トランクルーム経営のメリットとデメリットは? 必要な初期費用も解説
不動産を活用する手段の一つとして、トランクルーム経営があります。アパートやマンションの経営と比べて初期費用を抑えられ、管理コストも低いというメリットがあります。
ただし、始めるまでのハードルが低いために、競合が増えやすい点には注意が必要です。実際にトランクルーム経営をしたり顧客に提案したりする前に、メリットとデメリットを把握しておきましょう。
目次[非表示]
- 1.トランクルーム経営の仕組み
- 1.1.管理方式の違いは?
- 2.屋内型と屋外型の違い
- 3.トランクルーム経営のメリット
- 3.1.高い利回りが期待できる
- 3.2.人件費や管理の手間がかからない
- 3.3.アパートや店舗に向かない土地でも活用しやすい
- 3.4.初期投資が比較的少ない
- 4.トランクルーム経営のデメリットとリスク
- 4.1.参入障壁が低く競合が増えやすい
- 4.2.相続税の節税効果が小さい
- 5.まとめ
トランクルーム経営の仕組み
トランクルーム経営とは、敷地内のコンテナや建物内のスペースを収納用途で貸し出し、賃料収入を得る不動産活用方法の一つです。
実態として、多くのトランクルーム経営者は、賃貸借契約によって物品を預けるスペースを貸す「非倉庫事業者としてのサービス」として事業を行っています。
トランクルーム経営は狭い土地や建物でも始められるだけでなく、アパート・マンション経営よりも管理の手間がかからないメリットがあります。
なお、トランクルームの代表的な管理方法は以下のとおりです。
方式 |
特徴 |
---|---|
個人運営方式 |
運営や管理をオーナー自身が行う |
管理委託方式 |
運営や管理を運営会社に委託する |
一括借上げ(マスターリース)方式 |
運営会社がトランクルームを一括で借り上げる |
事業用定期借地方式 |
土地をトランクルームの運営会社に貸して地代を得る |
管理方式の違いは?
どの方式がよいかは、一概に言えません。それぞれの方式にメリットとデメリットがあるため、トランクルームの立地やオーナーの価値観によって、最適な方法が異なるためです。
たとえば、個人運営方式はオーナーの事務的な負担が重くなる一方で、管理手数料が発生しないため最終的な利益が大きくなります。
管理委託方式では、利用者の募集をはじめとする運営・管理業務を運営会社に任せることが可能です。オーナーには手数料負担が発生しますが、事務的な負担を軽減できるメリットがあります。
一括借上げ(マスターリース)方式は、運営会社がトランクルームを一括で借り上げ、運営や管理は運営会社が行う方式です。オーナーは空室リスクを軽減できる一方で、個人運営方式や管理委託方式と比較して、受け取れる賃料が少なくなります。
事業用定期借地方式は、土地そのものをトランクルームの運営会社に貸して地代を得る方法です。オーナーは建物投資や運営費用を負担せずに済む一方で、収入源が地代収入のみであり、トランクルームの運営による賃料収入は得られないデメリットがあります。
トランクルームの規模や立地、収益性などに合わせて管理方式は検討が必要です
屋内型と屋外型の違い
トランクルームは、屋内型と屋外型に分けられます。それぞれについて、運営者目線のメリット・デメリットをまとめると、以下のとおりです。
特徴 |
メリット |
デメリット |
|
---|---|---|---|
屋内型 |
建物のフロア内を区切って提供する |
・セキュリティが充実している |
・広さ次第では大型の荷物を保管できない |
屋外型 |
屋外にコンテナやガレージを設置する |
・広い場所を確保しやすく、大型荷物を保管できる |
・屋内型よりもセキュリティが甘くなりやすい |
立地や周辺環境などによって、どちらが適しているかは異なります。実際にトランクルームを経営する場合や顧客へ提案する際には、それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、どちらのほうが利用者を見込みやすいかを分析しましょう。
屋外型のトランクルーム
トランクルーム経営のメリット
