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危険なブロック塀の特徴とは? 安全性を確認する方法や利用できる助成金制度を解説

危険なブロック塀の特徴とは? 安全性を確認する方法や利用できる助成金制度を解説

ブロック塀が老朽化していたり、管理が杜撰(ずさん)だったりすると、倒壊の恐れがあります。管理しているブロック塀が倒壊し、他人に損害を与えてしまうと、損害賠償責任を負う可能性があるため、注意が必要です。

今回は、ブロック塀の所有者が安全性を確認すべき理由や、危険なブロック塀の見分け方などを解説します。改善に役立つ助成制度も解説するため、参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.ブロック塀の安全性を確認すべき理由
  2. 2.ブロック塀の安全性を確認する方法
  3. 3.危険性が高いブロック塀の特徴
    1. 3.1.傾きやひび割れがある
    2. 3.2.設置してから30年以上経過している
    3. 3.3.地盤から2.2mを超えている
    4. 3.4.控え壁が設置されていない・間隔が広すぎる
    5. 3.5.透かしブロックが連続して使用されている
    6. 3.6.石垣の上に立っている
    7. 3.7.土留めに使っている
  4. 4.ブロック塀が倒れたら所有者の責任になる
  5. 5.ブロック塀の改善に活用できる助成制度
  6. 6.まとめ

ブロック塀の安全性を確認すべき理由

ブロック塀は、プライバシーの確保や防犯・防火などに役立っています。

しかし、安全性が不十分だと、地震などが発生した場合にブロック塀が倒壊し、道をふさいでしまう恐れがあります。結果として避難や救護活動の妨げになり、被害が拡大してしまう可能性が考えられるでしょう。

また、通行人などがブロック塀の下敷きになってしまうと、命に関わる影響が出る可能性もあります。落下してくるブロック塀の重さは100kgを超えることもあるため、揺れに対して脆弱なブロック塀は大変危険な存在です。

ブロック塀は厚さに対する高さの比率が大きく、横からの力に対する抵抗力が小さいという特徴があります。そのため、横揺れの地震が発生した場合の倒壊リスクが高いといえるでしょう。

ブロック塀が危険な状態であることが確認された場合は、まず付近の通行者への速やかな注意表示をし、可能な限り早く補強や撤去を行う必要があります。

ブロック塀の安全性を確認する方法

ブロック塀の安全性を確認する際の基準は、以下のとおりです。

・塀の高さは地盤から2.2m以下か
・塀の厚さは10cm以上か(壁の高さが2.0m超2.2m以下の場合は15cm以上)
・塀の長さ3.4m以下ごとに塀の高さに対して⅕分の1以上突出した控え壁があるか(壁の高さが1.2m超の場合)
・コンクリートの基礎があるか
・塀に傾きやひび割れはないか
・塀に鉄筋は入っているか

一つでも不適合な点があれば、改善する必要があります。判断に迷う場合は、専門家(建築士)に相談して必要な対策を考えてもらうとよいでしょう。

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国土交通省 ブロック塀等の点検のチェックポイント

(出典:国土交通省 ブロック塀等の安全対策について

危険性が高いブロック塀の特徴

管理しているブロック塀の危険性が高い場合、速やかに対処しなければなりません。
以下で、危険性が高いブロック塀の特徴を解説します。

傾きやひび割れがある

傾きやぐらつきがあるブロック塀は、少しの揺れで倒壊する危険性があります。手で押してぐらつきを感じる場合は、危険性が高いといえるでしょう。

また、ひび割れが起きているブロック塀にも注意が必要です。割れている部分から雨水が入ることで中にある鉄筋がさびてしまい、時間の経過とともに腐食が進み、鉄筋がなくなってしまうためです。

鉄筋がなくなったブロック塀は揺れに対して脆弱になり、危険性が高まります。

設置してから30年以上経過している

長期間にわたって設置されているブロック塀は、雨水の影響で鉄筋がさびたり、基礎部分が劣化したりして、耐久・耐震性に問題が生じてしまいます。

ブロック塀の一般的な耐久年数は30年程度といわれているため、設置してから30年以上経過したブロック塀は危険性が高いといえるでしょう。

30年経過していなくても、強度の低下やひび割れの発生が明らかな場合は、補強または撤去を検討すべきです。

地盤から2.2mを超えている

高すぎるブロック塀は横揺れに弱く倒れやすいため、ブロックの厚さが十分かどうかに注意が必要です。危険性を判断する際には、以下を目安にするとよいでしょう。なお、建築基準法施行令において、ブロック塀の高さは2.2m以下とすることが定められています。

