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2021年の不動産賃貸市場と今後の見通し

新型コロナウイルス感染症の流行や東京五輪など、さまざまな出来事があった2021年。不動産賃貸市場はどのように推移していたのでしょうか。

不動産賃貸仲介営業を行ううえでは、今後の見通しを立てるために、市場の動向や賃料の推移などを把握しておく必要があります。

本記事では、公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会(以下、全宅連)・⼀般財団法⼈ 住宅改良開発公社の調査データを基に、2021年における不動産賃貸市場の動向についてまとめて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.賃貸住宅の成約件数推移
  2. 2.賃貸住宅の賃料推移
  3. 3.賃貸住宅の居住者動向
    1. 3.1.居住者の世帯構成
    2. 3.2.居住者の年収
    3. 3.3.居住期間
  4. 4.まとめ

賃貸住宅の成約件数推移

はじめに、賃貸住宅のニーズを確認するために、成約件数がどのように変化しているか見ていきます。全宅連の『不動産市場動向調査』による居住用賃貸の成約件数は次のとおりです。

▼2014~2021年(3月時点)賃貸不動産の成約件数推移

年度
首都圏
近畿圏

2014年

33,615件
 8,043件
2015年
28,156件
7,633件
2016年
30,278件
10,368件
2017年
30,128件
11,728件
2018年
29,785件
12,697件
2019年
25,750件
12,579件
2020年
21,098件
12,113件
2021年
21,581件
14,023件


首都圏では、2016~2020年まで賃貸住宅の成約件数は年々減少していました。しかし、2021年では前年の2020年と比べて2.3%増加しています。

近畿圏では、2015~2018年まで賃貸住宅の成約件数が年々増加していました。その後、2019~2020年で減少傾向でしたが、2021年には前年と比べて15.8%増加しています。

これらの調査結果から、2020年から2021年にかけて賃貸住宅市場に再び活性化の動きが見られます。

(出典:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会『不動産市場動向調査』)

賃貸住宅の賃料推移

次に、賃貸住宅の賃料がどのように推移しているか確認します。賃料単価の推移を把握しておくことで、顧客のニーズに合わせた提案を行う際に活用することが可能です。

公益財団法人 東日本不動産流通機構の『レインズデータライブラリー』によると、2021年の第2四半期・第3四半期の平均成約賃料(m2単価)は、マンション・アパートともに減少傾向にあります。

2020~2021年にかけての東京23区平均賃料単価の推移は次のとおりです。

▼東京23区の平均賃料単価



マンション
(m2単価)
アパート
(m2単価)
2020年
Q1
3,130円
2,867円
Q2
3,128円
2,746円
Q3
3,144円

2,760円

Q4
3,149円
2,794円

2021年
Q1
3,194円
2,945円
Q2
3,171円
2,831円
Q3
3,126円
2,746円


東京23区では、マンションの平均賃料単価が2020年第3四半期~2021年第1四半期にかけて上昇していました。しかし、2021年第2四半期以降は減少している状況です。

アパートの平均賃料単価は、2020年第2四半期~2021年第1四半期にかけて上昇していました。しかし、2021年第2四半期以降、減少が続いています。

▼近畿圏の平均賃料単価


マンション
(m2単価)
アパート
(m2単価)
2020年
Q1
1,880円
1,665円
Q2
1,868円
1,626円
Q3
1,854円
1,658円
Q4
1,873円
1,670円

2021年
Q1
1,893円
1,702円
Q2
1,878円
1,684円


また、公益財団法人 近畿圏不動産流通機構『不動産取引動向バックナンバー』によると、近畿圏ではマンションの平均賃料単価が2020年第3四半期~2021年第1四半期にかけて上昇していました。その後、2021年第1四半期~第2四半期にかけては減少しています。

アパートの平均賃料単価は、2020年第2四半期~2021年第1四半期にかけて上昇していましたが、2021年第1四半期~第2四半期にかけて減少している状況です。

このように、いずれの地域においても、2021年第1四半期以降は賃料単価に減少傾向が見られます。そのため、今後も減少傾向が進めば、できる限り家賃を抑えたいと考える顧客への提案を行いやすくなることが予想されます。

(出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構『レインズデータライブラリー』/公益財団法人 近畿圏不動産流通機構『不動産取引動向バックナンバー』)

