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「ペット可」の基準と仲介実務| 初期ヒアリングから内見、特約まで徹底解説

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「ペット可」物件の仲介業務において、お客様に自信を持って詳細を説明できているでしょうか?

ペット可物件の仲介業務では、物件紹介にとどまらず、ペットの種類やサイズ、飼育規定といった細かい条件の擦り合わせが必要なため、通常の物件よりも難易度が高いといえます。曖昧に処理してしまうと、後々近隣からのクレームや原状回復のトラブルに直結しかねません。

本記事では、賃貸営業として押さえておくべき「ペット可の基準」と、実務で役立つヒアリング・契約のポイントを解説します。

そもそも「ペット可」の基準とは?

大前提として「ペット可」とは、ペットであれば無条件に飼育できるという意味ではありません。「貸主が定めた特定の基準・ルールの範囲内であれば飼育を許可する」という入居条件を指します。

ペット可の基準は原則としてオーナーの意向で決まりますが、分譲賃貸の場合は管理組合の規約が優先されるため、ダブルチェックが必要です。

一般的な基準としては、種類(小型犬・猫・小動物など)に加え、「体重10kg未満」といった具体的な数値制限や「1~2匹まで」という頭数制限が設けられます。また、狂犬病予防注射や登録の実施が条件となることもあります。

また、なかには「ペット可」ではなく「ペット相談可」という物件もあります。これは、入居希望者の属性や飼育するペットの詳細を見て、オーナーが個別に判断するという物件です。

つまり、飼育の可否は個別に判断されるため、安易な確約は避け、詳細な情報の確認後にオーナーとの交渉が必要になります。

オーナーが「ペット可」の基準を設ける理由と注意点

ここでは、オーナーが「ペット可」の基準を設ける理由と注意点を解説します。

ペット可物件のメリット|空室対策と賃料設定の優位性

リスクもある「ペット可」をオーナーがあえて選択する背景には、以下の経営メリットがあります。

● 空室対策
ペット可物件は供給不足(全体の2割弱)のため、駅からの距離や築年数といった条件が多少不利でも、競合物件との差別化ができ、入居付けの武器となります

● 長期入居への期待
通常の物件と比べて、ペットを飼育できる物件探しは難航しやすいため、長期入居が期待でき、安定した家賃収入が見込めます

● 家賃設定の優位性
ペット可という希少性を活かして、相場よりも多少高めの家賃設定や、築古物件の賃料維持が可能になります

ペット可物件の注意点|原状回復と近隣トラブル

一方で、ペット可の基準を設けるうえでの注意点もあります。

原状回復に関しては、柱やフローリングの傷はもちろんですが、厄介なのが「臭い」の問題です。

特に犬や猫の排泄臭が建材に染み込むと、クロスの全張替えや脱臭・除菌のための特殊施工が必要になり、敷金を超える高額請求トラブルに発展することがあります。

また、騒音(鳴き声や足音)や共用部でのマナー違反は、ほかの入居者からのクレームや退去に直結するため、トラブルが多い物件として物件の価値を損ないかねません。

仲介実務(1):ペット可物件におけるヒアリングと案内

それでは、ペット飼育に関するトラブルを防ぐには、仲介業者としてどういった点に気を付ければよいのでしょうか。

まずは、ペット可物件を案内する際のヒアリングと内見時のポイントを解説します。

反響・来店時にお客様に確認すべきペット情報

反響や来店時にペット飼育の希望があった場合、詳細が曖昧なまま話を進めるとあとから条件面のミスマッチが起き、提案が徒労に終わるリスクがあります。

そこで以下の4項目を具体的にヒアリングし、物件確認時に管理会社に伝えましょう。

確認事項
ヒアリングのポイント
種類
最優先事項。犬はよくても猫は不可の物件も多いため、必ず区別して確認
サイズ
小型かどうかは主観によるため、体高と体重を数値で確認
頭数
原則として1~2匹が前提。多頭飼育を希望する場合、物件の選択肢が限られるため早めに把握
状況
現在飼育中か入居後に飼育開始か、子犬であれば成犬時の想定サイズも確認

