【不動産会社向け】リフォーム補助金の種類と活用方法

2026(令和8)年度のリフォーム補助金は、どの制度を選べばよいのでしょうか。国の「住宅省エネ2026キャンペーン」では、断熱・給湯に関する工事が支援の対象です。
さらに、介護保険によるバリアフリー改修、自治体独自の耐震改修補助などを組み合わせることで、顧客に対して幅広いリフォーム提案が可能です。
ただし、各制度は年度ごとに名称や受け取れる補助額が変わり、申請時には制度自体の予算上限や法令上の注意点もあります。本記事では、不動産会社・賃貸管理会社の担当者がオーナーや購入検討者にスムーズに提案できるよう、主要な補助金の内容から提案実務のコツまで、わかりやすく解説します。
リフォーム時に使用できる主要な国の補助金制度
2026年度のリフォーム向け国の補助金は、「住宅省エネ2026キャンペーン」が中心です。活用を検討する際は、同じ住宅・同じ設備・同じ工事について、国のほかの補助制度と重複して補助を受けることは原則としてできないことに注意しましょう。
みらいエコ住宅2026事業
「みらいエコ住宅2026事業」は、断熱改修を中心とした幅広い省エネリフォームを支援する制度です。国土交通省と環境省が管轄し、全世帯が対象となります。
補助対象住宅は、原則として2016(平成28)年12月31日以前に新築された住宅です。2017(平成29)年以降に新築された住宅は、省エネ性能に関する一定の条件を満たす場合に限られます。
補助上限額は、住宅の新築時期と実施する要件化工事の基準によって異なります。1991(平成3)年までに建てられた断熱性能の低い住宅を現行水準まで引き上げる改修に対してはより高い上限が設定され、最大で100万円/戸です。
先進的窓リノベ2026事業
「先進的窓リノベ2026事業」は、高い断熱性能を持つ窓やガラスへの改修工事を対象とする環境省管轄の制度です。内窓設置・外窓交換・ガラス交換のほか、窓の工事と同一契約で同時に申請する場合にはドア交換なども補助対象になり得ます。
ただし、ドア交換のみの工事や外気に面していない窓・ドアの交換などは対象外となるため、工事内容ごとの確認が必要です。
窓は住宅の熱の出入りが最も大きい部位とされ、リフォームによって得られる断熱効果が高いため、補助額も手厚く設定されています。なお、住宅の場合の補助上限は、1戸あたり最大100万円です。一戸建てだけでなく、共同住宅も対象になり得ます。
給湯省エネ2026事業
「給湯省エネ2026事業」は、高効率給湯器の導入を支援する経済産業省資源エネルギー庁管轄の制度です。エコキュート・ハイブリッド給湯機・エネファームの設置が対象となります。
基本補助額は、導入する機器に応じて異なります。
- エコキュート:7万円/台
- ハイブリッド給湯機:10万円/台
- エネファーム:17万円/台
(一戸建てはいずれか2台、共同住宅等はいずれか1台まで)
一定の省エネ性能を満たせば加算があるほか、古い電気温水器などを撤去する場合の加算も設けられています。
家庭で使うエネルギーのうち給湯が占める割合は大きく、交換による光熱費の削減効果が見込めます。給湯器は突然故障しやすい設備のため、補助のある時期の計画的な交換を提案できると喜ばれるでしょう。
自治体独自の補助金制度

