土地相場の賢い調べ方4選! 知っておきたい注意点も解説
土地相場を調べる際、どの情報を参考にすべきか迷う方も多いのではないでしょうか。公示価格や路線価、取引事例など、さまざまな情報があるため、それぞれの特徴と適切な活用方法を理解することが重要です。
この記事では、土地相場を効率的かつ正確に調べる方法と、その際に押さえておきたい注意点を解説します。不動産査定の参考として、ぜひご活用ください。
目次[非表示]
- 1.土地相場の調べ方4選
- 1.1.公示価格
- 1.2.相続税路線価
- 1.3.固定資産税路線価
- 1.4.取引事例(実勢価格)
- 2.土地相場を調べる際に注意する3つのポイント
- 2.1.「成約価格」と「売出価格」の違いに注意する
- 2.2.公示地価や路線価だけで判断しない
- 2.3.査定価格の根拠を明確にする
- 3.まとめ
土地相場の調べ方4選
土地相場を調べるには、信頼性の高い指標を活用することが重要です。ここでは、4つの調べ方について詳しく解説します。
公示価格
公示価格は、土地相場を把握するための基本的な指標で、指定された全国複数の地点で算出されたそれぞれの価格のことです。国土交通省が毎年1月1日時点のデータを基に作成し、3月中旬から下旬に公表されます。
公示価格の公表は土地取引の適正化を目的に行われており、土地の評価基準として広く利用されています。
ただし、公示価格はあくまでも「目安」であり、実際の市場取引価格とは異なる場合があるため、ほかの指標と併用して判断することが重要です。
公示価格は国土交通省の不動産情報ライブラリで参照することができます
(出典:不動産情報ライブラリ)
≫ 業務効率化の救世主? 不動産情報ライブラリとは。掲載情報や注意点について
相続税路線価
相続税路線価は、相続税や贈与税を計算する際に使用される評価額で、一般的に「路線価」と呼ばれます。
国税庁が毎年1月1日時点のデータを基に算定し、7月1日に公表します。公示価格や基準地価の約80%をめどに定められるもので、税額計算に欠かせない指標として用いられています。
基準地価は、国土利用計画法に基づいて都道府県が判定するもので、その年の7月1日時点における基準地の1m2あたりの価格を示します。毎年9月下旬ごろに公表され、一般の土地取引だけでなく地方公共団体や民間企業が土地を取引する際の目安としても活用されています。また「都道府県調査地価」と呼ばれることもあります。
ただし、相続税路線価は税額計算という特定の目的のために算出されている指標のため、実際の市場価格とは異なる場合がある点に注意が必要です。
国税庁路線価図
(出典:国税庁 路線価図)
固定資産税路線価
固定資産税路線価は、以下のような税額計算の基準となる土地価格です。
・固定資産税
・都市計画税
・登録免許税
・不動産取得税
固定資産税路線価は、「路線(道路)」に面した宅地1m2当たりの価格を指し、土地の評価額を算定する際の基準となります。
これに基づいて、3年ごとに前年1月1日時点を基準とした評価替えが行われます。この価格に基づいて算出された土地や建物ごとの評価額が毎年送付される納税通知書に記載されます。固定資産税路線価は、公示価格の約70%に相当する値として設定されている点が特徴です。
ただし、こちらも土地の売買価格を直接示すものではないことに注意が必要です。不動産取引では税額を計算する際の参考として使われますが、市場価格とは異なるため、あくまでも「目安」として捉えることが大切です。
≫ 路線価とは? 路線価の確認方法や実際の評価額の計算方法を解説
取引事例(実勢価格)
取引事例(実勢価格)とは、過去に実際に取引された土地の価格を基に算出された平均値を指します。
不動産会社が売出価格を算出する際の重要な指標として広く活用されており、これまでの取引事例や条件が近い近隣物件の成約価格を参考にすることが一般的です。
売却を検討している土地がある場合、近隣の土地の実際の成約価格を確認することで具体的な相場感を得られます。実勢価格は市場の動向を反映したリアルな価格であるため、公示価格や路線価など、ほかの指標と組み合わせることで、土地相場をより正確に把握することが可能です。
土地相場を調べる際に注意する3つのポイント
土地相場を正確に調べるためには、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。ここでは、土地相場を調べる際に注意する3つのポイントについて詳しく解説します。
「成約価格」と「売出価格」の違いに注意する
成約価格と売出価格には、次のような違いがあります。
成約価格:実際に取引された価格
売出価格:売主が設定した売出時の金額
成約価格は買主と売主の合意によって実際に取引された価格であり、市場の需要と供給を反映した現実的な相場を示します。
一方の売出価格は売主の希望に基づいて設定されるため、実際の成約価格とは異なることが一般的です。
たとえば、売出価格が高めに設定されているエリアであっても、成約価格はそれよりも低いというケースはよく見られます。そのため、土地相場を正確に把握するには、売出価格だけでなく成約価格を必ず参考にすることが重要です。
公示地価や路線価だけで判断しない
公示地価や路線価は、土地の評価額を知るための参考となる指標です。
しかし、これらのデータは年に一度しか更新されず、市場の動きや価格変動をリアルタイムで反映していない場合があります。さらに、実際の取引事例(実勢価格)とは差があることも多く見られるため注意が必要です。
たとえば、公示地価が高く設定されている地域でも、最近の市場動向によって成約価格は下落しているケースも考えられます。
土地相場を正確に把握するためには、公示地価や路線価に加え、最新の取引事例や地域特有の市場動向を総合的に分析する必要があります。
公示地価や路線価などを参考に、動向を注視しながらもその他情報も加味して土地相場を調べる必要があります
査定価格の根拠を明確にする
不動産査定で提示する価格は、顧客が物件の売却や購入を決定する際の重要な判断材料となります。そのため、不動産会社には、査定価格の根拠を明確にし、具体的に説明することが求められます。
また、宅地建物取引業法第34条の2第2項にて、査定価格の根拠を明示する義務が定められていることからも、価格を算出する際に使用したデータの出所や調査方法、評価基準を具体的に説明することは必須なのです。
(媒介契約) |
(出典:e-Gov|宅地建物取引業法第34条の2第2項)
たとえば、公示地価や固定資産税路線価、取引事例といったデータを基に土地相場を算出した場合、それぞれのデータがどのように価格に反映されたのかを説明する必要があります。また、対象の土地の立地や周辺環境、形状や接道状況といった個別要因が査定価格にどの程度影響を及ぼしているのかも具体的に伝えることで、顧客の納得感を高めることができます。
さらに、価格の根拠の明示と併せて、算出に使用したデータの信頼性や更新頻度についても説明すると、顧客は安心して査定価格を受け入れることができます。取引事例を用いて相場を算出する場合には、指標とした近隣エリアでの実際の取引について説明することが有効です。
土地には決まった価格がなく、需要によっても変動が見られます。不動産情報ライブラリなどを活用し必要な情報にアクセスしやすい状況にしておくとよいでしょう
まとめ
土地相場を調べる際には、公示価格や相続税路線価、固定資産税路線価、そして取引事例(実勢価格)といった信頼性の高いデータを活用することが重要です。また、成約価格と売出価格の違いや、公示地価や路線価の限界を理解することで、より正確な相場を把握できます。
不動産会社としてこれらの情報を効果的に活用し、顧客との信頼関係を築くことができれば、媒介契約の獲得につながります。土地相場の理解を深め、顧客に正確で納得感のある提案を行うことが重要です。
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