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マンションの共用部をLEDに替えるメリットは? 節電効果や利用できる補助金を紹介

マンションの共用部をLEDに替えるメリットは? 節電効果や利用できる補助金を紹介

管理を受注しているマンションについて、共用部の照明にLEDを導入しようか検討している方もいるのではないでしょうか。LEDは従来の電球や蛍光灯よりも消費電力が低く、導入すれば電気代の節約につながります。

蛍光灯は段階的に廃止される予定となっており、今後多くの賃貸管理会社がLEDへの移行を迫られると考えられます。

今回は、マンションの共用部にLEDを導入するメリットや具体的な流れ、活用できる助成金などを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.従来の直管蛍光灯は製造禁止に
  2. 2.共用部の明かりをLEDに替えるメリット
    1. 2.1.電気代を節約できる
    2. 2.2.メンテナンスの手間を削減できる
    3. 2.3.用途に合わせて柔軟に導入できる
    4. 2.4.明るさが増すため入居者に安心感を与えられる
  3. 3.LEDの導入費用
    1. 3.1.共用部にLEDを導入する際の流れ
  4. 4.LEDを導入する際に利用できる補助金
  5. 5.まとめ

従来の直管蛍光灯は製造禁止に

この先、賃貸管理会社は、管理を請け負っている物件の照明をLED化する必要に迫られると見込まれています。

2023年11月に開催された「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」において、一般照明用の蛍光灯の製造や輸出入を2027年までに段階的に廃止することが決定されたためです。

一般照明用の高圧水銀ランプについては、2021年以降にすでに製造・輸出入が禁止されています。

また、経済産業省による「エネルギー基本計画」では、2030年までに高効率照明(LED照明や有機EL照明)のストック率100%を達成する目標が掲げられています。

つまり、遅くとも2030年までには、現在使われている蛍光灯や水銀灯をすべてLEDや有機ELの照明器具に替えなければなりません。

(出典:環境省 一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入は 2027 年までに廃止されます

共用部の明かりをLEDに替えるメリット

共用部の照明をLED化する際には、工事の手間や経済的な負担が発生します。しかし、長い目で見れば賃貸管理の事務的・経済的負担を軽減することが可能です。

電気代を節約できる

LEDは従来の蛍光灯よりも省エネ性能が高く、ランニングコストが低いという特徴があります。そのため、電気代の負担が軽減され、ランニングコストを抑えられるメリットを期待できるでしょう。

環境省によると、蛍光灯シーリングライトからLEDシーリングライトに替えると、約50%の節電効果が期待できるとのことです。金額に換算すると、1か所あたり年間2,000円以上の節約につながる可能性があります。

特に、共用部分の照明は長時間点灯させる関係上、LEDに替えれば大きな節約効果を見込めるでしょう。

(出典:デコ活 ウェブサイト

メンテナンスの手間を削減できる

電球形LEDランプやLEDシーリングライトの寿命は約40,000時間といわれています。蛍光灯と比較して約4倍長持ちするため、照明交換の⼿間を削減できるでしょう。

特に、誘導灯は、消防法施行令によって設置と点検が義務付けられています。もしものときに誘導灯の照明が切れていると、スムーズに避難できず危険なためです。

この義務に違反するとマンションの所有者や管理者などに罰金が科せられるため、法律を遵守し、住民を守るためにも、LEDの導入は効果的です。

また、LEDは紫外線をほとんど含まないため、虫が集まりにくいという特徴があります。虫の死骸を除去する清掃の手間も削減できるため、物件管理の労力軽減につながるでしょう。

用途に合わせて柔軟に導入できる

LEDの照明にはさまざまな種類があるため、管理している物件に合わせて柔軟に導入できます。たとえば、LED一体型器具だけでなく、LEDランプのみ交換できる器具もあります。

機能面で見ると、非常灯兼用型や防雨・防湿型LEDシーリングなどのタイプがあるため、設置する場所や予算に合わせて最適なLED照明を導入できるでしょう。

明るさが増すため入居者に安心感を与えられる

共用部が明るいと、入居者に安心感を与えられます。共用部を明るくして犯罪やトラブルが発生するリスクを軽減できれば、お子さんがいる世帯や一人暮らしの世帯も安心して生活できるでしょう。

