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オーナーの信頼を勝ち取り、管理物件を獲得するための施策とは?

不動産会社からいただく要望でとても多いのは、「管理物件を獲得するための施策を知りたい」というものです。これは私がコンサルタント業を始めてから、常にトップクラスに多い要望のひとつです。

ご存じの方も多いかもしれませんが、管理物件が増加することで得られる不動産会社のメリットはとても大きいものです。

メリットのひとつは、管理手数料収入により、売り上げの安定化が挙げられます。仲介業のみだと、どうしても毎月の売り上げにバラツキが生まれます。一方で管理手数料を安定的に確保することで、事業計画が策定しやすく、計画的に経営活動を行うことができます。

また管理物件を獲得することで、オーナーとの関係を深め、オーナー所有物件の売却や、さらに物件購入のお手伝いができます。実際に賃貸管理業を推し進め、その後、売買仲介業をメイン事業にし大きく成長した不動産会社はいくつもあります。

では、このようなメリットの大きい「管理物件獲得」を進めるためには、どのような施策があるでしょうか。今回は、管理物件獲得の施策をまとめてみたいと思います。

目次[非表示]

  1. 1.オーナーリストを作成し、DM、訪問のアプローチを行う
  2. 2.賃料査定サイトから反響を獲得し、オーナーの信頼を得る
  3. 3.自社独自のルートからの管理物件獲得を行う
  4. 4.SNSなどでのアピール

オーナーリストを作成し、DM、訪問のアプローチを行う

以前は、この施策が不動産会社では一般的でした。今ではこのDM、訪問でのアプローチをする不動産会社は減少傾向にありますが、それでも一定の効果を生み出すことができます。

まず対象エリアを決めてオーナーリストを作成します。ここでポイントになるのが、不動産会社の店舗でカバーできるエリアをしっかりと定めることです。あまりにも対象エリアから離れると、効果は半減します。

オーナーリストを作成後は対象物件を特定し、登記簿を取得し、オーナー住所にDMを行います。もちろん簡単な文章を作成し、単に1通だけ送るだけではなかなか反響は獲得できません。かなりDMの内容を精査しなければなりませんし、定期的にオーナーに送り続けなければいけません。

DMの内容は、以下の項目を盛り込みます。

  • 自社の強みをアピールする
  • 管理の具体的なプラン

自社の強みのアピールは、たとえば仲介力や地域密着の取り組みなどをアピールします。管理の具体的なプランとしては、管理メニューの紹介と料金表などの提示を行います。

こうしたDMをしっかりと作成し、定期的に査定オファーや空室募集の依頼を引き受けることで、管理物件の足がかりをつかむことができます。

賃料査定サイトから反響を獲得し、オーナーの信頼を得る

オーナーへのDMに変わり、今、主流になりつつあるのが、賃料査定サイトでの反響獲得からのアプローチです。

各賃料査定サイトに登録し、反響を獲得し、オーナーへ賃料査定書を提出します。ただ実際に獲得単価が安いかといえば、そうではありません。それなりにコストは発生します。また、ただサイト登録だけして、他社とあまり変わらない査定書を送ってもほとんど案件を獲得はできないのが現実でもあります。

しかしながら、こうした査定サイトからの反響獲得をし、うまく管理物件を獲得できている不動産会社も存在しています。こうした取り組みがうまくいっている不動産会社の対応として挙げられるのが、

  • 査定結果を細かく提示し、信頼性の高いフィードバックを行う
  • 自社のアピールをしっかりと行う
  • 面談獲得につながるような文言を入れる

という対応です。
「査定を行った結果、〇〇円でした」というシンプルな返答、また他社も使用している査定書の提示では、なかなか案件の獲得はできません。しっかりと競合物件を整理し、自社独自の視点を持った意見を盛り込むことで、オーナーからの信頼を獲得することができます。また、先ほど紹介したオーナーへのDMと同様に、自社のアピールをしっかりと査定書やメッセージに盛り込むことも忘れてはいけません。

