サブリース新法の規制内容と不動産会社の実務対応を解説

「サブリース新法」は正式名称を「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」といい、サブリース会社への規制と賃貸住宅管理業者の登録制度を定めた法律です。
不動産会社も、建設請負や物件売買の場面で「勧誘者」として規制を受ける可能性があるため、注意が必要です。本記事では、誇大広告や不当勧誘の禁止といった規制内容から実務上の対応ポイントまで、わかりやすく解説します。
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目次[非表示]
- 1.サブリース新法とは
- 1.1.法律の正式名称と目的
- 1.2.施行までの背景
- 2.具体的な規制内容
- 2.1.誇大広告等の禁止
- 2.2.不当な勧誘行為の禁止
- 2.3.重要事項説明の義務
- 2.4.契約締結時書面の交付
- 3.賃貸住宅管理業者(管理会社)の登録
- 4.不動産会社が実務上で押さえるべきこと
- 5.違反した場合の罰則
- 6.まとめ
サブリース新法とは
通称「サブリース新法」は、不動産会社や管理会社が守るべきルールを定めた、賃貸経営に深く関わる法律です。
サブリースとは、サブリース会社がオーナーから物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みを指します。オーナーには家賃保証などの利点がある一方、契約をめぐるトラブルも少なくありません。
法律の正式名称と目的
サブリース新法の正式名称は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」で、2020(令和2)年6月19日に公布されました。
この法律は、サブリース会社を規制する部分と管理会社の登録制度を設ける部分の二部構成となっており、それぞれ施行日が異なります。
サブリースに関する規制は2020(令和2)年12月15日に施行されました。管理会社の登録制度を含む規定は、半年後の2021(令和3)年6月15日に施行されています。
施行までの背景
この新法が生まれた背景には、サブリース契約をめぐるトラブルの増加があります。なかでも社会問題化したのが、シェアハウス投資を巡る大規模なトラブルです。
この事件では、長期の家賃保証をうたったシェアハウス運営会社が数年で経営破綻し、多くのオーナーに損害を与えました。誇大広告や不当な勧誘の横行が明るみになり、規制の必要性を一気に高めたといえます。
そこで国は、良好な居住環境の確保と悪質な会社の排除を目的に、法整備に踏み切りました。
具体的な規制内容

