不動産営業に活用できるトーク・対応例【物件紹介時】
賃貸仲介営業を行っていると、顧客の質問や要望、返答に対する答えに一時的に窮することがあります。仲介営業を行ううえでは、ヒアリング、提案、内見時のクロージングまでさまざまな営業テクニックがあります。しかし、いくら営業テクニックを頭に入れていても、顧客の質問に対して答えに窮すると、それが原因で、成約に至らないことがあります。
今回は、接客時における顧客の質問や要望に対しての回答事例を紹介したいと思います。様々な不動産会社の仲介営業メンバーからヒアリングした「答えに窮する」質問や要望がメインとなりますので、参考にしていただければと思います。
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接客時
顧客:「良い物件があれば引越ししたいと思います」
回答事例:「どのような物件がお客様にとってベストな物件なのか詳しくヒアリングさせてください」
受付時にまず答えに窮してしまう内容として、「良い物件があれば引越しします」という顧客の発言があげられます。この発言を行う顧客は、「入居時期が定まっていない」、そして「物件の希望条件が定まっていない」ケースが多いです。こうした顧客に対して、とりあえず物件をどんどん提案していくことより、まずしっかりとヒアリングをしていくことが重要になります。
ヒアリングをしっかりと行うことで、「良い物件が見つかった場合、入居時期はいつ頃になるのか」、「希望の設備やエリア、そして希望賃料のバランスは取れているのか」を見極めることができます。
いっぽうで、ヒアリングをしていくと顧客の希望条件や入居時期などが全く決まっていない場合もあります。そうした場合は、しっかりとこちらから顧客の希望条件の整理や引越し手続きの流れの説明などを行う必要があります。
顧客:「他に気になる物件があり、その物件が第1候補です」
対応事例:顧客の現在気になる物件の条件をヒアリングし、その物件と比較検討しながら提案していく
ヒアリングを進めていくと、顧客が既に第1希望として検討している物件があることを把握することがあります。その際、重要なポイントとなるのが、顧客の第1希望の物件の内容、募集条件をしっかりとヒアリングすることです。もし、その検討物件の詳細条件を把握しないまま物件を提案しても、結局その第1希望物件に申し込みをすることになるでしょう。「差し支えなければ、その検討物件の詳細を細かく教えていただけませんか?その物件と比較検討できる物件を提案していきます」こうした言葉を顧客に伝えることで、顧客自身もしっかりと候補物件との比較検討を行うようになります。
顧客:「気になる物件のURLを送ったので、すべての空き状況を調べてもらえますか?」
回答事例:「よりご希望に近い物件の空き状況から確認いたしますので、一度条件を整理させていただいてもよろしいでしょうか?」
顧客とのやり取りのなかで、検討されている物件を把握するために物件のURLをお送りいただくことがあると思います。顧客の検討物件が2、3件であれば問題ないでしょうが、なかには数十件ものリンクを送る顧客もいます。さすがに数十件の物件を調べると、かなり時間を要してしまいます。
また数十件のリンクを送信する顧客は、「希望条件が定まっていないケース」が多いように感じます。もし顧客から大量の物件リンクが送信された場合は、顧客の条件の整理を提案してみてください。もしくは「厳選した2〜3件を教えてください」と伝えてみてもよいでしょう。
顧客:「今の時期は、お部屋探しに最適な時期なのでしょうか?」
回答事例:「繁忙期などは物件数は増加しますが、だからといって繁忙期がベストという訳ではありません。希望の物件があるかどうかはタイミングが重要になります」
接客中、この「引越しに最適な時期」についての質問は、実際かなり多い印象です。顧客からすれば、良い時期にベストな物件に引越したいという心情は当然かと思います。しかしながら、仲介業務を行っている皆様はご存知のとおり、特にベストな時期というのは存在しません。閑散期であれ、繁忙期であれ、顧客が希望する物件を見つけることができれば、それでよいのです。
