同士が近くに開業することは少ないものの、エリアによっては別の不動産会社が多く存在しているケースもあります。
基本的なサービス内容は変わらないため、競合他社と差別化を図るために付加価値になり得るサービスの提供が必要です。
▼差別化を図るサービス例
- 高齢者向けに特化した物件を紹介する
- SNS・動画プラットフォームを活用して物件の詳細をアピールする
- ファイナンシャルプランナーの資格を持つ従業員を採用して、物件売買時のお金の相談を受ける など
②収益予測を確認する
2つ目のポイントは、詳細な収益予測を確認して開業後の見通しを立てることです。不動産フランチャイズ契約では、事前に本部から収益予測が開示されますが、加盟後の経営実態と異なり、トラブルにつながるケースも少なくありません。
契約する前には、提示された収益予測が具体的な数値データに基づいているか、合理的な算定方法を採用しているかを確認します。また、自身で収益予測を立てることも必要です。その際、売上は最小に、必要経費は最大に計算して、現実に近い数字を算出するように収益予測を立てるのがポイントです。
開業資金を借り入れする際は、開業後の経営リスクを踏まえて、余裕のある返済プランを立てることも大切です。
まとめ
この記事では、不動産フランチャイズによる独立開業について、以下の内容を解説しました。
- 不動産フランチャイズの基礎知識
- 不動産フランチャイズに加盟するメリット・デメリット
- 不動産フランチャイズでの独立開業を成功に導くポイント
不動産フランチャイズに加盟すると、店舗の商号やノウハウなどを利用できるため、知名度や実績がない状態でも独立開業しやすいメリットがあります。
ただし、加盟金やロイヤルティの支払いが発生するほか、フランチャイズ契約にはさまざまな制限が設けられているケースがある点には注意が必要です。
LIFULL HOME'Sでは、不動産業の独立開業を目指す方に向けて、さまざまなコラムを掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。
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