賃貸住宅メンテナンス主任者試験を徹底解説! 資格取得のメリットから試験内容まで
賃貸住宅の管理業務では、日々多岐にわたる課題に直面します。そのなかでも建物や設備の維持保全に関する課題は特に重大であり、適切な対処によって安全を守り、オーナーや入居者からの信頼を得るためには高い専門知識が必要です。
本記事では、賃貸住宅の管理に必要な知識と技能を証明する資格である「賃貸住宅メンテナンス主任者」についてご紹介します。賃貸住宅メンテナンス主任者試験について、資格取得のメリットから試験内容までを詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.賃貸住宅メンテナンス主任者とは
- 1.1.資格の概要
- 1.2.資格が創設された背景は?
- 2.資格取得のメリット
- 2.1.専門知識の習得
- 2.2.キャリアアップのチャンス
- 2.3.信頼性の向上
- 3.賃貸住宅メンテナンス主任者試験の詳細
- 4.申込手順
- 4.1.受験料
- 5.賃貸住宅メンテナンス主任者試験の学習方法
- 6.まとめ
賃貸住宅メンテナンス主任者とは
まずは、賃貸住宅メンテナンス主任者資格の概要や取得のメリットについて見ていきましょう。
資格の概要
賃貸住宅メンテナンス主任者試験は「公益財団法人日本賃貸住宅管理協会」が実施している資格試験です。賃貸住宅の建物や設備の維持保全に関する知識を持ち、初診判断(一次対応)を迅速に行える人材を育成することを目的としています。
具体的には、オーナーや入居者からの問合せに対して適切な対応ができ、建物の修繕や維持に関する提案力を持つことが求められます。
試験はオンライン形式(IBT方式)で行われ、受験者は24時間365日、自分の都合に合わせてパソコンかスマホでの受験が可能です。また、受験に備えるため、提供される公式テキスト(全362ページ)と講習動画(全10編・計640分)を利用して必要な知識を習得します。
賃貸住宅メンテナンス主任者試験ホームページ
参考:賃貸住宅メンテナンス主任者|公益財団法人日本賃貸住宅管理協会
資格が創設された背景は?
近年の賃貸住宅市場は、リモートワークの普及や単身世帯の増加に伴い、ますます重要性が高まっています。しかし、これに伴って賃貸住宅に関するトラブルも増加しており、国民生活センターのデータでは、毎年約3万5,000件の相談が寄せられています。
また、2021年(令和3年)に賃貸住宅管理業法が施行され、「賃貸住宅の維持保全」が管理業務として明確に定義されました。これにより、賃貸住宅管理業者は建物の修繕や設備の維持保全に関する責任を負うこととなったため、専門的な知識を持つ人材の育成が急務となっているのです。
賃貸住宅メンテナンス主任者資格を保有しているということは、オーナーや入居者からの問合せに対して迅速かつ適切な対応が可能である証明となります。賃貸住宅管理業者としての信頼性が向上し、顧客からの評価も高まるでしょう。
資格取得者は、建物の維持保全に関する知識を持つことで、日常業務の質を向上させ、より安心・安全な住環境の提供に貢献することが期待されるのです。
資格取得のメリット
賃貸住宅メンテナンス主任者資格を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下に、具体的な内容を挙げてみましょう。
専門知識の習得
賃貸住宅の建物や設備の維持保全に関する専門的な知識を体系的に学ぶことができます。そのため、日常業務で直面するさまざまな問題に迅速かつ的確に対応できるようになります。
キャリアアップのチャンス
資格を取得することで、賃貸住宅管理会社や原状回復工事会社などにおいてキャリアアップの機会が広がります。賃貸住宅のメンテナンスに関する知識が評価されれば、昇進や新たな職務へのチャレンジが期待できるでしょう。
信頼性の向上
資格を持つことで、オーナーや入居者からの信頼を得やすくなります。賃貸住宅の維持保全に関するトラブルを完全になくすことが難しいなかで、専門的な知識を持つことは大きな強みとなり、顧客からの評価も高まるのです。
入居者の方から賃貸物件の設備に関するお問合せを受付けるコールセンターのオペレーターや、賃貸住宅管理会社のスタッフなどが業務で生かせるシーンがありそうです
賃貸住宅メンテナンス主任者試験の詳細
ここでは、賃貸住宅メンテナンス主任者試験の詳細について解説します。
受験資格
年齢や学歴、国籍などによる制限が一切ないため、希望者は誰でも受験することができます。
試験の形式
試験は、オンライン形式(IBT方式)で実施されます。受験者は24時間365日、自分の都合に合わせて試験を受けることができます。
● 試験時間:120分
● 問題数:100問
● 形式:正誤式
試験の内容
試験は、賃貸住宅の建物や設備の維持保全に関する幅広い知識を問う内容となっています。試験問題は、具体的に以下のような主要なトピックによって構成されています。
● 賃貸住宅のメンテナンスの重要性
● 建物・設備の基礎知識
● 修繕対応から学ぶ設備の基礎知識(給排水設備、ガス・電気設備、雨漏り)
● 消防設備の基礎知識
● 外部改修工事の基礎知識
● 巡回点検業務のチェックポイント
● 法令点検とコンプライアンス
● 原状回復工事
参考:賃貸住宅メンテナンス主任者|試験案内|公益財団法人日本賃貸住宅管理協会
オンライン試験(IBT方式)なのでいつでも受験が可能
申込手順
試験の申し込みは、オンラインで簡単に行えます。以下の手順に従って進めてください。
1. 公式サイトにアクセス
2. アカウント作成
3. 試験の申し込み・支払い
4. テキストと動画の受け取り
5. 受験準備
試験は決済完了後から3ヶ月受験でき、この期間内であれば合格するまで何度でも受験することができます。
受験料
受験料は、9,900円(税込)です。これには、テキスト・講習動画・試験料が含まれます。さらに、申し込み時に事務手数料が別途発生します。
● 受験料:9,900円(税込)
● 事務手数料:495円(税込)
賃貸住宅メンテナンス主任者試験の学習方法
賃貸住宅メンテナンス主任者の試験に向けた学習は、まず配布されるテキストをざっと通し読みし、全体の内容の把握から始めるのが望ましいでしょう。その後、各章ごとに読み込み、重要なポイントをしっかりと理解していくのが効果的です。
講習動画は、テキストの内容を補完する形で視聴し、実務に即した知識を習得します。オンラインで視聴できるため、隙間時間などを利用して繰り返し学習することで理解を深めることができます。
学習スケジュールは、試験予定日から逆算して立てることがポイントです。たとえば、試験まで残り3ヶ月であれば、最初の1ヶ月はテキストの読解と動画の視聴に集中し、次の1ヶ月は問題演習、最後の1ヶ月は模擬試験と実際の試験を受験し、不合格の場合は間違えた箇所を見直して再受験しましょう。
まとめ
賃貸住宅メンテナンス主任者資格は、賃貸住宅の管理業務において不可欠な知識と技能を有していることを証明するために役立つ資格です。この資格を取得することで、オーナーや入居者からの信頼を得やすくなり、日常業務においても高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
試験の内容は、配布されるテキストと講習動画を活用してしっかりと準備を行えばそれほど難しくありません。資格取得後も、継続的な学習を通じて最新の知識を維持し、賃貸住宅管理業務のプロフェッショナルとしてさらなる飛躍を目指しましょう。
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