具体的には、エントランスや廊下、駐車場などが明るければ、夜間に不審者が侵入するリスクを下げる効果を見込めます。入居者が安心して生活できる環境を整備すれば長期的な入居にもつながるため、オーナーにとっても喜ばしいでしょう。

LEDの導入費用

従来の蛍光灯からLEDに切り替える場合、目安として交換箇所1か所につき3,000~5,000円程度の工事費用がかかります。

さらにLED照明の購入費用がかかるため、交換箇所1か所につき合計5,000円~8,000円程度の費用を見込むとよいでしょう。

マンションの規模や共用部の面積などにもよりますが、共用部全体をLED化する際の費用として、トータルで数十万円程度かかる可能性があります。

大規模なマンションの場合は100万円以上の費用がかかることもあるため、予算との折り合いをつけながら導入を進めていきましょう。

共用部にLEDを導入する際の流れ

分譲マンションの場合、共用部をLED化するためには、管理組合での合意形成が必要です。LED照明への全面切り替え工事を行う際には、普通決議(議決権総数の半数以上が出席し、その議決権の過半数で決議)で合意を得なければなりません。

合意形成を経てLEDを導入する際の具体的な流れは以下のとおりです。

1.    理事会での発案
2.    理事会決議(予算確保の検討や説明会の実施)
3.    総会決議(内容は議事録に記載)
4.    実施準備(着工前の居住者への説明など)
5.    工事の実施

なお、LEDの全面導入後にLED照明を交換する際は、理事会による決議のみで決定できます。

LEDを導入する際に利用できる補助金

共用部を全面的にLED化しようとすると、マンションの規模次第では100万円以上の費用がかかるケースがあります。自治体によっては、共用部のLED化を促進するための補助金制度を用意しているため、有効活用しましょう。

たとえば東京都が行っている「東京都既存マンション省エネ・再エネ促進事業」は、照明器具のLED化を検討し、初期費用や省エネ率などを算出して計画書類を作成するためにかかる費用の補助を受けられるものです。

具体的な補助要件は以下のとおりです。

●    東京都内の既存マンションであること
●    交付申請時から起算して5年以内に「屋上防水」「外壁(塗装)」「建具」「給排水」「電灯設備」「昇降機設備」「EV充電設備」の修繕、改修、設置工事の実施を予定していること
●    建築基準法による検査済証等、及び構造計算書等の構造が検討できる資料があること
●    PVシステム及び蓄電池システムの導入を検討すること

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東京都既存マンション省エネ・再エネ促進事業の補助の対象となるのは、東京都内の既存の分譲マンション管理組合または賃貸マンション所有者です

(出典:クール・ネット東京「東京都既存マンション省エネ・再エネ促進事業」

補助対象経費は、既存マンションの省エネ改修・再エネ導入の検討を専門家等に委託する際の、以下に該当する経費です。

●    補助対象事業を実施するための必要最小限の経費
●    補助期間内に契約、実施及び支払いが完了する経費
●    交付決定日以降に契約したものに係る経費

(出典:クール・ネット東京「東京都既存マンション省エネ・再エネ促進事業」

なお、補助上限額は1棟当たり37万円(消費税込み)となっています。導入に際しての経済的負担を抑えるためにも、自治体の補助金制度について調べておくとよいでしょう。

まとめ

一般照明用の蛍光灯や高圧水銀ランプは今後なくなる予定となっているため、賃貸管理会社は管理物件のLED化の検討を進めましょう。

共用部の明かりをLEDに替えれば、ランニングコストや管理の手間を軽減できるメリットがあります。導入に際しては費用がかかりますが、長い目で見るとLEDに替えるメリットのほうが大きいでしょう。

補助金制度が活用できれば、導入に関する費用負担を軽減できます。入居者の安全な暮らしのためにも、共用部のLED化を検討してみてください。

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柴田 充輝
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。保有資格はFP1級・社会保険労務士・行政書士・宅建士。金融メディアや不動産メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆経験がある。自身でも株式投資や不動産投資を行い、実体験に基づく質の高い情報の提供と、読者にとってわかりやすい執筆を心がけている。本業のかたわら、FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。

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