マンション大規模修繕で利用できる補助金一覧! 利用時の注意点も解説
マンションを大規模修繕することで、建物の魅力を回復し、空室回避の効果を期待できます。しかし、費用がネックになり、先延ばしになっている物件もあるのではないでしょうか。
そこで活用したいのが、国や地方自治体が行っている補助金事業です。本記事では、マンションの大規模修繕に利用できる補助金を一覧で紹介します。
※紹介する補助金は、2024年10月28日時点で利用可能なものです。すでに終了している可能性もあるため、各補助金の公式サイトなどで募集状況をご確認ください。
目次[非表示]
- 1.国の補助金
- 1.1.既存住宅の断熱リフォーム支援事業
- 1.2.子育て支援型共同住宅推進事業
- 1.3.先進的窓リノベ2024事業
- 1.4.賃貸集合給湯省エネ2024事業
- 1.5.アスベスト除去等事業補助金
- 2.地方自治体の補助金
- 3.補助金利用時の注意点
- 4.まとめ
国の補助金
マンションの大規模修繕に利用できる補助金には、国が提供するものと地方自治体が提供するものの2パターンがあります。ここでは、国が提供する、マンションの大規模修繕に利用可能な補助金を紹介します。
既存住宅の断熱リフォーム支援事業
「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」は、断熱性能の高い断熱材や窓、ガラス、ドアなどを導入するリフォームに対する補助金事業です。
対象工事の種類には、断熱材や窓、ガラスを組み合わせて改修を行う「トータル断熱」と、窓を用いて生活の中心となる居間に改修を行う「居間だけ断熱」があります。それぞれの要件を満たすと、以下の金額の補助金を受けられます。
補助対象製品 |
補助率 |
補助金の上限額 (集合住宅の場合) |
---|---|---|
ガラス・窓・断熱材 |
補助対象経費の1/3以内 |
15万円/戸(玄関ドアも改修する場合は上限20万円/戸) |
玄関ドア |
公募期間:2024年(令和6年)9月2日~2024年(令和6年)12月13日
公式サイト:北海道環境財団「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」
子育て支援型共同住宅推進事業
「子育て支援型共同住宅推進事業」は、子育て世帯(※)が居住する共同住宅(賃貸住宅および分譲マンション)の新築や改修に対する補助金事業です。
※2024年4月1日時点で小学生以下の子どもを養育している世帯
子どもの安全確保に役立つ設備や、居住者などの交流を促す施設の設置が対象です。また、子育てをする保護者への支援として、宅配ボックス設置も対象になっています。補助額などの概要は以下のとおりです。
補助対象製品 |
補助率 |
補助金の上限額 |
|
---|---|---|---|
子どもの安全確保に役立つ設備 |
転落防止の手すりや補助錠の設置や、防犯性の高い窓や玄関ドアなどへの改修 |
補助対象経費の1/3以内 |
100万円/戸 |
居住者などの交流を促す施設 |
多目的室(キッズルーム・集会室)やプレイロット(遊具・水遊び場・砂場)などの施設の設置 |
500万円/棟 |
|
宅配ボックスの設置 |
|
交付申請受付期間:2024年(令和6年)4月1日~2025年(令和7年)2月28日
子どもの安全確保に役立つ設備のイメージ(出典:子育て支援型共同住宅推進事業概要)
(出典:国土交通省 「子育て支援型共同住宅推進事業」の募集を開始します!)
