SPIN話法とは?不動産営業におけるヒアリングのコツ
不動産営業において、顧客の本音や求めていることが何かをうまくつかめず、困った経験をされた方もいるでしょう。フレームワークの1つである「SPIN話法」を活用すれば、顧客のニーズに対して適切な提案を行えるようになります。
この記事では、不動産営業の現場において生かすことができるSPIN話法について解説します。
目次[非表示]
- 1.SPIN話法とは
- 2.SPIN話法の3つの特徴
- 2.1.顧客の潜在的なニーズを引き出せる
- 2.2.商談につなげやすい
- 2.3.ヒアリングの質が向上する
- 3.不動産営業におけるSPIN話法の具体例
- 3.1.Situation(状況質問)
- 3.2.Problem(問題質問)
- 3.3.Implication(示唆質問)
- 3.4.Need-Payoff(解決質問)
- 4. SPIN話法を活用したヒアリングの流れ
- 5. SPIN話法を生かしたヒアリングのコツ
SPIN話法とは
SPIN話法とは、顧客の潜在的なニーズを引き出し、適切な提案を行えるようにするためのフレームワークです。SPIN話法は、以下の4つの質問を会話に取り入れることで、顧客のニーズをつかんでいきます。
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SPIN話法はイギリスの行動心理学者であるニール・ラッカムによって提唱されました。著書『SPIN Selling』の中で紹介されている話法であり、多くの企業で取り入れられています。
ビジネスシーンにおいて、商談を成功に導くためには「ヒアリング能力」が欠かせません。顧客の潜在的なニーズを引き出せなければ、話すら聞いてもらえないこともあるからです。
次に、SPIN話法の特徴について見ていきましょう。
SPIN話法の3つの特徴
SPIN話法には、「顧客の潜在的なニーズを引き出せる」「商談につなげやすい」「ヒアリングの質が向上する」といった3つの特徴があります。それぞれの特徴について解説します。
顧客の潜在的なニーズを引き出せる
顧客がすでに自覚しているニーズ(顕在ニーズ)であれば、スムーズに会話が成り立ちますが、顧客自身も気がついていない潜在ニーズがあります。潜在ニーズは営業担当者が質問をしていく流れのなかで言語化され、顧客は気づくといえるでしょう。
顧客の潜在ニーズを引き出すためには、SPIN話法が有効であり、コミュニケーションを取る中で顧客地震が自覚していなかった課題の発見につなげていけます。
商談につなげやすい
SPIN話法の大きな特徴として、顧客を中心として話を進めていく点があげられます。顧客を会話の中心とすることで、顧客は話題を「自分事」として捉えるようになり、会話の質を高めていけます。
商談は商品やサービスの説明に重点を置いてしまいがちですが、一方的なセールストークは顧客不在の状態を生んでしまい、顧客がきちんと話をする機会も失われてしまいます。営業担当者が中心になって話を進めてしまうと、顧客の潜在ニーズを見つけることができなくなり、結局は商談の失敗につながる場合もあるでしょう。
SPIN話法においては、営業担当者が一方的に話すのではなく、顧客自身に話してもらいやすい状況を生み出すことで成約率のアップにつなげていくのが狙いです
ヒアリングの質が向上する
商談を成功に導くには、単に商品やサービスの説明を行うだけでなく、顧客の話にしっかりと耳を傾けるヒアリング能力が求められます。そもそも、顧客の考えを理解していなければ、課題となっている部分が何か分からずに提案内容にもずれが生じてしまうでしょう。
顧客が自ら語る話にはさまざまなヒントとなる情報が含まれているため、まずはしっかりと話を聞くことが基本としてあります。SPIN話法を活用して、顧客が悩んでいることや希望していることを会話の流れから把握してみましょう。
不動産営業におけるSPIN話法の具体例
不動産営業において、実際の商談においてどのようにSPIN話法を取り入れればよいか悩んでしまうこともあるでしょう。いきなり質問ばかりをしてしまうと、かえって不快な印象を与える恐れがあるので、質問を行う前に「これからいくつか質問をさせていただきます」と前置きをしてから尋ねていくことが大切です。
ここでは、SPIN話法の具体例について解説します。
Situation(状況質問)
状況質問とは、顧客が置かれている状況を把握するためにする質問です。顧客の状況を理解しておかなければ、提案を行ってもお互いの認識にずれが生じるので注意が必要だといえます。
具体的な質問例としては、次のとおりです。
「今のお住まいの住み心地は、いかがですか」 |
ポイントとしては、会話の取っかかりとなる部分であるため、質問項目を絞ってシンプルな内容に留めることです。矢継ぎ早に質問をしてしまうと顧客は疲れてしまうので、反応を見ながら会話を進めていきましょう。
