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経営・マネジメント

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賃貸仲介店舗の店長候補の育成方法とは?

仲介店舗の売上を左右する大きな要因として、店長の力量があげられます。実際に、なかなか売上の上がらない店舗に、優秀な店長を派遣したことによって、売上を回復させた例をよく見てきました。

また、複数店舗を運営している不動産会社にとって、社内に優秀な店長がどれだけ在職しているかが、その会社のポテンシャルになってきます。このように賃貸仲介業において、店長や現場責任者の存在は、非常に重要になります。

ちなみに、こうした良い事例とは逆に、とある店長に替わった店舗は、それまで好調だった売上数字が、急激に悪化してしまったり、別の店舗では、離職率がとても高かったりと、残念な事例もあります。いずれにしても、店長によって店舗の売上や業績が左右されるのは、間違いないように感じます。

しかし、これほど店舗運営にとって、店長の存在が重要な要素にもかかわらず、なかなかその育成方法などは、型化できていない印象を受けます。現実的に、「たまたま」採用した優秀なメンバーが、個人売上を達成して店長職についていたり、前店長の退職により、その店舗で優秀なメンバーを店長に登用していたりするケースが多いのではないでしょうか。

また、こうした登用方法に加えて、「店長になるまでの育成体制」というものが、確立されているケースは少ないように感じます。大手の仲介会社では、定期的に現店長にマネジメント研修などを実施していますが、「店長候補のための実践的な研修」などのような事前育成は、あまりないような気がします。

そこで、今回は、「店長候補の育成方法」をご紹介します。社数は多くはないですが、しっかりと店長候補の育成に力を入れている不動産会社もあります。当然、力を入れている会社は、他社よりも大きく売り上げを伸ばしています。ぜひ、参考にしていただければと思います。

目次[非表示]

  1. 1.店舗内の情報共有をしっかりと行う
  2. 2.店舗内の1on1を実施し、各メンバーとの関係性を強化する
  3. 3.店長会議の参加や研修などの参加
  4. 4.店舗の分析を行わせる
  5. 5.グループディスカッション
  6. 6.店長マニュアルの作成と運用

店舗内の情報共有をしっかりと行う

店長職で重要なことは、各数値、指標の分析です。掲載物件の分析、反響数の推移、反響接客率、接客成約率の分析など、各店舗の数値や指標をしっかりと分析していかなければなりません。

またこうした各数値、指標をしっかりと店舗内で共有していくことも重要となります。店長が各数字を把握していても、他のメンバーは把握できていない店舗もありますが、次期店長候補を育てる意味も含めてしっかりと各メンバーに数値状況を共有していくことを忘れてはいけません。

店長候補育成がうまくいっている会社の多くでは、毎朝、各店舗内で、数値の読み合わせを行なっています。現時点の掲載状況や反響数、各数値などをメンバーが理解することで、もし仮に店長になった場合でも、数字や指標に対して抵抗感なく対応できるようになります。

店舗内の1on1を実施し、各メンバーとの関係性を強化する

不思議なもので、多くの優秀な店舗では、店長と各メンバーとの1on1の面談を定期的に実施しています。各メンバーとの面談を行うことで、それぞれのメンバーのモチベーションや現在抱えている課題や将来のビジョンなどを理解することができます。

また、こうした1on1を定期的に繰り返すことで、店長とメンバーとの信頼性が強化されていきます。

店長候補を育成するにあたり、こうした1on1を会社の仕組みとして取り入れている会社は、店長としての適正をその面談で見極めることもできます。逆にこうした1on1などを行わず、各メンバーとの信頼関係も薄いなかで、メンバーを急に店長登用をしてしまうと「ミスマッチ」が起きてしまう危険性もあります。

店長会議の参加や研修などの参加

シフトや業務の問題でなかなか難しいかもしれませんが、店長候補のかたには、なるべく店長会議や店長研修などに参加させることも重要な打ち手となります。

会議に参加することで、幹部職の意識が生まれ、店舗運営を他人事で考えるのではなく、自分事として捉え始めます。また研修なども同様になります。どうしても店長に昇格してから、店長会議や研修に参加させるケースが多いですが、なるべく候補のメンバーには早い段階で参加させたほうが良いかと思います。