賃貸住宅の居住者動向

ここからは、⼀般財団法⼈ 住宅改良開発公社のアンケート調査を基に、居住者の動向について解説します。賃貸住宅市場の今後の見通しを立てる際にぜひご活用ください。


居住者の世帯構成

賃貸住宅居住者の世帯構成を、2015年と2020年で比較します。

▼居住者の世帯構成

世帯構成
2015年
2020年
単身
34.65%
49.5%
夫婦のみ
23.59%
24.0%
夫婦と子
27.73%
19.4%
ひとり親と子
6.45%
4.7%
2世帯同居
3.63%
1.0%
その他
3.95%
1.5%


2015年と2020年を比較すると、“単身者”と“夫婦のみ”の世帯が増加傾向にあることが分かります。また、2015年では“夫婦と子”の割合が“夫婦のみ”よりも高いのに対して、2020年では“夫婦のみ”の割合が“夫婦と子”よりも高くなっています。

さらに、“夫婦と子”世帯については、2015~2020年にかけて8.3%減少。今後、未婚化や晩婚化による少子化が進めば、単身者・夫婦のみの賃貸住宅の需要がさらに高くなっていくと考えられます。

(出典:⼀般財団法⼈ 住宅改良開発公社『賃貸住宅市場の動向と将来予測(展望)調査』『「賃貸住宅市場の現況と中長期見通し」に関する調査研究』/内閣府『第1部 少子化対策の現状(第2章 第2節 3)』)


居住者の年収

賃貸居住者の年収については、2014年と2020年で比較します。

▼2014年 居住者の年収別の割合

年収
割合
300万円未満
23.8%
300~500万円未満
34.4%
500~700万円未満
21.8%
700~1,000万円未満
14.3%
1,000~1,500万円未満
3.8%
1,500~2,000万円未満
1.1%
2,000万円以上
0.8%


▼2020年 居住者の年収別の割合

年収
割合
300万円未満
34.7%
300~600万円未満
38.6%
600~900万円未満
16.3%
900~1,200万円未満
6.5%
1,200~1,500万円未満
2.1%
1,500~2,000万円未満
1.2%
2,000万円以上
0.6%


​​​​​​​2014年では世帯年収約300~500万円が3割以上、2020年では、世帯年収約300~600万円が、4割近くの割合を占めていることが分かります。

また、年収300万円未満については、2014年から比較して10.9%増加している状況です。これらの結果から、今後、年収600万円未満の方が借りられる賃貸物件を充実させるとよいと考えられます。

(出典:⼀般財団法⼈ 住宅改良開発公社『賃貸住宅市場の動向と将来予測(展望)調査』『「賃貸住宅市場の現況と中長期見通し」に関する調査研究』)


居住期間

賃貸住宅の居住期間を、2014年と2020年で比較します。

▼2014年 賃貸住宅の居住期間の割合

居住期間
割合
1年未満
6.7%
1~5年未満
17.8%
5~10年未満
19.8%
10~15年未満
15.5%
15~20年未満
12.1%
20~25年未満
6.5%
25~30年未満
6.2%
30年以上
15.4%


▼2020年 賃貸住宅の居住期間の割合

居住期間
割合
1年以下
11.4%
2~5年
36.9%
6~10年
25.4%
11~15年
12.4%
16~20年
7.0%
21~25年
3.1%
25年以上
3.7%


2014年では、もっとも多い割合は居住期間5~10年未満、次いで1~5年未満です。2020年では、居住期間2~5年の割合がもっとも多く、次いで6~10年となっています。

2014年・2020年ともに、居住期間10年未満で転居する人が多い傾向にあることが分かります。

(出典:⼀般財団法⼈ 住宅改良開発公社『賃貸住宅市場の動向と将来予測(展望)調査』『「賃貸住宅市場の現況と中長期見通し」に関する調査研究』)

まとめ

新型コロナウイルス感染症の流行から2年目を迎えた2021年は、2020年と比べて賃貸住宅市場が活性化しているといえます。

賃貸住宅の成約件数は首都圏・近畿圏ともに前年と比較して上昇しており、平均賃料単価は、2021年第1四半期から第2四半期にかけてマンション・アパートともに減少しています。

また、賃貸住宅の世帯構成は“単身”“夫婦のみ”の割合が増加しており、年収は500万円未満、居住期間は10年未満が多くを占めていることが分かりました。

これらの居住者をターゲットとした賃貸住宅の需要は、今後も高くなると考えられます。今回紹介したデータを参考に、賃料設定や住み替えの提案方法などの見直しを行ってみてはいかがでしょうか。

Business 編集部
Business 編集部
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