【シリーズ第1回】人材育成方法の手順とポイントを紹介! 人が育ち定着する職場づくりを解説します!
「離職率が高くて人手不足になってしまう」「従業員のスキルが停滞してしまっている」など、企業が抱える人材についての悩みは尽きないでしょう。それらの課題を解決するため、人事担当者や経営者にとって欠かせないものが「人材育成」です。
この記事では、人材育成の目的や企業成長に役立つ人材育成の方法についての解説を3回シリーズに分けてご案内していきます。
本日は3回シリーズの初回。序章として「人材育成とは?」「人材育成の手法」についてご案内していきます。
人材育成とは? 人材開発・能力開発との違いは?
そもそも人材育成とは、従業員を「経営戦略に貢献できる人材へと成長させること」を意味します。中長期的に在籍し、将来的には中核を担ってくれる戦力へと伸ばしていくのが理想です。
もしも従業員が潜在能力を底上げされ、企業に尽くせるようになれば、業績向上が期待できます。また、従業員も大きな役割を任せられ、やりがいのある仕事を続けられるのでモチベーションが高まっていくでしょう。
ちなみに、人材育成と似た言葉に「人材開発」「能力開発」といったものがあります。ただ、これらの言葉には「もともとあった能力やスキルを引き出していく」というニュアンスが伴います。人材開発には「能力やスキルを伸ばしていく」という意味があり、じっくり時間をかけて育てていくプロセスを表すのです。
人材育成の重要性
なぜ人材育成に重きを置かなければならないのかというと、人こそが、企業が抱えるもっとも大切な資源だからです。従業員の能力は企業の業績に直結します。仮に企業の成長が止まっているのだとすれば、従業員の能力が停滞している可能性も考えられるのです。
また、少子高齢化社会では、すべての組織が人材不足に陥る危険をはらんでいます。グローバル化によって、海外でも通用する人材の必要性も高まってきました。国内よりも安価な海外での労働力に対抗するためには、国内の人材が海外でも通用するレベルの高い人材へと成長する必要があるのです。
このように、企業が安定して成長するためには、有能な人材を育て、確保し続けることが肝心といえるでしょう。
また、人材育成には、離職率を抑える意図もあります。成長環境が整っていれば、従業員は「ここで頑張れそう」「将来の見通しが明るい」と考えてくれます。その結果、有能な人材が他社に引き抜かれるような事態を防げます。
狭義・広義の人材育成とそれぞれの具体的な手法
人材育成の定義は、状況によって異なります。また、狭義の人材育成と広義の人材育成では、実施するべき手法も変わってくるでしょう。以下、それぞれの場面で具体的な手法を紹介していきます。
<狭義の人材育成>
▼OJT
代表的な人材育成が「OJT(On-the-Job Training)」です。
この手法では、新人が先輩社員について、現場で経験を積み重ねていきます。基本的には、先輩社員の仕事に同行したり、先輩社員に教わりながら実際の現場での仕事を行ったりするなど、実体験を通して仕事を覚えていきます。
気軽に相談できる先輩が常にいるうえ、実務をすぐに習得できるのもメリットです。
▼e-ラーニング/Off-JT
研修やe-ラーニングなど職場から離れて行われる教育訓練による育成方法、「Off-JT(Off-the-Job Training)」を導入する企業も増えてきました。この手法では、実際の業務に取り掛かる前に、現場以外で土台となる知識や理論を体系的に学べることが特徴です。そのため、実際に現場での仕事を始めたときに、原理原則に即した方法で仕事と向き合えます。また、業務の土台となる知識をあらかじめインプットするため、分からない点を解消してから実務に入れるので、仕事の理解が早いといえます。
▼自己啓発
そのほか、「自己啓発」も人材育成のひとつでしょう。
この手法は、企業で行われる研修などの教育プログラム以外に、休日や隙間時間を利用し、書籍や勉強会などで必要な知識を取り入れていくなど、従業員が主体的に学んでいくのが特徴です。企業によってはセミナー参加等学習にかかる費用や時間を支援する制度を設けているようです。
<広義の人材育成>
▼ジョブローテーション制度
ジョブローテーション制度とは、例えば「商品理解を深めたうえで販売を担ってもらうために商品開発部を経験させる」などのように、人材育成の目的に応じて一定の配属期間ごとに人材を異動させる人事異動制度のことです。
ある従業員に特別な経験を積ませることを目的として、長期的かつ戦略的に部署を変えていきます。さまざまな部署での経験の結果、従業員は多角的に企業内の仕事を捉えられるようになり、将来重要な役職に就いたときに、その経験を基に仕事をこなすことができます。
▼目標管理制度(MBO)
MBOとは、従業員個人に目標を立てさせ、その達成度によって従業員を評価する制度です。
企業が一方的に評価をするのではなく、従業員個人が設定した目標を企業に共有したうえで、定期的に「どれだけ達成できたか」を自己評価させていきます。
自身で立てた目標のため、従業員は達成のために自分で工夫や努力をして仕事をするようになり、自律的な人材の育成につながります。
▼メンター制度
このシステムでは、ベテラン従業員が若手をマンツーマンでサポートします。スキルの伝達はもちろん、若手の精神的なケアもできるのがメリットです。「1on1」と呼ばれる、部下と上司の1対1のミーティングも広まっています。
ミーティングは、業務報告だけを目的にしていません。長期的に、部下が着実なステップアップを遂げられるよう、上司が悩みや希望を聞き出していきます。
▼ティーチング
人材育成のなかでは有名な手法かと思います。未経験者、若手を対象として、先輩社員が後輩に正しい仕組みを教えていきます。基礎知識や基本的なルールなどはティーチングによってしっかりと教えることで、土台の整った人材を育成できます。
▼コーチング
ティーチングだけでなく、上司が部下に仕事のヒントを投げかける「コーチング」も大事です。コーチングはティーチングと違い、結論をすぐ教えるようなものではありません。上司との会話を通じ、部下が自分で「理想の自分」「目標」を見つけることを意図しています。コーチングがうまくいけば、部下のモチベーションアップ、能力開発へとつながります。
さいごに
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は3回シリーズの2回目。「人材育成の課題あるある」「人材育成のプラン」についてご案内します。