以上のように、まず会社や店舗で組織的に取り組む施策として「店舗内の数字の共有」「1on1の実施」「会議、研修への参加」があげられます。ぜひ会社や店舗の文化としてこうした取り組みを取り入れることを検討していただければと思います。このような施策を打っている会社や店舗では、優秀な店長候補が生まれやすくなります。

さらに、より具体的な育成の方法が以下となります。

店舗の分析を行わせる

店舗内でメンバーと情報を共有することと同時に、店長候補には、その情報を基に分析と打ち手を考えさせるような取り組みを行うと効果的です。

具体的には、反響数や接客対応数、成約率などの各指標の数値の改善方法を店長候補のメンバーに考察し、発表してもらうようにします。情報共有用のシートにこうした対策案などが記載できるようにしておくと良いでしょう。

また、こうした対策案に対して、「実施するのか、しないのか」「他の対策はないのか」「実施する場合はいつまでに実行するのか」をしっかりと明記していく必要があります。当然、分析はしてくれたものの、実際に実行しないとなると、効果的ではないですし、逆に店長候補のメンバーのモチベーションも下がってしまいます。もしなかなか良い対策案が生まれなければ、しっかりと本人とディスカッションしながら、可能な対策を考え、実行していくことをお薦めします。

グループディスカッション

もし店長候補のかたが複数いらっしゃる場合は、こうした該当者のかたを集めてのグループディスカッションを行うことも効果的です。

複数店舗を運営している不動産会社や、店舗数が少ないながらも人数の多い不動産会社では、店長候補が1名のみということにはならないと思います。2名以上であれば、こうしたメンバー同士がディスカッションをする場を設けて、それぞれの店舗の課題感や現在実行している対策の情報共有などを定期的に実施していきましょう。

大変かもしれませんが、当事者間だけで集まるのではなく、統括の責任者や社長自らもディスカッションに参加した方が効果的です。

とある不動産会社では、よくこうした複数の店長候補のメンバーを集めてのディスカッションや研修を行なっていました。あまり頻繁に開催はできないですが、それでも年に2〜3回は開催されていました。現在、当時の参加者の方々は、皆店長になり良い成績を残すことができています。

店長マニュアルの作成と運用

上記のような施策を行い、しっかりと店長が育つ下地を整えたうえで会社で店長マニュアルを作成してみましょう。(逆に上記のような施策が徹底できていない状態で店長マニュアルを作成しても、あまり運用できないように感じます)

よくある話ですが、大手の不動産会社でも店舗業務や店長業務が統一されていないケースが多くあります。しかし、こうした店長マニュアルなどをしっかり作成すると、店長業務の再現性は高まり、より店長育成にも役立てることができます。

店長の具体的な業務、数字分析の方法、打ち手の対策事例やトラブル対応などをしっかりと明記していくと、本来の「店長の仕事」がはっきりとメンバーに理解できるようになります。

また、こうしたマニュアルを作成した際は、定期的に見直していくことを忘れてはいけません。マニュアルは作ったが、ほとんど更新していない、誰も見ていない、ということにならないようにしっかりと運用していただければと思います。

以上のように、「店長の育成」ではなく「店長候補の育成」に焦点を当てて紹介すると、会社全体で取り組まなければならないことが多いことがわかります。また、こうした取り組みを確立してしまえれば、かなり盤石な仲介事業運営になるのではないかと思います。是非、参考にしてみてください。

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株式会社南総合研究所 南 智仁
株式会社南総合研究所 南 智仁
1978年生まれ。不動産会社に勤務後、大手ポータルサイトに入社。退社後、株式会社南総合研究所を2018年に設立。大手から中小不動産会社様向けに幅広くコンサルタント支援を実施。支援業務として、経営戦略の策定から実行支援。またクライアント独自の不動産業務改善、オリジナル研修等を提供。特に賃貸仲介業の売上向上支援や賃貸管理業務の生産性向上支援は、クライアントから高い評価を得ている。

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