私は仕事柄、複数の不動産会社の店長とお話をする機会が多くあります。多くの仲介店舗を見ていると、不動産会社によって、その運営方法はさまざまです。

私自身も20年近く不動産業界に身を置いていますが、いまだに、とある店舗の新しい集客戦略や、思いも寄らない営業戦略を見聞きし、驚くことがあります。「なるほど！ こういうやり方があったんだ」と非常に勉強させられることが多いです。

最近は、多くの不動産会社がSNSを有効に使い、集客を行っています。集客がうまくいっている仲介店舗でSNSのアカウントを持っていない会社は、かなり少なくなっているのではないでしょうか？

以前までは、ポータルサイトのみを使い、集客を行っていた仲介店舗が多かったようですが、今は、多くの仲介会社がSNSで周知を行い、ホームページをしっかり運用し、そしてLINEなどで顧客とやり取りをしています。賃貸仲介の現場は確実に大きく変化しています。

しかし、現場のトレンドは変化をしているようでも、実際の本質はあまり変わっていないという事実も忘れてはなりません。先に述べたように、驚くような新しい集客方法に触れて驚くことがあっても、その「本質」は、変わらないということです。

またポータルサイトにおいて、多額の広告宣伝費をかけずとも、しっかりと多くの反響を獲得できている仲介店舗にも共通しているところがあるように感じます。エリアや規模は違えども、しっかりと自分たちで反響獲得施策を打ち出し、実行し、結果を残している店舗は、時代を経ても共通している点がいくつもあります。

今回は、ポータルサイトを使って、こうした継続的に反響を獲得している仲介店舗の共通点を挙げていきたいと思います。

またこうした反響獲得施策は、SNSや自社サイトからの集客施策にも、十分対応できる「本質」的なところになりますので、ぜひ参考にしてみてください。

店舗を透明化し、店舗情報の掲載が充実していることで、顧客の信頼を得る

反響を獲得するために、ポータルサイトに物件を多く入力する。そしてチェック項目を過不足なくチェックし、写真も充実させる。これが一般的に反響を獲得するための基本中の基本なのかもしれません。

しかし、実際はその「基本」の前にやらなければならないことがあります。それは、ポータルサイトの店舗の情報ページ、ホームページなどの店舗ページをリッチにすることです。

現在、多くの顧客は、問合せを行う前に不動産会社の店舗ページやホームページ、そして口コミを確認します。仮に店舗ページの情報が充実しておらず、かつ口コミが悪い評価であれば、本来獲得できたであろう反響が獲得できません。

しっかりと店舗の写真を掲載し、そしてスタッフの紹介を行うことで、「逃していたかもしれない」反響を獲得できます。反響を継続的に獲得している仲介店舗はこのポイントを確実に実行しています。

エンドユーザー側のサイトを細かく確認し、「穴」を見つけ、反響数を増加させる

業者間サイトなどを毎日確認し、新着の物件を確認することは、多くの仲介店舗が実行していることですが、多数の反響を継続的に獲得している仲介店舗は、エンドユーザー側のサイトも細かく確認しています。

エンドユーザーは、さまざまな検索条件を入力し、検索をします。検索結果が数百件のときもあれば、数十件のときも、０件のときもあります。反響獲得がうまい不動産会社は、検索結果に表示される物件が少ない条件を調査し、その条件を持つ物件を掲載します。

たとえば、駐車場を2台分確保可能な物件や、その地域で唯一のペット可能なファミリー物件など、高いニーズではないものの、一定数のニッチな顧客が探しているであろう条件に当てはまる物件を掲載します。

