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空き室を撮影場所として貸し出す新しい収益化方法。「空フル」活用事例

空き室を撮影場所として貸し出す新しい収益化方法。「空フル」活用事例

賃貸経営で安定して利益を上げるには、やはり空き室対策は欠かせません。

物件のクリーニングやリフォーム、集客、客付けの工夫など、できることは多々あります。あらゆる手を尽くしても、なかなか新しい入居者が決まらない…そういった物件がある不動産会社の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、賃貸物件の空き室期間を収益につなげるサービスを運営する企業に取材しました。

目次[非表示]

  1. 1.タルスペースでもない、撮影スタジオとして貸し出すという空き室対策
  2. 2.コロナ禍を経て撮影需要が多様化
  3. 3.テナントビルの屋上、スケルトンのままでも撮影実績あり
    1. 3.1.事例1:テナントビル地下
    2. 3.2.事例2:テナントビル屋上 
  4. 4.初期費用なしで掲載可能。初期コストもゼロ
  5. 5.「空き室」状態を賃貸経営に生かす

タルスペースでもない、撮影スタジオとして貸し出すという空き室対策

賃貸物件が長期にわたって空き室になってしまった場合、取れる方法はいくつか考えられます。

立地や条件によって取れる手段は異なりますが、民泊に転用する、一棟まるごとシェアハウスにする、レンタルスペースやコワーキングオフィスとして貸し出す…など。どの方法もそれなりの準備や運用の手間が必要ですが、株式会社Leaneve(リーネフ)代表取締役 大嶋 宏行氏は、それ以外にも方法があると話します。

「もちろん、賃貸物件として運用できることが一番よい方法であるとは思いますが、撮影スタジオとして貸し出す場合、賃貸物件の需要とはまったく異なる物件が求められます。駅から遠い、築古、人気のエリアではない、など、賃貸物件であればデメリットになるような条件であっても、撮影する場合にはそういった点は関係ありません」(大嶋氏)

株式会社Leaneveは、2024年12月に、賃貸物件の新しい収益化サービス「空フル」(カラフル)を提供開始しました。「空フル」は、物件や空き室の状態で客付けをしながらも、内見などがない時間に撮影場所として貸し出すことで収益につなげることができるサービスです。

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お話をお伺いした株式会社Leaneve(リーネフ)代表取締役 大嶋 宏行氏

コロナ禍を経て撮影需要が多様化

「撮影場所」と聞くと、大規模で設備の整った綺麗なスタジオが思い浮かびます。撮影地としての需要について大嶋氏にお聞きしました。

「テレビ関係の方とのお付き合いがありまして、100人ほどにヒアリングしましたが、撮影地を探すのに困っていないという人は一人もいませんでした。一様に撮影地探しに苦労しています。背景としては、大型の撮影スタジオがコロナ禍で閉鎖してしまったことや、テレビ以外にも動画広告や動画配信サービスが急激に普及し、需要が大きく増加していることがあると思います。地上波テレビCMの広告費はやや減少傾向にあるものの、今後も撮影需要は高く維持されると思います。ここ10年の傾向を見ても、大型のスタジオより、小規模なセットで撮影を行うことが増えました」(大嶋氏)

コロナ禍で在宅時間が長くなったことにより、動画配信サービスのNetflixやHuluなど選択肢が多様化し、それが現在も定着しており、この傾向は今後も続くことが予想されます。

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世界の動画配信・音楽配信・電子書籍の市場規模の推移及び予測。巣ごもり需要の拡大により、動画配信を含むオンラインメディアの市場規模は今後も拡大を続けることが予測されています

(出典:総務省 国内外におけるサービス・アプリケーションの動向

テナントビルの屋上、スケルトンのままでも撮影実績あり

比較的、小規模なセットで撮影することも増えてきたという撮影地の需要ですが、具体的にどのような物件が利用されているのでしょうか。

「住居、ホテル、店舗など、さまざまな建物で事例があります。築古の物件であっても、そういう『絵』がほしいという需要があります。スケルトンの空きテナントでの撮影や、電気設備しか置いていないテナントビル屋上での撮影もあります。賃貸物件ではなかなか入居にならない物件でも、撮影ニーズがないかというとこれはまったくの別物ですね」(大嶋氏)

スケルトンのままでも、また家具などが備え付けられたセットアップの状態でも、どちらも撮影需要があるそうです。なお、撮影の需要があるかないかについては、株式会社Leaneve社内に映像関係のスタッフが在籍しており、相談が可能です。

「都内と、神奈川・埼玉あたりぐらいまでの、車で都心から1時間半以内で行けるエリアを対象としています。アパートであれば、一室だけより外観の撮影が可能な方が需要があります。また、広さについては60m2以上ですとより利用されやすいと思います」(大嶋氏)

事例1:テナントビル地下

テナントビルの地下(1,000m2)を、前入居者が退去したままの、スケルトン状態で運営。配信ドラマやミュージックビデオの撮影で利用。月の予約件数は3件。

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事例1:テナントビル地下

事例2:テナントビル屋上 

テナントビルの屋上。電気設備やテナント用ロッカー置き場として利用している場所を、映画、配信ドラマ、ポートレート撮影などで利用。月の予約件数は8件。

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事例2:テナントビル屋上

初期費用なしで掲載可能。初期コストもゼロ

物件を民泊で転用する場合、設備を準備したりリフォーム費用が必要となったりしますが、「空フル」は初期費用不要で利用が可能だといいます。

「撮影時に必要な家具などは撮影者側が準備しますので初期費用はかかりませんし、1件であれば無料で掲載ができます。Leaneveが運営する自社サイトへの掲載だけでなく、弊社は自費で集客施策もしておりますので、集客にかかる費用も発生しません」(大嶋氏)

なお、撮影の際に気になるのが騒音や人の出入りですが、事前にスタッフの人数や音の発生の有無について確認することができ、場合によってはそういった利用を除外することも可能です。

「空き室」状態を賃貸経営に生かす

大嶋氏は、自身がシェアハウス投資詐欺に引っかかる寸前までいった経験から、不動産業界に強い興味を持つようになりました。不動産仲介業に従事した後、株式会社Leaneveを2016年に設立し、不動産運営管理、不動産の企画・開発事業を行っています。仲介業に関わるなかで不動産投資家の失敗談を聞くうちに、運営方法を見直すことでキャッシュフローを改善することはできるのではないかと思うようになり、起業したといいます。

「アドレスホッパーをしながらあちこちの不動産を見ているうちに、Airbnbなどのさまざまな事例を学びました。物件の特徴にあわせた多様な方法で運用することで、赤字で困っている不動産投資家の方や賃貸管理会社の方のお力になれるのではないかと思っています。『空フル』をご利用いただいている方からは、『思ったより利用された。数万円の売上かと思ったら数百万円になったのは意外だった』や、『撮影に利用されたことで物件のよいところに気が付けた』といった嬉しいお声を頂いております。客付けもしながら利用できる試しやすいサービスだと思いますので、通常の賃貸以外での活用に興味を持ってもらえたら」(大嶋氏)

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Business 編集部
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