さらに、アポイントを獲得するための具体的な日時の提示もしっかりと行うことが重要です。「来週、再来週の面談候補日時を3つほどご教示ください」などのように、しっかりとアポイントを獲得するための文言を入れておくことも重要になります。

繰り返しますが、こうした査定サイトからの反響で、管理物件をしっかりと獲得できている不動産会社も確実に存在しています。獲得できている不動産会社に共通していることは、こうした査定書、返信内容に対してかなり細かく注意していることが共通点になります。

自社独自のルートからの管理物件獲得を行う

「自社内で投資家に対して投資物件の購入をすすめる部署がある」もしくは、「建設会社との連携がある」「金融機関、士業の方と強いコネクションがある」「同業の仲のよい買い取り会社がいる」など、社内のリソースや強い人間関係も、管理物件獲得の大きな強みになります。

現在でも不動産業界は横のつながりがとても重要になります。こうした人脈や関係性で、多数の管理物件を獲得している不動産会社も多数存在しています。このような関係性を利用した管理物件の獲得で重要なポイントは以下となります。

  • 管理提案書のバリエーションを増やす
  • 獲得ルートの定期的なプッシュ

紹介を受けた際に、自社の強みや管理プランなどを提案書にしっかりと盛り込んで提案を行うことは当然のことですが、実際は、「それ以前」のアピールが重要になります。

たとえば、A4のチラシを作ったり、簡単な管理紹介のカタログを作ることで、管理業務を紹介先にアピールします。紹介者からしても、こうした簡易的なものがあると相手方にも紹介がしやすくなります。人脈や関係性のある不動産会社は、こうした「ライトな提案書」の作成を検討してみてはいかがでしょうか?

またこうしたルートのある不動産会社は、定期的なプッシュを行うことも重要になります。定期的なミーティングや情報交換などを行い、関係性の継続を行います。それは、自社内でも社外でも同様です。紹介者が、何かの折に管理会社、管理部門を紹介しようとした際に、必ず紹介を獲得できるよう計画的に関係性を維持していくような取り組みを考えてみてもいいでしょう。

SNSなどでのアピール

最近、増加しているのがSNSなどを使ったWEB戦略での管理物件の獲得です。
まず、各種SNSでオーナーへ有益な情報を提供する。そしてオンラインセミナーなどを実施し、オーナーの相談を受け、最終的には管理物件を獲得する。こうした取り組みを地道に続けて着実に管理物件を獲得している不動産会社も存在しています。

しかし、実際にこうした取り組みを行うためには、以下のことをクリアしなければいけません。

  • 一定数のフォロワーと定期的かつ有益な情報提供
  • セミナーや商談などのバックエンドでの獲得施策

管理会社でSNSをやってみたがなかなかフォロワー数が増えない、という声をよく聞きます。しかし独自のコンテンツを作り、うまくフォロワー数を伸ばしている管理会社も存在しています。こうした管理会社は、「物件オーナー」というところにしっかりとターゲットを絞り、コンテンツを充実させて、定期的に動画配信を行っています。またフォロワー数を増加させるだけではなく、ここからオンライン商談やオーナー向けセミナーを実施しています。

冒頭に述べたように管理物件を獲得することは、不動産会社にとって大きなメリットになります。今回、紹介した施策のいずれにも共通していることは、「他社よりもひと手間を加える」ということになります。これまでの対応を見直し、他社との差別化を図り、自社のアピールをしっかりとオーナーに行うことで、管理物件を獲得する確率は高まります。ぜひ検討してみてください。

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株式会社南総合研究所 南 智仁
株式会社南総合研究所 南 智仁
1978年生まれ。不動産会社に勤務後、大手ポータルサイトに入社。退社後、株式会社南総合研究所を2018年に設立。大手から中小不動産会社様向けに幅広くコンサルタント支援を実施。支援業務として、経営戦略の策定から実行支援。またクライアント独自の不動産業務改善、オリジナル研修等を提供。特に賃貸仲介業の売上向上支援や賃貸管理業務の生産性向上支援は、クライアントから高い評価を得ている。

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