公式サイト:子育て支援型共同住宅サポートセンター「子育て支援型共同住宅推進事業」
先進的窓リノベ2024事業
「先進的窓リノベ2024事業」は、窓のガラス交換や内窓設置、外窓やドアの交換によって建物の断熱性を高める工事に対する補助金事業です。
住宅の種類や、使用する製品の性能、サイズなどによって補助額が決まります。補助対象の工事と補助上限額は以下のとおりです。
補助対象工事 |
補助金の上限額 |
|
---|---|---|
ガラス交換 |
200万円/戸 |
|
内窓設置 | ||
外窓交換 |
カバー工法 |
|
はつり工法 | ||
ドア交換 |
カバー工法 |
|
はつり工法 |
カバー工法は、既存の窓やドアを取り外し、残った既存の枠の上から新たな枠を被せ、規定の窓やドアに交換する工事です。
はつり工法は、既存の窓やドアに加えて枠も取り外し、新たな枠を取り付けて規定の窓やドアに交換する工事です。
工事着手の期間:2023年(令和5年)11月2日~遅くとも2024年(令和6年)12月31日まで
「先進的窓リノベ2024事業」は、予算上限(100%)に達し次第、交付申請の受付が終了となります(2024年11月29日時点の補助額申請の割合概算値は55%です。最新の状況はホームページを参照ください
公式サイト:環境省「先進的窓リノベ2024事業」
賃貸集合給湯省エネ2024事業
「賃貸集合給湯省エネ2024事業」は、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯について、省エネ型給湯器を導入する工事への補助金事業です。補助対象の省エネ型給湯器は、お湯を沸かす際の排熱を再利用してエネルギー効率を高めるものです。
導入する給湯器の種類や機能に応じて、定額の補助金が交付されます。給湯器の種類と機能による補助額は、以下のとおりです。
設置する給湯器 |
追い焚き機能 |
補助額(定額) |
補助上限 |
---|---|---|---|
エコジョーズ |
なし |
5万円/台 |
1台/戸 |
あり |
7万円/台 |
||
エコフィール |
なし |
5万円/台 |
|
あり |
7万円/台 |
エコジョーズはガスを、エコフィールは灯油を燃料とする給湯器です。
着工期間:2023年(令和5年)11月2日以降
交付申請受付期間:2024年(令和6年)3月29日~遅くとも2024年(令和6年)12月31日まで
公式サイト:資源エネルギー庁「賃貸集合給湯省エネ2024事業」
対象となる給湯機器の性能要件や補助額はホームページに詳細が記載されています
アスベスト除去等事業補助金
「アスベスト除去等事業補助金」は、健康被害を招く恐れのある、吹付けアスベストの除去などに対する補助金事業です。
この補助金は、地方自治体が行うアスベスト除去などの補助金制度を、国が補助する形で給付されます。
さらに、アスベストを含む吹付け材が建物に使われているか調査する際にかかる費用を対象とした補助金もあります。こちらも、地方自治体によるアスベスト調査の補助金制度を通じて国が補助します。
補助金の額は、地方自治体の補助金制度によって異なります。また、補助金制度のない自治体もあるため、利用を検討する場合はマンションが所在する自治体の担当窓口に確認をしましょう。
地方自治体の補助金
マンション大規模修繕に利用できる地方自治体の補助金は、自治体によって有無や対象工事、金額などの条件が異なります。
ここでは、代表的な補助金の種類と主な対象工事に加え、該当の補助金を実施している地方自治体のサイトを一例として紹介します。以下を参考に、管理するマンションが所在する自治体の補助金を確認してみてください。
補助金の種類 |
主な対象工事 |
実施している自治体のサイト(一例) |
---|---|---|
改修工事全般 |
マンションの省エネ化やバリアフリー化、耐震化など各種修繕工事 |
|
耐震改修・診断 |
建物の耐震化工事や現在の耐震性の診断 |
|
エレベーター防災対策 |
既存エレベーターの安全性を高める装置の設置など |
|
バリアフリー化 |
手すりやスロープの設置、床のノンスリップ化など |
|
省エネルギー化 |
断熱化工事やLED照明器具設置や高効率給湯器設置など |
補助金利用時の注意点
ここでは、補助金を利用する際に注意したい、3つのポイントを解説します。
・複数の補助金が併用できない場合がある
補助金の中には、ほかの補助金と併用できないものもあります。特に、国の補助金は重複して受けられないものが多く、十分な確認が必要です。
・予算に達すると終了する
補助金は、国や地方自治体の予算のなかから交付されます。そのため、申請や受理の件数に応じて交付する補助金額が予算額に達すると、募集期間中であっても事業の受け付けが終了することがあります。補助金を利用する際は、早めの申し込みをおすすめします。
・補助対象者
補助金のなかには、対象が分譲マンションの区分所有者や管理組合に限られているものもあります。マンションの建物全体を所有するオーナーは対象外となる補助金もあるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
マンションの大規模修繕は多額の費用がかかるため、工事に踏み切れないオーナーもいらっしゃるでしょう。しかし、古い建物のままでは、入居者が集まりにくくなる恐れがあります。
そこで、補助金によって費用負担を軽減した修繕計画を提案すれば、オーナーに大規模修繕の実施を促せるかもしれません。建物に適切な修繕を行い、入居者が集まりやすいマンションを目指しましょう。
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