【2025年】子育てグリーン住宅支援事業を解説。補助額や交付要件は?
2025年度に施行予定の「子育てグリーン住宅支援事業」は、高性能な省エネ住宅の新築やリフォームを対象とした補助金制度です。
従来の制度に比べ、省エネ性能の高い住宅に対する補助が手厚くなっており、適用の要件をしっかり理解することで、スムーズに補助金の交付を受けられるでしょう。
本記事では「子育てグリーン住宅支援事業」における、新築住宅とリフォーム工事の補助内容や交付要件について解説します。
目次[非表示]
- 1.子育てグリーン住宅支援事業とは
- 2.新築住宅の補助内容
- 2.1.GX志向型住宅
- 2.2.長期優良住宅・ZEH水準住宅
- 3.リフォームの補助内容
- 3.1.開口部・躯体などの省エネ改修
- 3.2.その他のリフォーム工事
- 4.まとめ
子育てグリーン住宅支援事業とは
「子育てグリーン住宅支援事業」は、「2050年カーボンニュートラル」の実現のため、住宅の断熱性向上と省エネ化を推進する目的で創設された補助金制度です。
従来の省エネ住宅の水準を上回る「GX志向型住宅」の新築や、子育て世帯などを対象とした「長期優良住宅」および「ZEH水準住宅」の新築を支援します。
新築の補助対象には、注文住宅や分譲住宅だけでなく賃貸住宅も含まれており、幅広い住宅が利用できる制度だといえます。
また、既存住宅の省エネ性能を高めるリフォーム工事も補助対象です。
期間については、新築の場合は基礎工事以降の工程、リフォームの場合はリフォーム工事に着手した日付が2024年11月22日以降である必要があります。
「GX志向型住宅」の新築住宅や、省エネ性能を向上するリフォームも対象となります
新築住宅の補助内容
新築住宅に対する補助金は、すべての世帯を対象とした「GX志向型住宅」向けと、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象とした「長期優良住宅」および「ZEH水準住宅」向けに分かれています。
また、いずれの補助も、床面積が50m2以上240m2以下の住戸が対象です。
GX志向型住宅
GX志向型住宅に対する補助額は、1戸あたり160万円です。この補助金はすべての世帯を対象としており、長期優良住宅やZEH水準住宅に対する補助金のような世帯による制限はありません。
対象住宅 |
補助額 |
---|---|
GX志向型住宅 |
160万円 |
「GX」とは「グリーントランスフォーメーション」の略で、化石燃料中心の社会から、再生可能なクリーンエネルギーを中心とする社会への転換を目指す取り組みです。
GX志向型住宅とは、このエネルギー転換を促進するために定義された、従来より高い省エネ性能を持つ住宅のことです。
補助金交付の対象となるためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
1.断熱等性能等級6以上
2.再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率35%以上
3.再生可能エネルギーを含めた一次エネルギー消費量の削減率100%以上(地域により異なります)
1の断熱等性能等級とは、国が定めた住宅の断熱性能を表します。等級1から等級7まであり、数字が大きいほど、より高い断熱性能を持つ住宅であるとされます。
2と3の、一次エネルギー消費量の削減率は、当該住宅の基準となる一次エネルギー消費量に対し、設備などに実際に使うエネルギーをどれくらい削減できるかを表す指標です。
GX志向型住宅では、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を設置しない場合と設置した場合の、2パターンの削減率が要件として定められています。
GX志向型住宅において求められる省エネ性能は、従来の省エネ基準である長期優良住宅やZEH水準住宅を超えるものです。この新しい基準を通じて、より高性能な省エネ住宅を普及させたいという国の意図がうかがえます。
脱炭素志向型住宅の導入支援事業(経済産業省・国土交通省連携事業)
(出典:住宅の省エネ化の支援強化に関する予算案を閣議決定 ~環境省・経済産業省・国土交通省が連携して取り組みます~)
長期優良住宅・ZEH水準住宅
子育てグリーン住宅支援事業では、長期優良住宅およびZEH水準住宅に対しても補助金が交付されます。それぞれの住宅に対する1戸あたりの補助額は、以下のとおりです。
対象住宅 |
補助額 |
|
---|---|---|
長期優良住宅 |
住宅などの除却を行う場合 |
100万円 |
上記以外の場合 |
80万円 |
|
ZEH水準住宅 |
住宅などの除却を行う場合 |
60万円 |
上記以外の場合 |
40万円 |
(出典:国土交通省「住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案を閣議決定!国土交通省・経済産業省・環境省が連携して取り組みます!」)
住宅の新築に併せて、建築主やその親族が所有する建替前の住宅などを除却する場合は、補助金が増額されます。
また、この補助金は以下の2つの世帯が対象です。
・子育て世帯:18歳未満の子を有する世帯
・若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(新築・リフォーム)
リフォームの補助内容
既存住宅のリフォームについては、「開口部・躯体などの省エネ改修工事」と、併せて行われる「その他のリフォーム工事」が補助の対象です。所有者が自ら住む住宅以外に、賃貸住宅や買取再販事業者が扱う住宅も対象に含まれます。
開口部・躯体などの省エネ改修
住宅の開口部や躯体などに対する改修では、以下の3つの必須工事のうち、定められた数の
工事を行うことが補助金交付の条件となっています。
1.開口部の断熱改修
2.躯体の断熱改修
3.エコ住宅設備の設置
この必須工事のうち、3種すべて行うSタイプには、1戸あたり60万円を上限とする補助金が交付されます。一方で、3種のうちいずれか2種を行うAタイプでは、1戸あたり40万円を上限とする補助金が交付されます。
メニュー |
補助要件 |
補助額 |
---|---|---|
Sタイプ |
必須工事3種のすべてを実施 |
60万円 |
Aタイプ |
必須工事3種のうちいずれか2種を実施 |
40万円 |
(出典:国土交通省「住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案を閣議決定!国土交通省・経済産業省・環境省が連携して取り組みます!」)
実際に交付される補助金は、リフォーム工事の内容に応じて定められた補助額の合計になります。
ただし、必須工事のうち「1.開口部の断熱改修」と、「2.躯体の断熱改修」については、ZEH水準に相当する省エネ性能以上の改修工事に限られます。
その他のリフォーム工事
「開口部・躯体などの省エネ改修」の工事とともに行う、その他のリフォーム工事も補助の対象になります。
対象工事には、住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置工事などがあり、工事内容に応じた額が交付されます。
補助金に関する最新情報は国土交通省のホームページなどをご参照ください
まとめ
子育てグリーン住宅支援事業は、住宅の省エネ化を促進するために創設された補助金制度です。新築住宅に対しては、建物の省エネ性能に応じて以下の補助金が交付されます。
・GX志向型住宅:全世帯を対象に160万円/戸
・長期優良住宅:子育て世帯・若者夫婦世帯を対象に最大100万円/戸
・ZEH水準住宅:子育て世帯・若者夫婦世帯を対象に最大60万円/戸
また、既存住宅のリフォームにおいては、断熱改修などの必須工事を行うことで、1戸あたり最大60万円の補助金が交付されます。
2024年12月27日時点では、補助金の概要のみが発表され、詳細な条件などは未発表の状況です。制度の利用を検討している場合は、今後の国の発表を随時確認し、最新情報を基に計画を進めるようにしてください。
≫ GX志向型住宅で160万円の補助。子育てグリーン住宅支援事業の概要は
LIFULL HOME'S Businessでは、不動産業界に関連したコラムやセミナー情報なども公開しております。ぜひご覧ください。