こうした取り組みを店舗でルール化し、しっかりとエンドユーザー側のサイトを確認することが重要な要素です。

店舗で入稿ルールをしっかりと設定することで、掲載物件の質を上げることができる

「時間ができたので、物件入力をしよう」「掲載確認をし、満室で掲載を落とした件数だけ入稿をしよう」というだけでは、安定的な反響はなかなか獲得できません。

反響を獲得している店舗では、店舗で一日の入稿物件の件数を決めて、しっかりとそれを入稿します。物件を見つける（物だし）時間や入力の時間などをルール化し、それを毎日実行しています。反響を継続的に獲得している仲介店舗のなかでも、この取り組みが、一番共通していることなのかもしれません。

毎日、物件を入稿することにより、これまで、あまり閲覧数が取れていない物件は、掲載枠の関係で掲載を落とすこともあります。これにより、反響獲得できる可能性のある物件が、掲載枠を占め始め、反響獲得の確率を上げることになります。

現在、反響数が安定していない仲介店舗は、「入稿数のルール化」を図ってみてもよいかもしれません。

反響獲得できる検索条件、および物件のリスト化を行い、安定的に反響を獲得する

「○○駅で徒歩○○分、賃料○○円未満で築○○年未満だと、反響が獲得できる」、もしくは「○○という物件は反響が獲得できる」。多くの仲介店舗はこうしたイメージを持っていると思います。実際に反響を高い確率で獲得できる「物件」や「掲載条件」があることも、事実です。

継続的に多くの反響を獲得できている仲介店舗では、こうした検索条件や物件をリスト化し、常にチェックを行っています。営業メンバーの頭の中にある「鳴る条件やリスト」を可視化し、店舗に情報共有することで、他社よりも早く、的確に反響を獲得できる可能性のある物件を掲載することができます。

オーナー管理物件の把握と空室確認を行い、いち早く掲載を行うことで、反響を増加させる

基本的に掲載を行う物件は、自社管理物件、もしくは他社管理物件が多くを占めます。しかしオーナー管理物件も忘れてはなりません。周辺のオーナー管理物件を把握し、リスト化し、定期的に空室確認を行うことで、他社よりも早く物件掲載を行い、反響を獲得することができます。実際に都市部で他社よりも圧倒的に反響数を獲得できている不動産会社は、このオーナー管理物件から多数の反響を獲得しています。

また重要なのは、こうしたオーナー管理物件に対して、「定期的に空室確認をする」という行為です。もし最近の空き予定の情報を得ることができれば、他社よりも早く掲載することもできます。

掲載物件のエリア、価格帯を調整し、最適な商圏エリアの掲載を行う

どこまでのエリアを掲載物件の範囲とするかを調整することも重要なポイントです。仲介店舗を運営していると、いつの間にか商圏エリアが必要以上に広がってしまったり、逆に狭くなりすぎたりしてしまいます。また、掲載物件の賃料の価格帯が、気がつけばかなり高くなっていたり、必要以上に低くなったりすることもあります。

掲載物件の「全体把握」を行い、価格の調整を行ったり、エリアの調整を行うことも忘れてはいけません。とある仲介店舗で徐々に店舗の売上数字が落ちたことがありました。分析してみると、掲載物件のエリアが広がりすぎて、かつ価格帯も大きく低下していたことが原因でした。

これはどうしても、反響獲得したいために起こりがちなことです。しかし先ほどお伝えしたように顧客は、問合せを行う前に掲載している不動産会社を調べます。あまりにも該当物件から遠かったりすると、なかなか問合せをしてくれません。一方でエリアを絞りすぎてしまうと、そもそもの顧客の分母が減少し、必要な反響数を獲得できません。

定期的に自店舗の掲載状況の「全体」を見て、調整することをしていただければと思います。

上記の6点を実行したうえで、掲載時にチェック項目を過不足なくチェックし、写真も充実させて掲載することで反響を継続的に獲得できます。逆に言えば、こうした施策を打たなければ、反響を継続的に獲得することは、なかなか難しいかもしれません。

また上記に述べたように、こうした取り組みは、ポータルサイトのみならず、自社サイトや自社メディアなどでも応用できます。ぜひ、店舗で改めて見直してみてください。

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