実際に、繁忙期に部屋探しを始めてみたものの、賃料が値上がりしたり、募集中物件が早いスピードで次々と募集終了してしまい、引越しを見送った顧客の事例もよく聞きます。重要なポイントは、閑散期であれ繁忙期であれ、顧客が現実的な希望条件をしっかりと固めてお部屋探しをすることです。
クロージング時
顧客:「賃料安くなりませんか?」
回答事例:「口頭での交渉は難しいので、お申し込みいただいてからの交渉が基本となります。但し、下がらない可能性も高いので、その旨ご了承いただければと思います」
クロージング中に賃料の交渉希望を受けることもあります。その際、NGの回答が「賃料下がると思います」、「大丈夫だと思います」という曖昧な返答です。実際に賃貸住宅において賃料交渉は、なかなか通りにくいのが実情です。可能な限り、物件提案時の段階でその旨をしっかりと顧客に伝えておいたほうがよいでしょう。
それでもどうしても賃料交渉を要望する顧客に対しては、「申し込みをしなければ交渉テーブルに乗せられないこと」、「募集賃料での契約になることが前提」としっかりと伝えておかなければいけません。もちろん、なかには、柔軟に要望を検討するオーナー、管理会社もいますが、基本は難しい旨をしっかりと伝えなければいけません。
顧客:「検討してご連絡します」(内見後)
回答事例:「現在、懸念されているところを教えていただけますか?」
内見後に顧客が決めきれず、「検討してご連絡します」と言われることも多々あります。NGの対応としては、「かしこまりました。ご連絡お待ちしております」と伝えて解散してしまうことです。顧客が申し込みではなく、検討するに至ってしまった懸念点などをしっかりとヒアリングしましょう。その際に懸念点のクリアができる説明ができれば、申し込みの確度が高まりますし、もし懸念点の払拭が難しい場合は、再提案の機会を得ることができます。
さらに、検討後、顧客からの連絡を待つのではなく、こちらから連絡をすることも重要です。「○○日後に、弊社からご連絡いたしますね」と伝えることで、顧客も期限までに検討することができます。実際、顧客から検討結果を不動産会社に連絡して伝えることは、それなりに面倒な行動です。顧客の負担を減らすうえでも、こちらから連絡できるようにしておいたほうがよいでしょう。
顧客:「他に良い物件があるかもしれないので、申し込みはまだできません」
対応事例:顧客の希望条件を整理することと、不動産市場の特性を説明する
「他にもまだ良い物件があるかも」と思い、なかなか申し込みまで決断できない顧客もいます。しかし顧客の希望条件に完全に合致する物件は、ほぼありません。まず顧客の希望条件を改めて整理して、紹介した物件の特性を説明しましょう。そのうえで、同じ物件はふたつとしてないことを説明してください。ご存知のように不動産は、同じ商品というものは存在しません。同じ建物の隣の部屋でも、眺望や内装状況が微妙に異なります。そのうえで、それでも引き続きお部屋探しを継続するのか、それともお申し込みをされるのかを検討してもらったほうがよいでしょう。
逆にNGな対応としては、こうした説明を行わず「引き続きお探ししましょう」と回答することです。そうすると、ひたすらお部屋探しを継続してしまうことになり、顧客も営業メンバーも疲弊してしまいます。
またこうした不動産の特性の説明を行うことで、実際に顧客が懸念している点などが判明することがあります。たとえば、「実を言うと、もっと広い部屋がよかった」「思ったより駅より遠かった」など、本音を教えてくれることがあります。その際は、しっかりと懸念点をクリアできるようにもう一度物件提案をしていかなければいけません。
今回紹介した以外でも、様々な顧客の返答や要望、質問があります。社内でこうした顧客への対応方法をディスカッションしてみてください。実際に、社内でこうした顧客の言葉をしっかりとデータベース化し、マニュアルを策定している仲介会社もありますので、対策を考えてみてもよいかもしれません。
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