サブリース新法は、サブリース会社に「誇大広告等の禁止」や「不当な勧誘等の禁止」などを義務づけています。
建設請負や不動産売買のために勧誘を行う建設会社や不動産会社も、「勧誘者」として規制を受けます。
誇大広告等の禁止
家賃保証額・契約変更・解約条件・修繕費の負担などについて、事実と著しく異なる表示や、過度に有利と誤認させる表示はできません。
特に重要なのが、「家賃保証」「空室保証」といった文言の扱いです。これらに隣接する箇所には、定期的な家賃の見直しがあること、借地借家法に基づいて家賃が減額され得ることを必ず表示しなければなりません。
「30年家賃保証」のような表現を単独で使うことは認められません。減額の可能性を併記しないと、誇大広告に該当する恐れがあります。
不当な勧誘行為の禁止
不当な勧誘行為も禁止されています。契約の判断に影響する重要な事実を故意に告げない行為や、事実と異なる説明をする行為が対象です。
たとえば、家賃が減額され得るリスクを伝えずに契約を勧める行為は禁止です。深夜の電話や長時間の勧誘など、オーナーを困惑させる行為も認められません。
重要事項説明の義務
サブリース会社には、契約締結前の重要事項説明が義務づけられています。マスターリース契約(サブリース会社がオーナーから一括で借り上げる契約)を結ぶ前に、書面で説明しなければなりません。
説明すべき事項には、家賃の変動条件・契約期間・解約条件・修繕費の負担区分などが含まれます。契約条件にかかわらず、借地借家法に基づき家賃が減額され得る点も、明確に伝える必要があります。
契約締結時書面の交付
新法では契約締結時の書面交付が義務づけられており、契約を結んだ際には、契約内容を記載した書面を速やかにオーナーに交付しなければなりません。
記載事項には、契約期間・更新や解除の条件・家賃や敷金などが含まれます。書面は電磁的方法でも交付できますが、その場合はオーナーの承諾を得ることが前提となります。
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賃貸住宅管理業者(管理会社)の登録
サブリース新法のもう一つの柱が、賃貸住宅管理業者(管理会社)の登録制度です。サービスの質を確保することを目的に、一定規模以上の会社に登録を義務づけています。
対象となるのは、管理戸数が200戸以上の管理会社です。200戸未満は任意登録ですが、一時的にでも200戸以上となる見込みがあれば、登録を済ませておくのが適当とされています。
登録の要件
登録は、国土交通大臣に対して行います。登録手数料は9万円で、有効期間は5年間です。期間が満了する前に、更新手続きを済ませる必要があります。
登録には拒否事由(欠格事由)も定められています。たとえば、過去に登録を取り消され、取り消しの日から5年を経過していない場合、再度登録ができません。
法人の場合は、役員にこうした事由がないかも審査されます。一定の業務水準を満たした事業者だけが登録される仕組みになっています。
業務管理者の選任
登録した管理会社は、営業所または事務所ごとに業務管理者を1名以上選任しなければなりません。管理業務を適切に監督する役割を担う、いわば現場の責任者です。
業務管理者になるには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 管理業務に関する2年以上の実務経験等があり、登録試験に合格した者
- 管理業務に関する2年以上の実務経験等があり、宅地建物取引士で指定講習を修了した者
選任を怠った状態で管理受託契約を結ぶと、罰則や監督処分の対象となります。事務所の体制づくりにおいて、欠かせない要件といえます。
登録更新と義務
登録は5年ごとの更新制で、更新を怠れば登録は失効します。また、登録後も管理会社には継続的な義務が課されます。
代表的なのが、財産の分別管理です。オーナーから預かる家賃や敷金などを、自社の固有財産と分けて管理しなければなりません。
このほか、管理受託契約の前後には、重要事項説明と書面交付も必要です。管理開始後は、業務状況の定期的な報告や、帳簿の備付けも求められます。
不動産会社が実務上で押さえるべきこと

規制の対象は広く、影響を受けるのはサブリース会社だけにとどまりません。
まず押さえたいのが、「勧誘者」としての立場です。建設請負やアパート建築、物件売買の営業の場面でサブリースを勧めると、勧誘者と見なされ、規制を受けます。単に賃貸経営を提案するだけでなく、特定のサブリース契約の締結を勧める場合は注意が必要です。
重要事項説明は、新規契約時だけでなく、契約期間中や更新時に特定賃貸借契約の重要な内容を変更する場合にも必要です。この場合、原則として変更事項について書面を交付したうえで説明します。
一方で、新法施行前に締結され、新法が定めた全事項について重要事項説明等を行っていない契約については、変更に際して該当の事項だけでなく全事項について説明等が必要です。ただし、形式的な変更にとどまる場合は、説明等は不要とされることもあります。
違反した場合の罰則
サブリース新法に違反すると、行政処分と刑事罰の対象になります。被害の拡大防止と不適切な行為の抑止を図るため、義務ごとに罰則が定められています。
最も重いのは不当な勧誘(事実不告知・不実告知)に対する罰則です。この場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金、あるいはその両方が科されます。
重要事項説明や契約締結時の書面交付に関する義務違反は、50万円以下の罰金です。誇大広告等の禁止に違反した場合は、30万円以下の罰金が科されます。刑事罰のほかに、業務停止命令や業務改善命令といった行政処分もあります。
なお、これらの規制は違反したサブリース会社だけが対象ではありません。勧誘者として関わる不動産会社も同じく処分を受けるため、日頃から法令遵守の体制を整えておくことが重要です。
まとめ
サブリース新法は、サブリース会社と勧誘者に対し、誇大広告の禁止・不当な勧誘の禁止・重要事項説明・書面交付という4つの義務を課しています。管理会社に対する登録制度も設けられ、業界全体の適正化が進められました。
不動産会社も、建設請負や物件売買の場面で「勧誘者」として規制を受ける点に注意が必要です。規制内容と罰則を正しく理解し、適切な広告・説明・書面交付を徹底することが、トラブルの防止と顧客からの信頼向上につながります。