Problem(問題質問)
顧客の状況を把握したら、次に顧客の悩みを尋ねる質問をします。顧客がまだ認識していない問題である潜在ニーズに焦点を当てて、会話を進めてみましょう。
「お子様が大きくなることを考えると、今のお住まいで気になることはありますか」 |
問題質問とはいっても、営業担当者が「これが問題です」と決めつけてしまうのではなく、顧客自身に気づいてもらえるアプローチを行っていくことが大切です。質問方法はクローズドクエスチョン(YES・NOで答える)とオープンクエスチョン(自由に答えてもらう)の2種類があり、状況によって使い分けることを意識してみましょう。
Implication(示唆質問)
SPIN話法の中でも、示唆質問は重要な質問であり、顧客が課題に気づき始めた段階で課題を深く認識してもらう目的があります。具体的な質問としては、次のものがあげられます。
「今後10年、20年と家賃を支払っていくのは大きなご負担ではないですか」 「お子様が独立された後、どのような環境でお暮らしになることが理想ですか」 |
顧客が求める理想と現実的な課題を認識してもらうことによって、想定されるリスクを自覚してもらうための質問を行います。示唆質問では、顧客に課題を解決する必要があることを認識してもらうのが狙いです。
Need-Payoff(解決質問)
解決質問とは、顧客に理想とする姿をイメージしてもらうための質問です。ここまでの流れで、顧客は課題そのものに対する認識と放置してしまったことによるリスクを理解しています。
そのため、何らかの解決策が必要だと感じているので、具体的な行動につながる提案を行ってみましょう。
「もし今の家賃と同じ金額で、マイホームが手に入るならどう思われますか」 「現在のお住まいよりも広いお部屋で、暮らしやすいエリアがあればご興味ございますか」 |
大事な点としては、顧客が自ら解決策にたどり着くまで、自社の商品やサービスを提案しないことです。顧客の中で理想のイメージを持ってもらうまでは、具体的なアクションプランの提案は避けるようにしましょう。
SPIN話法を活用したヒアリングの流れ
SPIN話法を用いた不動産営業は、以下の流れで進めていきます。
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まず、顧客との接点を持つために興味や関心がありそうな話題からアプローチを行っていきます。良い印象を持ってもらい、安心して任せられる営業担当者だと意識してもらいましょう。
ファクトファイディングは「真実をつかみ取る」ことを意味しており、SPIN話法においては状況質問の部分に該当します。すでに認識している情報が多いほど課題を把握しやすくなるため、顧客が本当に抱えている課題を引き出せるようになります。
次に、プレゼンテーションでは顧客が抱える課題に対して、自社の商品やサービスが課題の解決につながることを提案します。顧客が疑問や不明点などを持たないように、質疑応答の時間もしっかり設けることが大切です。
そして、顧客に契約をしてもらうために、営業活動の最後ではクロージングを行います。無事に契約に至った後も、適切なタイミングでアフターフォローを行うなどして、顧客維持に努めてみましょう。
SPIN話法を生かしたヒアリングのコツ
SPIN話法を生かしたヒアリングのコツとして、まずは商談を行う前に顧客情報についてしっかりと調べておきましょう。事前準備としてヒアリングシートを用意しておけば、聞き忘れを防げるでしょう。
SPIN話法は「S→P→I→N」の順番で質問をすることが大切であり、顧客自らが商品やサービスの必要性に気づくことで、購入してもらえるようにアプローチを行うものです。そのため、話す順序をきちんと守る必要があります。
分かりやすく話すことを心がけて、具体例などを用いて丁寧にヒアリングを進めてみましょう。そして、ヒアリングが済んだり、契約に至ったりした場合は必ずアフターフォローを行うようにします。
継続して自社の商品やサービスを利用してもらうためのアフターフォローを充実させましょう。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:SPIN話法を使うと、どんなメリットがある?
A:SPIN話法を使えば、顧客自身に自らが抱える課題を気づかせることができますし、ヒアリングの質が向上します。結果として、商談につなげやすい流れを生み出せるようになるはずです。
Q:SPIN話法のコツはある?
A:SPIN話法のコツとしては、まず話す順序をきちんと守ることです。顧客が課題を認識し、解決の必要性を感じてから提案をするようにしましょう。また、契約が決まってからもアフターフォローを行っていくことも大切です。
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