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経営・マネジメント

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反響数・管理戸数不足など不動産会社の課題と改善事例を紹介

反響数・管理戸数不足など不動産会社の課題と改善事例を紹介

私の仕事は、不動産会社の課題を解決するコンサルタントの仕事です。この仕事を長く続けているとさまざまな課題を耳にします。集客に対して課題がある不動産会社もあれば、スタッフの育成について課題がある不動産会社もあります。多くの相談を受けますが、実際のところそれらの課題はいくつかに分類できるように感じています。たとえばポータルサイトの反響獲得で悩んでいる不動産会社とホームページからの反響獲得で悩んでいる不動産会社は、それに対する細かい問題点や、やるべきことは異なれども「集客」という点では共通の課題になります。今回は、こうした不動産会社の課題を大別し、それに対する改善事例の紹介を行います。

目次[非表示]

  1. 1.集客に課題のあった賃貸仲介会社の改善事例
  2. 2.管理戸数が減少していた管理会社の改善事例
  3. 3.各部署の連携が取れず、他部署との関係が悪化していた不動産会社の改善事例
  4. 4.管理職が育たない不動産会社の改善事例

集客に課題のあった賃貸仲介会社の改善事例

賃貸仲介会社にとって反響数は事業を推進するうえで命綱と言えるほど重要な数字になります。ご相談を受けた賃貸仲介会社は、都内で複数店舗経営しており、売上も伸びていた会社でした。しかし、相談を受けた時期の直近数年間は反響数が店舗によりかなり差があり、さらに各月によって非常に反響数にムラがあることが課題でした。とある店舗では、月によって反響数が2倍以上も差があるような具合です。

依頼を受け、各店舗の業務を調べてみると各店舗によって物件掲載のルールが大きく異なることがわかりました。また会社も、各ポータルサイトの掲載ルールを店舗任せにしており、掲載業務の細かいところまでは把握できていませんでした。

そこで、対応策として掲載ルールをしっかりと策定し、そのルールを遵守していただくようにお願いし、実際に私はそのサポートを行いました。

実施した具体的なルールは、

  • 各店舗の1日の新規物件の入稿数の設定
  • 新着物件の優先掲載の徹底
  • 週ごとの各店舗の反響内容の分析

です。この業務を約半年程度継続することで、反響数にムラが無くなりそれぞれの店舗の売上も安定するようになりました。

今はその不動産会社は、本部で掲載チームを組成し、各店舗に反響を振り分けるようなルールで運用しています。反響を安定的に獲得するには、「明確なルール」を策定し実行することが、課題解決の糸口になる可能性が高いと感じます。

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管理戸数が減少していた管理会社の改善事例

相談を受けた当時、その管理会社は、ちょうど先代の父親から代替わりで二代目の社長が就任したばかりでした。管理戸数は約600戸程度でしたが、年々その管理戸数は減少していました。新しい二代目の社長もまだ不動産業務に精通しておらず、管理解約増加の問題に悩んでいた様子でした。私が提案した内容は、まずオーナーを積極的に訪問し、コミュニケーション量を増やすこと、そしてリーシング対策を根本から見直すことでした。

オーナーが一番頭を悩ますことは、空室が増えること、そしてその空室に入居者が決まらないことです。またオーナーが管理会社に対して不信感が募る理由は、リーシング対策に対して何の報告もないことです。しっかりと各オーナーとコミュニケーションを行いながら、空室物件のリーシングに対して、以下のリーシング業務の強化を提案いたしました。

  • 募集図面の見直し
  • 見栄えの良い写真にするための再度の写真撮影
  • 業者間サイトへの登録
  • 仲介会社をリスト化し訪問を兼ねたリーシング営業

これを社長と担当者で手分けして実行しました。そうすると、面白い程に物件に申し込みが入り、全体の稼働率が回復してきました。(どうやら先代の社長時代は殆どリーシング活動を行っていなかったようです。)

さらにある程度、空室数が減ってきたタイミングで、毎月のオーナーレポートも見直しました。これまでは入金報告と簡単な修繕レポートだけだったのですが、巡回時の物件状況の写真の添付やスタッフの所感や、業界のニュースレポートなどもオーナー報告に盛り込むようにしました。これにより、オーナーの管理会社に対する信頼度も回復し、現在は管理戸数も増加傾向に転じています。