ブロックの厚さが10cm
塀の高さは2.0m以下
ブロックの厚さが15cm
塀の高さは2.2m以下


控え壁が設置されていない・間隔が広すぎる

控え壁には、ブロック塀を側面から支え、倒壊を防ぐ役割があります。ブロック塀の強度を高め、安定性を向上させるために大切な存在です。

高さが1.2mを超えるブロック塀に対しては、長さ3.4m以下の間隔で控え壁を設置する必要があります。控え壁が設置されていなかったり、設置の間隔が広すぎる場合は危険性が高いといえるでしょう。

透かしブロックが連続して使用されている

ブロックに穴の開いている「透かしブロック」は、構造上内部に鉄筋が入れられない部分が発生してしまい、強度が低下してしまいます。そのため、透かしブロックを多用すると、塀の強度や耐久性を低下させることがあるため注意が必要です。

透かしブロックが連続して使用されていると、適切な鉄筋補強ができなくなるため、倒壊リスクが高まります。縦・横・斜めのどの方向に連続していても危険性が高いといえるでしょう。

石垣の上に立っている

石垣の上に立っているブロック塀は、一般的な塀よりも倒れやすいため注意しましょう。揺れに抵抗する鉄筋が、塀下の石垣まで入っていないためです。

石垣自体が完全に安定していないと、少しの揺れで塀が倒れてしまう恐れがあります。ブロック塀を石垣の上に建てている場合、補強工事をするか、撤去したうえで軽量なアルミフェンスに替えるなどの対応を行いましょう。

土留めに使っている

ブロック塀を土留めとして使っている場合、土の重量を支えられるだけのブロックの厚さや必要な鉄筋の本数が不足している可能性が考えられます。

コンクリートブロックは、土圧や水圧に対する安全性が確保されているとはいえません。強度が不十分だと、地震が発生した場合に土の圧力に耐えられず、塀が倒壊する恐れがあるでしょう。

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目立ったひびなどの劣化が見られない場合も、設置してから30年以上経過している場合は安全性を確認しておきましょう

ブロック塀が倒れたら所有者の責任になる

所有物件のブロック塀が倒壊して誰かに損害を与えた場合、所有者(占有者)は損害賠償責任を負います。損害賠償請求額が数千万円以上となった事例もあるため、注意が必要です。

災害時における経済的なリスク管理の観点からも、ブロック塀を適切な状態にしておくことは重要です。建築基準法に基づく安全基準(高さ制限、控え壁の設置など)を遵守し、適切な管理と安全対策を行いましょう。

ブロック塀の改善に活用できる助成制度

自治体によっては、地震や台風などの自然災害によるブロック塀の倒壊から人命を守るために、ブロック塀の改善を支援する助成制度を設けています。

たとえば、東京都品川区では「コンクリートブロック塀等安全化支援」を行っています。道路沿いのコンクリートブロック塀・万年塀・石積み塀・レンガ塀で、高さが道路面から80cm以上のものが助成対象です。

工事の種類
交付額

限度額

除却工事

工事に要した費用の額

延長1mにつき3万円

除却後に軽量フェンス等を設ける工事

工事に要した費用の2分の1の額

(軽量フェンス設置)延長1mにつき1万6,000円
(基礎・ブロック設置)延長1mにつき2万6,000円

設計費および工事監理費(建築確認申請ならびに完了検査の申請に係る費用を含む)

15万円

(出典:品川区「コンクリートブロック塀等安全化支援について」

品川区のようなブロック塀の安全化を支援する制度は各地で行われているため、有効活用するとよいでしょう。自治体ごとに、どのような助成制度があるか調べてみることをおすすめします。

まとめ

ブロック塀が倒壊すると、避難や救護活動の妨げになる恐れや、人的被害をもたらしてしまう恐れがあります。安全性を確認し、改善が必要な場合は速やかに対処すべきでしょう。

適切な管理を怠ったためにブロック塀が倒壊し、損害賠償額が数千万円となった事例もあります。所有者は責任をもって、ブロック塀の安全性や耐久性を確認しなければなりません。

自治体によっては、ブロック塀を改善するための助成を行っています。物件が所在する自治体のホームページで、利用できる助成制度がないか調べてみましょう。

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柴田 充輝
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。保有資格はFP1級・社会保険労務士・行政書士・宅建士。金融メディアや不動産メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆経験がある。自身でも株式投資や不動産投資を行い、実体験に基づく質の高い情報の提供と、読者にとってわかりやすい執筆を心がけている。本業のかたわら、FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。

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