トランクルーム経営は、代表的な不動産活用方法であるアパート・マンション経営と比べて、高い利回りが期待できます。
また、管理の手間がそれほどかからないため、オーナーや運営会社の負担が軽いというメリットもあります。トランクルーム経営の具体的なメリットを見ていきましょう。
高い利回りが期待できる
トランクルーム経営の実質利回り(コストを加味した利回り)は、一般的に15〜25%程度といわれています(立地や、屋内型・屋外型のどちらであるかによって差があります)。
なお、一般的なアパート・マンション経営の実質利回りは3〜10%程度です。トランクルーム経営は、不動産投資の中でも比較的高い利回りを期待でき、効率よく不動産を活用できることがわかります。
人件費や管理の手間がかからない
トランクルームはいわゆる物置として提供するため、居住用物件ほど管理コストや手間がかかりません。常駐する管理人やスタッフが不要で、設備更新や修繕の頻度が少ないためです。
監視カメラや自動施錠システムなどを導入すれば、管理の手間をより軽減できるでしょう。
アパートや店舗に向かない土地でも活用しやすい
トランクルーム経営は、小さなコンテナを設置できる面積があれば可能です。アパート・マンションなどを建てられるほどの広さがなくても始められる点は、トランクルーム経営のメリットといえるでしょう。
また、一般的に狭小地や変形地は活用の用途が限られてしまいますが、屋外型のコンテナであれば土地の形状に合わせて柔軟に対応できます。駅からのアクセスが悪い土地でも需要を見込めるため、汎用性が高いといえるでしょう。
初期投資が比較的少ない
場所にもよりますが、トランクルーム経営は初期投資を抑えて始められます。
初期費用の目安 |
|
---|---|
屋外型(コンテナタイプ) |
200万〜800万円程度(コンテナ1基あたり100万円程度 |
屋内型 |
100万〜300万円程度(坪数や工事の有無によって異なる) |
不動産投資の中には、初期費用として1,000万円以上必要となるものもあります。それと比べると、トランクルーム経営は初期投資を抑えられるため、比較的始めやすいビジネスモデルだといえるでしょう。
屋外の倉庫タイプのトランクルームイメージ
トランクルーム経営のデメリットとリスク
トランクルーム経営にはメリットがある半面、気を付けるべきデメリットやリスクもあります。
想定外の事態に見舞われて収益性を損ねないために、マイナス面も押さえておきましょう。
参入障壁が低く競合が増えやすい
トランクルーム経営は必要な初期投資額が低く、始めやすいという特徴があります。これは、参入障壁が低く競合が増えやすいことを意味します。
競合が増えると、利用者の獲得をめぐって競争が発生するでしょう。集客に苦労したり、獲得できた顧客を失ってしまったりする可能性がある点は、リスクの一つとして押さえておくべきです。
相続税の節税効果が小さい
相続税対策で土地活用を検討する方もいますが、トランクルーム経営は相続税の節税効果が限定的です。
一般的に、借地借家法が適用される賃貸アパートやマンションを建てると、時価よりも低い価格で土地や建物の評価を受けられます。土地は「貸家建付地」、建物は「貸家」として取り扱われるためです。
一方のトランクルームには借地借家法が適用されないため、評価減の措置を受けられません。さらに、居住用の建物や事業用の建物が立っている場合に利用できる「小規模宅地等の特例」が適用されないケースが一般的です。
相続税対策としては、トランクルーム経営は適さない点を押さえておきましょう。
屋内タイプのトランクルームイメージ
まとめ
トランクルーム経営は利回りが比較的高く、始めるまでのハードルが低い点が特徴です。また、人件費や管理の手間がかからず、アパート・マンション建築に向いていない土地でも活用しやすいというメリットがあります。
ただし、競合が増えやすい点や相続税の節税効果が小さいデメリットがあります。
トランクルーム経営を始める際には、立地や周辺環境の分析を丁寧に行いましょう。
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