国の補助金とは別に、都道府県や市区町村が独自のリフォーム補助金を設けている場合もあります。耐震・バリアフリー・省エネ・空き家活用など、自治体によって対象はさまざまです。
また、省エネ改修への上乗せや三世代同居のための改修支援、地元の工務店の利用を条件とした制度など、地域性が色濃く出る点が特徴です。
自治体の補助制度を効率よく探すには、住宅リフォーム推進協議会が運営する「地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイト」が便利です。国土交通省と連携しており、全国の制度を都道府県・市区町村ごとに検索できます。
自治体の補助制度は、国費が充当されていないものであれば、国の補助制度と組み合わせて利用できる場合があります。制度ごとに扱いが異なるため、申請前に事務局や自治体に確認することが重要です。
具体的には、窓の断熱改修は国の先進的窓リノベ2026事業、耐震改修は自治体の耐震改修補助といったように、工事内容を分けて活用できる場合があります。
補助金の対象工事と金額
実際にどんな工事が補助の対象となり、いくら受け取れるのかを工事種別で整理します。断熱・バリアフリー・耐震の3分野は提案頻度が高く、押さえておきたい領域です。
断熱・省エネ改修
断熱・省エネ改修は、国の「住宅省エネ2026キャンペーン」を軸に検討しましょう。窓・ドア・床・壁・天井の断熱や、高効率設備の導入が対象になります。
金額の目安として、窓の断熱改修には「先進的窓リノベ2026事業」を活用でき、1戸あたり最大100万円です。床や壁などの躯体(建物の構造体である床・壁・天井など)断熱には、「みらいエコ住宅2026事業」によって最大100万円が補助されます。
工事内容や省エネ性能の向上度合いといった条件で金額が変わるため、事前の条件確認や試算が欠かせません。
バリアフリー改修
バリアフリー改修に関しては、介護保険の住宅改修費が中心的な支援制度です。要支援・要介護の認定を受けた人が対象で、被保険者証に記載された住所地の住宅について、生活を支えるために必要な改修を行う場合に利用できます。
支給限度基準額は1人あたり20万円で、そのうち所得に応じて7〜9割が介護保険から支給されるため、自己負担は1〜3割に抑えられます。ただし、20万円を超える部分は全額自己負担です。
対象は手すりの取付けや段差の解消、滑りにくい床材への変更など、制度上定められた工事に限られます。
利用にあたっては、事前にケアマネジャーへの相談と申請が必要です。自治体独自の上乗せ助成と組み合わせられる場合もあるため、提案前に対象要件を確認しておきましょう。
耐震改修
耐震改修には、多くの自治体が補助事業を設けています。対象は1981(昭和56)年5月31日以前の旧耐震基準で建てられた木造住宅が中心です。
補助額は自治体や年度によって異なりますが、100万円以上の補助を受けられる可能性もあります。併せて、耐震改修をして現行基準に適合させた場合、所得税額から一定額を控除できる住宅耐震改修特別控除も利用可能です。
旧耐震の物件は、購入時の改修提案と相性がよい分野です。診断費用への補助を設ける自治体も多く、診断から改修までの流れをセットで案内できると、顧客の判断を後押しできます。
顧客へ補助金活用を提案するコツ

ここからは、補助金の活用提案を成果につなげる実務のコツを紹介します。顧客の信頼を得るうえでは、タイミングの見極めと法令の理解が重要です。
提案するタイミングを見極める
補助金を活用するためには、提案するタイミングが重要です。工事完了後の申請はほぼ認められず、計画段階での案内が前提となるためです。
購入と同時に、買主に断熱や耐震の改修を提案すれば、住宅ローン控除と併せて顧客の費用負担を抑えられます。
賃貸の場合は、入退去時の原状回復やバリューアップの場面が狙い目です。空室期間を活用した省エネ改修を提案できれば、物件価値の向上とオーナーの収益改善につながります。
顧客属性で提案する補助金を切り分ける
提案すべき補助金は、顧客の属性によって異なります。家族構成・年齢・住まいへの考え方を踏まえ、ニーズに合った制度を選ぶことが大前提です。
たとえば、築年数が古く断熱性能に課題がある住宅には、「みらいエコ住宅2026事業」や「先進的窓リノベ2026事業」を軸に提案できます。高齢の親と同居する世帯や、要支援・要介護認定を受けた人がいる世帯には、介護保険の住宅改修費を軸にバリアフリー化を提案するとよいでしょう。
属性を見極めた提案は、顧客満足を高めるだけでなく、成約率の向上にも直結します。
「予算上限・期限切れ」を正確に伝える
補助金は、予算の上限に達し次第、受付を終了します。そのため、「いつまでに何を判断すべきか」を逆算し、丁寧にわかりやすく伝える姿勢が、信頼を獲得するうえで大切です。
具体的には、申請期限と予算の消化状況をセットで案内します。「住宅省エネ2026キャンペーン」は公式サイトで予算に対する申請額の割合が公開されており、根拠ある説明が可能です。
判断スケジュールを文書化して渡すと、顧客は安心して検討を進められるでしょう。
代理申請はできない可能性がある
補助金の申請には、法的な制約があります。具体的に、行政書士法では「行政書士または行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として官公署に提出する書類の作成等を行うこと」を制限しています。
注意したいのが、コンサル料や会費などの名目でも「報酬」と見なされる点です。無資格での書類作成代行は、名目を問わず規制の対象になります。
ただし、「住宅省エネ2026キャンペーン」の各事業は、登録した施工会社が申請を代行する仕組みです。リフォーム工事を請け負う立場であれば、この枠組みの中で顧客の申請を支援できます。
まとめ
2026年度に行うリフォームには、国の「住宅省エネ2026キャンペーン」を軸に、自治体独自の制度や介護保険による補助などを組み合わせて活用できます。制度ごとに対象工事や補助額、申請期限が異なるため、最新情報の把握が欠かせません。
補助金を活用したリフォーム提案は、オーナーの収益改善や物件価値の向上、購入希望者の購買意欲向上に直結します。顧客の属性に応じた制度を適切なタイミングで提案できる体制を整えておきたいところです。
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