物件案内でチェックすべきポイント

物件の案内時は、部屋の広さや設備だけでなく、ペットの飼育環境をチェックしなければなりません。

共用部については、エントランスや掲示板をチェックし、実際の管理状況とルールを確認しましょう。「ペットの鳴き声や足音に注意」などの注意書きの有無を確認することで、管理体制や起きているトラブルの傾向を把握できます。

また、エレベーターに「ペット同乗ボタン」があるか、どのような運用ルールになっているかも、入居検討者にとって重要な判断材料です。

次に、専有部について、前の入居者がペットを飼育していた場合は、お客様と一緒に柱の傷や床のシミ、そして臭いの有無を入念に確認してください。すでに傷がある場合は、退去時の原状回復費用などに関するトラブルを防ぐため、写真を撮り、日付とともに記録に残しておくよう勧めましょう。

仲介実務(2):ペット可物件における契約実務のポイント

ペット可物件については、通常の賃貸借契約以上に、禁止事項や費用負担について細かく説明し合意を得ておくことが、入居後のトラブル防止につながります。

ここでは、契約実務のポイントを解説します。

トラブル防止のための特約や条項を盛り込む

一般的な賃貸借契約書の雛形には、ペットに関する詳細な規定が含まれていないことがあります。そのため「ペット飼育特約」や「覚書」といった形で、ルールを詳細に定める条項を必ず盛り込む、あるいは管理会社が作成した特約を読み合わせる必要があります。

この際、以下の項目が盛り込まれているかを確認してください。

  • 許可されるペットの種類・サイズ・頭数
  • 無断での追加・多頭飼育の禁止
  • 近隣迷惑行為(鳴き声や悪臭など)の禁止
  • 違反した場合の契約解除条項 など

原状回復費用の確保と説明

退去時の「原状回復費用」を確保するとともに、ペット飼育にまつわる費用負担について理解してもらうことも重要です。

国土交通省のガイドラインに基づくと、ペットによる傷や臭いは、通常の生活で生じる「通常損耗(オーナー負担)」ではなく、「特別損耗(入居者負担)」であるとの考え方が一般的です。

契約条件にもよりますが、重要事項説明の際は以下の点に注意しましょう。

項目
説明のポイント
経過年数の不適用
ペットによる汚損は故意・過失とみなされ、クロスやカーペットの減価償却(6年で1円)が適用されず、補修費用が全額請求される場合がある
敷金償却特約の確認
積み増した敷金の一部、またはすべてが退去時に返還されない「償却」扱いになっていないかの確認と説明
臭いの除去費用
臭いが建材に染み付いた場合のクロス全張替えや消臭施工の費用が高額になる可能性がある

共用部を含めた飼育ルールの説明

室内だけでなく、廊下やエレベーターなどの共用部での飼育マナーについても、十分な説明が必要です。なかには、動物が苦手・アレルギーを持っている入居者もいることを伝え、以下のような具体的なルールを説明します。

移動時

共用部ではリードで歩かせず、必ず抱きかかえるかキャリーバッグ・ケージに入れること

エレベーター利用時

同乗者がいる場合は遠慮する、あるいはペット同乗ボタンを使用すること

禁止エリア

敷地内やバルコニーでのブラッシング、排泄行為の禁止

これらは、口頭で伝えるだけでなく、管理規約や飼育ルールとして書面で契約書に添付することで、トラブルの未然防止につながります。

まとめ

ペット可物件の仲介は、お客様のペットと暮らしたいという希望と、オーナーの資産を守りたいという懸念を調整する業務を伴います。曖昧な対応は将来のトラブル要因となり、営業担当者の信頼を損なうリスクがあります。

まずはペット可の基準を正確に把握し、将来のリスクにまで踏み込んだ丁寧な説明を徹底することが重要です。お客様とオーナー双方からの信頼を勝ち取り、成約率を高めるうえで参考にしてください。

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吉満 博
吉満 博
不動産コンサルタント・ライター。株式会社あつみ事務所 代表取締役。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性を踏まえ、長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供する。また、購入・住み替え前のライフプランニングから、資金計画や住宅ローン、保険の見直しなど、お金に関するセカンドオピニオンを提供。不動産・住宅ライターとして、不動産メディアを中心に、これまでの建築設計、不動産売買の経験を踏まえた記事執筆をおこなう。

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