絶え間ないリーシング活動と共にオーナーに対してしっかりとしたコミュニケーションと精緻な報告業務を行うことで、信頼度を維持できる可能性が高いと感じます。

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各部署の連携が取れず、他部署との関係が悪化していた不動産会社の改善事例

該当の会社は、管理部門とリーシング部門(仲介部門)の関係がかなり悪化していました。管理部門は、「リーシング部門が協力しない」と愚痴をこぼし、リーシング部門も、「管理物件は条件が悪く、仲介ができない」と愚痴をこぼしていました。

私への相談内容のなかでもかなり多いのがこうした「部門間の関係悪化の問題」です。ただ、実際に上記のような会社の解決策はとてもシンプルなものになります。それは、「コミュニケーション量」の改善です。

この会社も殆ど両部門の交流は業務上のやり取りでしかなく、日常的にも会話があまりないような状態でした。まず両部門の情報交換のために週次定例ミーティングを開催し、そのミーティングの議題も決めました。それが以下になります。

  • 管理部門から現状の空室状況
  • 仲介の現状の数字共有
  • 管理部門からの空室対策の現状と今後の対策
  • 仲介部門からの要望
  • 契約進行中の案件の懸念点と解決策

さらに仲介部門の評価体制も見直し、自社管理物件を成約すると成績にプラスアルファで加点できるような仕組みを構築しました。これにより仲介部門のモチベーションも上がり、自社での客付けも増加していきました。

部門間の関係悪化の改善策は、そのコミュニケーションをきちんと定例にし、ルール化すること、そしてお互いがメリットになるような制度設計を行うことがポイントになります。

管理職が育たない不動産会社の改善事例

スタッフは揃っているものの、それをまとめる中間管理職がいない。幹部がなかなか育たない。こうした課題を持っている不動産会社も多く存在しているように感じます。

相談を受けた会社も、まさに幹部の人材不足が課題でした。一般的に社内の幹部を増やす方法はふたつしかありません。ひとつは、部下を幹部に登用すること。そしてもうひとつは外部からふさわしい人材を採用することです。しかし、こうした課題は、数ヶ月では解決できません。少なくとも1年以上は時間を要するので、しっかりと腰を据えて対策を行わなければいけません。実際に相談を受けた不動産会社も約2年程度、この課題を解決するのに時間を要しました。

まず、既存の社員に対しては、幹部候補たり得る社員をピックアップし、幹部育成を行いました。

  • 数字の見方、考え方
  • 部下の育成方法
  • 事業課題の解決方法

カリキュラムを作り、外部から研修講師を呼び、しっかりと時間をかけて幹部育成を行います。

さらに優秀な幹部を採用するために、採用戦略も見直しました。まず会社の事業戦略や経営戦略を見える化し、しっかりと外部にアピールできるように自社ホームページもアップデートしました。さらに採用サイトに掲載するだけではなく、優秀な人材にアプローチするために、オファー会社などにも依頼し、接触機会を増やしていきました。

こうした活動が功を奏し、今は社内から出世した叩き上げの幹部社員と外部から採用で入社した優秀な幹部社員が事業を拡大させています。さらにここで重要なポイントとしては、これで完了としないことです。次の幹部候補を育てるための育成カリキュラムの継続を実行し、しっかりと会社の基盤を固める活動を維持していくことがポイントとなります。

あくまで一部の紹介になりましたが、以上が私が実際行った課題解決事例です。各社によってそれぞれ課題は異なるかもしれませんが、冒頭でお伝えしたように共通する課題と解決策があるかと思います。ぜひ、参考にしていただけましたら幸いです。

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株式会社南総合研究所 南 智仁
株式会社南総合研究所 南 智仁
1978年生まれ。不動産会社に勤務後、大手ポータルサイトに入社。退社後、株式会社南総合研究所を2018年に設立。大手から中小不動産会社様向けに幅広くコンサルタント支援を実施。支援業務として、経営戦略の策定から実行支援。またクライアント独自の不動産業務改善、オリジナル研修等を提供。特に賃貸仲介業の売上向上支援や賃貸管理業務の生産性向上支援は、クライアントから高い評価を得ている。

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